ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2018年09月 1週号

棚田を守るどぶろく 特区を活用「コシ」 原料に付加価値を創出(1面)【2018年9月1週号】

180904_1.jpg

 冬には積雪が2.3メートルを超える新潟県有数の豪雪地帯、上越市牧区坪山。区画整理された階段状の棚田が広がり、収穫期には黄金色に染まる中山間地域で、水稲などを栽培する中川卓夫さん(77)は、構造改革特区制度を活用してどぶろくを製造・販売し、経営の安定化を図っている。自家栽培する「コシヒカリ」で仕込むどぶろくは、全国のどぶろく事業者が品質を競い合うコンテストで高評価を得るなど人気を博す。県内外のイベントに出向いて棚田の魅力をPRしながら売り込んでいる。坪山集落の全農家で構成する農事組合法人「坪山の郷」の代表も務め、息子の景一さん(44)とともに受託した棚田で作業しながら、耕作放棄地を出さないよう景観維持にも貢献している。

(1面)

〈写真:坪山集落の棚田を指さす卓夫さん。「昔から高品質米が取れる地域。これからも主食用米で棚田を守っていきたい」と話す〉

2019年度農林水産関係概算要求 収入保険は335億円(2面・総合)【2018年9月1週号】

 農林水産省は8月31日、2019年度予算概算要求を財務省に提出した。総額は18年度当初予算比18.5%増の2兆7269億円で、19年1月からスタートする「収入保険制度の実施」は75億円増の335億円を計上した。飼料用米など戦略作物への転換を支援する「水田活用の直接支払交付金」は18年度当初予算と同額の3304億円を盛り込み、農業農村整備(土地改良)事業関連予算は総額で957億円増の5305億円を要求した。また、先端技術の導入・活用を進める「スマート農業」の実現や農林水産物等の輸出拡大などにも重点配分した。

(2面・総合)

水稲作況8月15日現在 早場「平年並み」11県・北海道は「不良」(2面・総合)【2018年9月1週号】

 農林水産省は8月31日、2018年産水稲の作柄概況(8月15日現在)を発表した。早場地帯では、岩手や宮城など7県が作況指数102~105相当の「やや良」で、秋田や山形など11県は99~101相当の「平年並み」となった。一方、北海道は94以下の「不良」だった。なお、8月中旬以降も台風や集中豪雨などの被害が発生しており、今後の天候次第で作柄が変動する可能性がある。

(2面・総合)

広げよう畜産女性の輪 いきいきネットワークが大会(2面・総合)【2018年9月1週号】

180904_2.jpg

 畜産経営に携わる女性たちが畜種を超えて交流する「全国畜産縦断いきいきネットワーク」は8月27日、「チャレンジの先にチャンスあり!~目指そう良妻賢母~」をテーマに掲げた2018年度大会を東京都台東区で開催した。全国から集まった会員や団体関係者など121人が参加。担い手不足などによって畜産農家戸数の減少に歯止めが掛からない中で、地域や畜種の違いを乗り越えて一致団結し、次世代につながる魅力ある畜産の構築に向けた活動の輪に加わるよう呼び掛ける大会宣言を採択した。

(2面・総合)

〈写真:会員6人がカラスの家族を演じた恒例の寸劇〉

農家と組合を強く結ぶ・損害防止事業の利用を勧奨 ―― NOSAI埼玉(5面・NOSAI)【2018年9月1週号】

180904_3.jpg

 近年の大雨や猛暑で被害が懸念される埼玉県では、NOSAI埼玉(埼玉県農業共済組合)の共済支部長(NOSAI部長)が、農家の立場から組合員に早期の被害申告などの重要性を伝え、相談や疑問は職員へつなげている。また、組合が損害防止事業として取り組む水稲種もみの温湯消毒支援や防除費用の一部助成などのメリットを伝えて利用を促す。県内では販売時の付加価値向上や規模拡大など前向きに取り組む農家も多く、万が一に備える農業共済制度が円滑に運営されることで、組合員の挑戦を支えている。

(5面・NOSAI)

〈写真上:職員から広報紙の説明を受ける根岸さん〉
〈写真下:「今年は大雨の影響が気になる」と小澤さん。水稲の作柄を確認する〉

灌水同時施肥システムを岩手県農業研究センターと茨城大が開発 自作でき収量増に効果(11面・営農技術)【2018年9月1週号】

180904_4.jpg

 岩手県農業研究センターと茨城大学は、自動で液肥を混ぜて灌水(かんすい)することで露地や施設栽培の野菜類の収量増加と同時に、施肥の省力化も実現する「灌水同時施肥システム」を共同開発した。エンジンポンプやアスピレーターなど市販の資機材を使うことで自作も可能。キュウリ栽培にシステムを導入し、2017年産で前年比27%の収量増を実現した、岩手県陸前高田市米崎町の吉田学さん(46)の導入例を取材した。

(11面・営農技術)

〈写真:入手しやすい材料で自作可能なシステム〉

濃厚な味に高い評価「大浜大豆」伝統品種を再興 ―― 石川県珠洲市・二三味<にざみ>義春さん(3面・暮らし)【2018年9月1週号】

180904_5.jpg

 能登半島の最先端に位置する石川県珠洲市に古くから伝わる在来種「大浜大豆」。昭和の中頃まで盛んに栽培されていた同種を復活させようと栽培に励んでいるのが、同市狼煙〈のろし〉町の二三味〈にざみ〉義春さん(71)だ。大浜大豆を主原料とした豆腐が、地元の道の駅で主力商品として販売されているのをはじめ、県内の取引先に大半を出荷。一時は忘れられた伝統品種を、新たな地域の特産品にしようと挑戦を続けている。

(3面・暮らし)

〈写真:大浜大豆は肥料焼けするため施肥はせず、作業も機械を使わずに行う義春さん〉

質・量満たし勝ち得る信頼 コマツナ 有機JAS栽培 ―― 鳥取県鳥取市・TREE&NORF代表/徳本修一さん(6面・流通)【2018年9月1週号】

180904_6.jpg

 「一人でも多くのお母さんと子どもたちに、安全でおいしい野菜を届けます」を企業理念に掲げ、コマツナ約20ヘクタールを有機JAS認証に適合した露地栽培で取り組むTREE&NORF<トゥリーアンドノーフ>(鳥取市気高町、パート含め21人、徳本修一代表=42歳)。有機農産物やオーガニック食品に高い嗜好(しこう)性をもつ消費者に人気があり、首都圏や阪神エリアで多店舗展開する小売チェーン店を中心に出荷する。徳本代表は「需要を満たすボリュームで安定供給することが、販売先維持の強力なカードになる」と日量1~1.2トンを出荷する。

(6面・流通)

〈写真:オリジナルの流通用ケースを手に徳本代表。地元にある大タブの木をデザインしたロゴマークをあしらっている〉

農薬散布の労力・使用量を大幅に削減 LED防蛾ランプ【広島県 9月1週号】

180904_7.jpg

 【広島支局】夜蛾(やが)類によるナスへの被害を防ぐため、「電球形LED防蛾ランプ」を導入した東広島市黒瀬町の大下博隆さん(43)。昨年6月、ナス750本を植える畑16アールに、LED電球31球を設置した。それまで農薬散布にかかっていた労力の大幅な削減と減農薬栽培に成果を挙げている。

〈写真:電球は地面から2メートルの高さに設置。1球当たり半径約5メートルの範囲を照らすことができる〉

自動操舵トラクター導入 効率化に大きく前進【北海道 9月1週号】

180904_8.jpg

 【北海道支局】「30分程度のレクチャーで誰でもすぐに乗れるので、パートの従業員も即戦力として活躍できます」と話すのは、音更町の三浦農場代表取締役・三浦尚史さん(48)。6年前から自動操舵トラクターを導入し、農作業の省力化に力を入れている。

〈写真:自動操舵トラクターに乗り、ハンドルから手を離してみせる三浦さん〉

九州北部豪雨被害から再起 荒れ地に実る島らっきょう【福岡県 9月1週号】

180904_9.jpg

 【福岡支局】「土砂が大量に流入した農地で、初めて立派な島らっきょうが収穫できたときは、感無量でしたね」と話すのは、朝倉市の星野忠男さん(52)=島らっきょう1ヘクタール、水稲1.4ヘクタール、野菜1ヘクタール。昨年の九州北部豪雨で大量の土砂が流入し、水稲や施設野菜、露地野菜などの収穫は絶望的となった。「評価員として圃場の評価に回りましたが、被害が甚大で途方に暮れました」。被災後、大分に住むいとこの石橋浩二さん(49)から「荒れた環境でも栽培できる島らっきょうを作ろう」と相談があったという。

〈写真:「島らっきょうは味に癖がなく、食物繊維も豊富。復興に向けて栽培に励みたい」と星野さん〉

伝えたいうまさがある 七面鳥育てて30年【石川県 9月1週号】

180904_10.jpg

 【石川支局】大村正博さん(66)は、30年前から輪島市門前町小山で七面鳥を飼育している。ふ化から食肉処理、販売まで一貫して行い、「阿岸(あぎし)の七面鳥」というブランドで販売。地元のホテルや東京のフランス料理店に通年で出荷しているほか、直販もしており、ふるさと納税の返礼品にもなっている。

〈写真:「能登の自然の中で育った七面鳥は絶品です」と話す大村さん〉

需要期過ぎたイチゴでワインを商品化【徳島県 9月1週号】

180904_11.jpg

 【徳島支局】三好市の池田高等学校三好校では、地域活性化を目的として2017年から商品化に取り組んできた夏秋イチゴを使ったイチゴワイン「高原の煌(きらめき)」(500ミリリットル、税込み1500円)が完成。8月3日に食農科学科2年生野菜専攻の生徒5人が、西祖谷山村のJR大歩危駅構内で観光列車の乗客に試飲販売を行った。

〈写真:試飲を楽しむ観光客〉

防風林「棚田や森林の保護、子供でもわかるその意義【2018年9月1週号】」

 ▼国土の約70%を森林が占めるわが国は、河川が海に吐き出す堆積物で構成した扇状地や河岸段丘の平地部に田畑を拓(ひら)いてきた。さらに急傾斜に棚状の農地を築いた山村は多い。平野部でさえ高齢化や後継者不在で耕作放棄水田が散在する時代。棚田を含めた森林保全を真剣に考えねばならない。
 ▼農研機構・食と農の科学館(茨城県つくば市)に「緑のダム『棚田』の役割」と題した展示がある。森林、棚田、放棄され崩れた棚田の模型の上から、人工雨を降らすと、2本の透明な容器に水がたまる仕組み。
 ▼1本は「地下水になる量」が示され、水量は棚田が森林を超え一番多い。放棄棚田の方はほとんどたまらず、2本目の「洪水になる量」の容器に最も多くたまった。参観の子どもたちも水田や森林の持つ「涵養力(かんようりょく)」が容易に理解できるはず。
 ▼豪雨のたびに河川が氾濫し土砂崩れで人命が奪われる被害。子供らから「国はなぜ森林や棚田を守らないの」と質問されたら、大人は「経済性や効率性を優先し、狭い農地や高齢農家を大切にしないから」と説明せざるを得ないではないか。
 ▼与党議員で構成する棚田支援に関するPTは、涵養力や景観、歴史・文化的側面から保全や維持する法制化を目指すという。来年度からの森林環境税・同譲与税の導入目的「新たな森林管理システム創出」では、農と林を切り離さず、対象年齢も問わない山村集落の運営支援が重要だと思う。森林や棚田は人の手が入らねば管理できないからだ。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る