今週のヘッドライン: 2019年10月 2週号
地域の農業は俺たちが守る――岐阜県瑞浪市日吉町と明世町で水稲40ヘクタールや大豆3ヘクタールなどを栽培する農事組合法人日吉機械化営農組合(板橋茂晴代表、51歳、役員3人、従業員3人、パート4人)では、メンバーが「EINOU8レンジャー」と名乗り、中山間地域の農業を盛り上げている。担い手のいない農地を引き受けるほか、田植えや収穫などの作業を受託する。水稲は、主食用から業務用、酒造好適米など約10品種を栽培。農薬や化学肥料を抑えて生産する「ぎふクリーン農業」認定を受けた「コシヒカリ」(10ヘクタール)や「ミルキークイーン」(8ヘクタール)、「ハツシモ」(5ヘクタール)は、米粉やパスタなどに加工する。近年はエゴマを導入し、新たな収益源へと成長させている。
農林水産省は1日、食料・農業・農村政策審議会果樹部会を開き、新たな果樹農業振興基本方針の策定に向けた議論を開始した。国産果実は高品質生産の努力などにより消費者の評価は高く、日本の強みを発揮できる輸出品目としても大きな期待が寄せられている。一方、農家数の減少や高齢化、労働力不足などで生産量は減少傾向にあり、国内外の需要に生産が追いつかない事態が生じている。さらに地球温暖化の進展や多発する災害などへの対応強化も重要な課題となっている。果樹農業は特に中山間地域の基幹産業であり、その振興は地域の将来にも直結する。生産基盤の強化が見通せる具体的な道筋づくりが求められる。
農林水産省は9月30日、2019年産主食用米の作付面積(9月15日現在、以下同)は、前年産比7千ヘクタール減の137万9千ヘクタールとなったと発表した。作況指数は全国で101の「平年並み」と見込まれ、予想収穫量は4万2千トン増の736万トンと、国が示した適正生産量(718万~726万トン)を上回る見通しだ。結果、来年6月末の民間在庫量は、需給安定の目安となる200万トンに迫る水準に積み上がると予想される。主食用米の需給と価格の安定へ、消費拡大対策の強化などが重要となりそうだ。
今年も各地で台風や局地的豪雨が発生し、農業分野にも大きな被害が発生している。今後も油断できない状況だ。農業共済制度は、台風など自然災害による被害を幅広く補償する。各事業では、被害発生時の共済金の支払いに、農家からの損害通知をもとに行う「損害評価」が欠かせない。万が一被害を受けたら、収穫前に申告をすることが大切だ。損害評価の流れや注意点について共子さんが済太郎くんに聞いた。
三重県松阪市飯南町の「茶来〈さらい〉まつさか株式会社」は、役職に応じた職務分担を徹底し、気象や土壌診断などのデータに基づいた茶の生産と飲料メーカーへの卸を柱にした経営で、設立から約10年で年商を約2倍の2億円に伸ばしている。創業者の一人で、代表の中村吉勝さん(52)は「販売から逆算して生産計画を立てる、製造業の考え方をしている。弱小産地だからこその柔軟さを生かした経営が当社の強み」と自己分析する。