ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2019年10月 4週号

台風19号災禍の復旧支援に着手 稲わら撤去経費を助成(1面)【2019年10月4週号】

191030_1.jpg

 農林水産省は25日、台風19号による農林水産関係被害について、台風15号を含む大雨と同様の支援対策を適用すると発表した。早期の営農再開に向け、圃場に堆積した稲わらの撤去など、地域共同による農業者の自力施工も支援する。保管中に被災した米などの対策は、総理指示(10月20日)を踏まえた対策パッケージの中で講じる方針だ。各県のNOSAI団体も、迅速な共済金の支払いに向けて被害調査を進めている。

(1面)

〈写真上:浸水時に流れ込んだ農業資材や流木などが残る水田(福島県鏡石町、10月24日撮影)〉
〈写真下:流木の撤去作業が進む鮎川(あゆかわ)(群馬県藤岡市、10月24日撮影)〉

11月は「災害に強い施設園芸づくり月間」園芸施設共済が加入しやすく(1面)【2019年10月4週号】

 園芸施設共済は、集団加入による共済掛金と事務費の割引や、補強した特定園芸施設の共済掛金の割引など補償内容が拡充され、より加入しやすくなっている。
 NOSAIとやま(富山県農業共済組合)は、JAいみず野花き部会と集団加入の協定を6月に締結。7月にハウスを所有する部会員14人のうち12人が園芸施設共済に加入し、共済掛金の5%の割引と事務費の10%の割引を受けた。
 「規模拡大を考えていて資金が必要な中、掛金の5%の割引は大きい」と話すのは、同部会の東保力〈とうぼつとむ〉部会長(70)。富山県射水市松木のハウス2棟(2.4アール)でストックなどの花きを栽培する。東保部会長と、部会員で冬季の雪を警戒する水野昭〈あきら〉さん(74)が園芸施設共済などや近年の災害について話してくれた。
 農林水産省は、台風前の6月と降雪前の11月を「災害に強い施設園芸づくり月間」に設定している。被害防止に向けた技術対策の徹底と、園芸施設共済・収入保険制度への積極的な加入を呼びかける。NOSAI団体も加入推進を強化する。

(1面)

日米協定承認案が審議入り 現場目線の熟議を(2面・総合)【2019年10月4週号】

 日米貿易協定の承認案は24日、衆院本会議で趣旨説明が行われ、審議入りした。政府・与党は来年1月1日の発効を目指し、審議を急ぐ方針。一方、野党は日本側に不平等な協定と指摘し、反対の姿勢を示す。政府は、協定発効で農林水産物の生産額は最大1100億円減少するものの、国内対策により生産量への影響はないと説明するが、生産現場では不安や懸念に加え、政府への不信感も広がる。相次ぐ台風襲来などを受け、被災地では早期の復旧・復興に向けて懸命の作業が行われている。営農再開・継続の意欲をそぐような審議は認められない。展望が開ける農業対策の構築に向けた議論を含め、国会の責務を果たすべきだ。

(2面・総合)

江藤農相所信表明 被災地支援に万全尽くす 備えの強化へ農業保険を推進(2面・総合)【2019年10月4週号】

 江藤拓農相は23日、衆院農林水産委員会で所信表明を行った。台風15号、19号など相次ぐ災害の発生を受け、被災農業者が一日も早く生業(なりわい)を再開できるよう、「万全の対策を講じていく」と強調。また、収入保険や農業共済など災害への備えとして活用できる施策を生産現場に一層浸透させていく考えを明示した。

(2面・総合)

水田復旧へのポイント 排水を徹底し機械入れる環境に ―― 農林水産技術会議事務局・山川博幹研究専門官に聞く(8面・特集)【2019年10月4週号】

191030_2.jpg

 台風19号では、大雨による河川の氾濫で、農地が浸水・冠水する被害が多発した。特に水田では、稲わらや泥などが堆積し、営農再開の妨げになっている。被害が比較的軽度な場合の営農再開に向けた方策について、農林水産技術会議事務局の山川博幹研究専門官に聞いた。

(8面・特集)








かんきつマルドリ方式:進む技術開発 大玉・高糖度に向けて ―― 愛媛県今治市のハウス団地で実証(9面・営農技術)【2019年10月4週号】

191030_3.jpg

 かんきつ農家の所得向上や産地活性化へ向け、周年マルチ点滴灌水(かんすい)同時施肥法(マルドリ方式)を効率的に利用する技術開発・実証が進められている。農研機構・西日本農研センターを代表機関としたコンソーシアムが、養水分管理を基盤とした樹体管理技術の確立による果実の高品質化や安定生産をテーマに、農家がより使いやすい技術を目指す。展示圃場となっている愛媛県今治市のハウス団地では「愛媛果試第28号」をマルドリ方式で栽培。最適な灌水量などを探っており、大玉・高糖度の高品質果実50%以上の達成へ手応えをつかむ。

(9面・営農技術)

〈写真:今治市内のハウス団地で開かれた現地検討会。11月下旬からの収穫に向けて水分ストレスをかける〉

鳥獣の農作物被害 2018年は約158億円 高水準が続く(2面・総合)【2019年10月4週号】

 農林水産省は16日、2018年度の野生鳥獣による全国の農作物被害金額は前年度比4%減の157億7700万円だったと発表した。減少は6年連続で、防護柵の設置や捕獲の強化などにより、08年度以降最少を更新した。ただ、被害額は依然高水準にあり、温暖化などに伴う野生鳥獣の生息地の拡大・深刻化なども指摘される中、引き続き官民挙げた対策の強化・拡充が重要だ。

(2面・総合)

手帳の活用術 ―― アナザーキッチン株式会社代表・浅倉ユキさんに聞く(3面・暮らし)【2019年10月4週号】

 農家の日常は、天候に応じて変化する農作業に加え、地域の共同作業や行事、家族との時間、経理などで多忙となる。手帳を持っていても、なかなか予定が整理しきれず悩む例も多いようだ。手帳の活用アドバイスや製品開発に携わるアナザーキッチン株式会社代表の浅倉ユキさん(通称・あな吉さん)に、予定管理のポイントや工夫を聞いた。

(3面・暮らし)

台風19号 爪痕深く【10月4週号】

 大型で強い勢力のまま上陸した台風19号は、今月12日から13日未明にかけて、東日本各地に記録的な大雨と強風をもたらした。河川の氾濫や豪雨による農地の冠水、土砂の流入、園芸施設の倒壊、家畜の溺死など、農業関係の甚大な被害が確認されている。被災各県のNOSAI団体では、共済金の早期支払いに向け、適正・迅速な損害評価に取り組んでいる。【関連記事1面、8面】

191030_4_3.jpg

〈写真:浸水後、水が引いたトマトのハウス(20日、宮城県大崎市鹿島台)〉







191030_4_2.jpg

〈写真:冠水したリンゴ園(17日、長野市豊野)〉




191030_4_1.jpg

〈写真:牛舎の屋根の下まで水没した(15日、福島県郡山市)〉







193年続く坪刈り【新潟県 10月4週号】

191030_5.jpg

 【新潟支局】「下和納の伝統的な坪刈りは、米農家のお祭りのような感覚で行っています」と話す下和納農家組合長の今里和彦さん(54)。新潟市西蒲区下和納集落では、1826年から現在まで193年もの間、昔ながらの手法で坪刈りを行っている。坪刈りは、米の全体収量を推定するため、田んぼの一部分だけ稲を刈ること。現在は同集落の農家12軒で1圃場当たり4カ所刈り、作柄を把握する。

〈写真:今年も恒例の坪刈りが行われた〉

ブドウの跡地を活用 ギンナン豊作【香川県 10月4週号】

191030_6.jpg

 【香川支局】実が大きいギンナン「藤九郎」など40本ほどを栽培するさぬき市昭和の八木充さん(94)は、「今年は豊作のため、忙しくしています」と話す。八木さんが植栽したのは20年前。「小さくて手間がかからないだろう」と、ブドウの跡地20アールに植え付けた。出荷は10年前からで、地元の市場にパック詰めして出す。

〈写真:「硬い殻は紙袋に入れて電子レンジにかけ、ポンポンと音がするまで温めると簡単に取れます」と八木さん〉

イノシシ猟にドローン活用 赤外線カメラで位置特定【岡山県 10月4週号】

191030_7.jpg

 【岡山支局】吉備中央町の岡山県猟友会加茂川分会(佐藤守代表、会員約80人)は今年1月、ドローン(小型無人機)を利用したイノシシの狩猟に成功した。狩猟者の労力削減のほか、人が歩けないような場所にも入ることができるため、狩猟者の事故・けがの低減も期待される。同分会の狩猟方法は、赤外線カメラを搭載したドローンでイノシシの位置を特定し、数人のグループで山を囲み、獲物の追い出しと獲物を撃つグループに分かれ、猟犬などで追い込んだ獲物を仕留める「巻狩り猟法」。1度の試みで6頭のイノシシを仕留めた。

〈写真:狩猟への本格的な活用に向けてドローンを飛行させる猟友会会員(9月)〉

防風林「令和時代に求められる農業技術開発は【2019年10月4週号】」

 ▼「平成の食と農の課題に農業技術はどう応えたのか」をテーマとした『平成農業技術史』(大日本農会編)が農文協から発刊された。大日本農会が進めた「平成農業技術史研究会」の議論を踏まえ、研究会の委員や専門家が執筆した。
 ▼食料増産や機械化が主要課題だった戦後の昭和時代に比べ、平成時代は食生活の変化と消費ニーズの多様化が進み、農業技術開発への要求も多様化したという。水田作では、ポストコシヒカリを掲げた水稲の品種や水田フル活用に向けた麦、大豆などの品種や安定生産技術の開発、果樹は、消費ニーズに応じた高品質果実品種や安定生産技術の開発が目次に並ぶ。
 ▼平成の前半は、試験研究の成果などを取材した期間とほぼ重なるので、内容によっては研究者の顔が浮かぶ。新品種の開発は10年以上かかる例もあり、成果を説明する研究者の多くが自信に満ちていた。ただ、米の「コシヒカリ」、リンゴの「ふじ」を超える品種は登場に至らず、残念に思う。
 ▼令和時代の農業技術開発では、情報技術の活用などスマート農業に関心が集まる。加えて、地球温暖化への対応や気象災害の復旧技術開発に期待したい。平均気温は上昇を続け、大雨や台風などの災害も年々激甚化している。営農意欲を支える安定生産技術の確立が求められる。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る