ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2019年11月 4週号

国産飼料の安定供給 稲WCSの地域内流通体制を確立 ―― 東部コントラクター(鳥取市)(1面)【2019年11月4週号】

191127_1.jpg

 稲発酵粗飼料(WCS)の収穫を中心に、約300ヘクタールの作業を受託する鳥取市の作業請負組織「東部コントラクター」(木下智代表)では、県東部地域における耕畜連携を通じた飼料の生産・供給体制の中核を担っている。新たに輸入トウモロコシの代替として、もみ米サイレージ(SGS)の生産・販売にも乗り出し、効率的な栽培・作業体系の構築による水田の活用と地域の畜産振興に貢献している。

(1面)

〈写真:SGSの品質を確かめる遠藤憲明専務〉

20年産米の適正生産量708万~717万トンに 戦略作物へ転換強化が不可避(2面・総合)【2019年11月4週号】

 農林水産省は20日、2020年産主食用米の適正生産量を708万~717万トンとする需給見通しを発表した。19年産の生産見込み(727万トン)に比べ、10万~19万トン少ない水準。高齢化や人口減少に伴い、需要量が毎年10万トン程度減少するとの予測に基づき設定した。19年産主食用米の需給は前年に引き続き均衡・安定傾向で推移している。ただ、不作傾向となったことが主要因で、作付面積は微減にとどまった。20年産米の需給と価格の安定には、需要に応じた生産のさらなる強化が大きな課題となる。

(2面・総合)

農産物輸出促進新法が成立 農水省に司令塔組織創設(2面・総合)【2019年11月4週号】

 農産物の輸出促進へ司令塔組織の創設を柱とする「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」が20日、参院本会議で可決、成立した。司令塔組織となる「農林水産物・食品輸出本部」を農林水産省に設置し、輸出規制などに関する相手国との協議や輸出証明書の発行などに政府一体で取り組む。

(2面・総合)

旅行で人生を豊かに ―― All About旅行ガイド 村田和子さんに聞く(3面・暮らし)【2019年11月4週号】

 新しい経験ができ、人生を豊かにしてくれる旅行。最近はバリアフリーサービスが充実し、ゆったりと回れるツアーもある。この冬はぜひ旅に出てみてはどうだろうか。旅行の楽しみや気をつける点について、インターネットの生活総合情報サイトAll Aboutで旅行ガイドを務める村田和子さんに聞いた。

(3面・暮らし)

土壌診断で営農支援 ―― NOSAI連鹿児島(鹿児島県)(5面・農業保険)【2019年11月4週号】

191127_2.jpg

 「農業の基本は土。NOSAIの土壌診断は、年間の肥料設計の基本になっている。本当にありがたい」と話すのは薩摩川内市祁答院町藺牟田(さつませんだいしけどういんちょういむた)の有限会社松田農場の松田俊一代表(67)。NOSAI連鹿児島(鹿児島県農業共済組合連合会)の土壌診断をキンカン栽培に活用している。土壌診断は、園芸施設共済加入農家を中心に通年で実施し、pHや電気伝導度のほか、チッ素やカリウムなど肥料の5要素などについて年間約2300圃場分を診断する。さつま町広瀬の薗田武徳さん(65)は、土作り講習会で土壌診断の結果を基にNOSAI連鹿児島の担当者に対策などを相談し、キンカンの収量増加につなげている。

(5面・農業保険)

〈写真上:「NOSAIはすぐに対応してくれる」と松田代表(右)〉
〈写真上:二層に剪定された樹を手入れする薗田さん〉

トマト青枯病・ネコブセンチュウ 糖で防ぐ新素材 ―― 農研機構など研究グループ(9面・営農技術)【2019年11月4週号】

191127_3.jpg

 農研機構などの研究グループは、トマト青枯病菌やネコブセンチュウなどの防除に有効な「土壌還元消毒」向け新資材を選抜し、全国各地での普及を進めている。土壌還元消毒は、餌となる有機物を施用して土中の微生物を急増させて酸欠(還元状態)にする防除手法。新資材は、従来利用されてきた米ぬかなどに比べ、餌となる糖が深くまで浸透し、薬剤が届かない地下60センチまで防除できる。粉状や粒状で散布しやすいほか、使用時の臭いが少なく専用機材なども必要ない。

(9面・営農技術)

〈写真:糖含有珪藻土(右)と糖蜜吸着資材を示す林佑香研究員(和歌山県農業試験場)〉

去勢牛でも水準クリア 「つやま和牛」拡大へ手応え【岡山県 11月4週号】

191127_4.jpg

 【岡山支局】「自分たちでブランド和牛をつくりたい」「子牛の市場価格に左右される経営を少しでも安定させたい」という津山市の農家と関係者の思いから、行政と複数の畜産農家、流通業者らが一体となり、「つやま和牛」ブランド化への取り組みが進んでいる。井原(いはら)亨(とおる)さん(40)、みかさん(39)夫妻は2014年からこの取り組みに参画し、日々の努力の結果、つやま和牛を16年に初めて出荷することができた。

〈写真:「つやま和牛を多くの人に食べてもらいたい」と井原さん夫妻〉

耕作放棄地に繁殖牛周年放牧【長崎県 11月4週号】

191127_5.jpg

 【長崎支局】「耕作放棄地の解消と餌の確保もできる」と話すのは、佐世保市世知原町で繁殖牛10頭を飼育する末吉裕之さん(61)。後継者不足で耕作できなくなった地域の圃場のほか、狭くて機械などが使えず手間がかかる圃場も放牧地として利用している。母牛10頭を約7ヘクタールの圃場で周年放牧し、餌がなくなると、遠く離れた放牧地へは末吉さんがトラックに載せて移動するという。

〈写真:7ヘクタールの圃場を移動して放牧〉

加工品でリンゴ農家支援【青森県 11月4週号】

191127_6.jpg

 【青森支局】「町内産のリンゴを県外へ売り出したい」と話すのは、三戸町八日町でリンゴの卸と加工品製造・販売などを手掛ける株式会社SANNOWAの代表取締役社長・吉田広史さん(42)。今年1月にスタートした同社は、町内のリンゴ農家約20人と契約している。加工品に使う「紅玉」は「首都圏で人気があり、市場価格が高騰傾向にある」と吉田さん。見た目や大きさで選別せずに仕入れ、「リンゴ農家が減っている現状はとてももったいないと感じている」と話す。

〈写真:オリジナル商品の一つ「百年紅玉ジュース」〉

生食用ケール 通年栽培に挑む【徳島県 11月4週号】

191127_7.jpg

 【徳島支局】「より新鮮でおいしく、きれいなものを出荷できるよう、納得のいく野菜を作りたい」と話すのは、市場町で生食用ケールを栽培する木津主雄さん(64)。栽培1年目に500株を定植し、現在4年目。通年栽培を目指し試行錯誤を重ねている。「主食野菜になることはなかなかないが、固定のリピーターがいる野菜。特に冬場のケールは、葉にフリルが多くしっかりして、内に蜜をためるようになります。茎を折ると透明な蜜があふれて甘味が増すので、一度食べてみてほしい」と木津さん。

〈写真:「変わったもの、人とは違うものも栽培していきたい」とケール畑で笑顔の木津さんと妻の直美さん〉

茶農家がサトイモ栽培 農閑期に休耕地活用【埼玉県 11月4週号】

191127_8.jpg

 【埼玉支局】入間市の茶農家6人で構成する「根通り野菜生産組合」では、茶栽培や製茶作業の農閑期にサトイモを栽培し、所得向上を目指している。川越農林振興センターとJAいるま野東金子支店の全面的な協力で、2019年2月に組合が発足。両機関による栽培指導を受けながら、18アールでサトイモ栽培に取り組む。使用する畑は近隣から借り受け、市内の休耕地の有効活用につながっている。

〈写真:サトイモの選別作業に励む構成員〉

防風林「米粉の可能性広がる【2019年11月4週号】」

 ▼一時的なブームが過ぎて停滞していた米粉の需要に拡大の兆しが出てきた。2018年度の需要量は、前年度比6千トン増の3万1千トンと3万トン台に乗せた。今年は、さらに増える見通しだという。要因の一つは、グルテンフリー市場への対応だ。麦類に含まれるグルテンに、アレルギーや過敏症、病気を持つ人向けに、グルテンを含まない米を使った米粉や米粉加工品の需要拡大が期待されている。
 ▼グルテンを含まないことを証明するノングルテン米粉の認証制度が昨年からスタート。欧米のグルテンフリー表示の基準が、含有率20ppm未満のところ、認証制度は1ppm以下の自主基準を設けて優位性を持たせた。海外市場での需要拡大を期待し、政府も関係機関と連携して輸出を後押しする。また、米菓以外の菓子類は、年間の輸出額が200億円超の主要品目であり、材料の小麦粉を米粉に代える需要の増加も期待できる。
 ▼小麦代替需要の喚起に向け、昨年から菓子・料理用とパン用、麺用と3種類の用途別基準も設けられた。これまでは品種や製粉方法の違いで米粉の品質に差があり、利用者側から使いにくいとの声があったため改善を図った。米粉の粒度やアミロース含有率、水分含有率などの基準に適合した米粉に推奨マークが付与される仕組みだ。
 ▼製パン向きの「ミズホチカラ」など米粉に適した品種開発、米ゲルや米ピューレなど新たな加工技術の開発も進む。高齢化や人口減少を背景に、主食用米の需要は毎年10万トンの減少が見込まれているが、用途を広げ積み上げていけば、田園風景を支える柱に成長するだろう。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る