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今週のヘッドライン: 2019年12月 1週号

全国NOSAI大会 全ての農家に安心届ける(1面)【2019年12月1週号】

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 NOSAI協会(全国農業共済協会、髙橋博会長)は3日、東京都内で「『安心の未来』拡充運動令和元年度全国NOSAI大会」を開く。大会には、全国のNOSAI関係者ら約800人が参加。台風など自然災害が頻発する中、農業経営を守り抜く農業保険制度の機能発揮を通じて被災農業者の経営再建・安定を強力に後押ししていく決意を示すとともに、特に加入が伸び悩む収入保険制度については、制度のメリットなどの積極的な発信などを通じて全国10万経営体の加入目標の早期達成を目指すことを確認する。農業保険の実施団体として、全ての農家にセーフティーネットを届ける同運動の展開に全力で取り組む旨を決議する。

(1面)



登録品種の海外流出防止へ 利用・増殖の規制強化(2面・総合)【2019年12月1週号】

 優良品種の海外流出を防ぐため、政府は来年の通常国会に種苗法の改正案を提出する。登録品種の育成者権者が販売時に利用や栽培地域を「国内」や「都道府県」などに限定できる仕組みを設けることなどが柱。登録品種の増殖は、許諾制を導入する。近年、韓国や中国などに日本の優良品種が相次いで流出し、輸出拡大などへの悪影響が懸念される中、国産農産物の強みとなる登録品種の保護強化は喫緊の課題だ。生産現場が混乱しないよう、見直し内容の周知徹底を基本に、"日本の宝"を国全体で守り抜く実効性ある仕組みの整備・確立が求められる。

(2面・総合)

収入保険:台風15、19号の被災地域対象 保険料など支払期限3カ月延長(2面・総合)【2019年12月1週号】

 NOSAI全国連(全国農業共済組合連合会)は11月29日、台風15号と19号の被災地域を対象に、収入保険の保険料などの支払期限を3カ月延長する。被災した収入保険の加入者と加入予定者の負担を軽減し、経営を後押しする。
 対象は、台風15号と19号による災害救助法が適用された14都県390市区町村に住所を有し、2020年3月末以前に保険期間が開始される加入者および加入予定者。一括払いと分割払いの支払期限をそれぞれ3カ月延長する。保険料のほか、積立金や付加保険料(事務費)でも同様の対応を予定する。

(2面・総合)

異常気象 農業保険で備えを ―― NOSAI福岡(福岡県)(5面・NOSAI部長)【2019年12月1週号】

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 「2017年の九州北部豪雨以降も毎年、近くの市町村で被害が発生している」と話すのは、NOSAI福岡(福岡県農業共済組合)のNOSAI部長を務める、うきは市吉井町の江藤延雄さん(72)。損害評価員として、近隣の朝倉市を中心に発生した九州北部豪雨の被害を目の当たりにした経験から、収入保険に加入し災害に備えている。久留米市宮ノ陣町のNOSAI部長、荒巻隆慶さん(69)が副組合長を務める八丁島営農組合では、法人として水稲共済など農業共済制度に加入し、集落営農の経営安定を図っている。

(5面・NOSAI部長)

〈写真上:NOSAI職員と柿の生育状況を確認する江藤さん(左)〉
〈写真下:損害評価会委員も務める荒巻さん(右)〉

季節感と個性の「A品」野菜を供給 受注形式で高値取引 ―― はなまる農園(神奈川県小田原市)(10面・流通)【2019年12月1週号】

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 年間で野菜約50品目150品種(2.5ヘクタール)を栽培する、神奈川県小田原市東町の「はなまる農園」(石井久喜代表、47歳)では、関東圏のホテルやレストラン約30店舗に直売する。時期ごとに供給可能な品目を示して受注する形式で、出荷品は形が不ぞろいなものなどを除いた、いわゆる"A品"に限定し、取引価格の高値維持に努める。農園直営レストラン「はなまるキッチン」も運営し、品目の多さを生かしたサラダバーなどのメニューを展開。直営レストランでも使い切れない野菜は、ジュースなどに加工し、有効活用する。

(10面・流通)

〈写真:はなまるキッチン店内では青果も販売する。「料理を食べたお客様が、帰りに購入されることも多い」と石井さん〉

リンゴのフェザー苗木に灌水処理 定植1年目で初収穫 ―― 岩手県農業研究センター(11面・営農技術)【2019年12月1週号】

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 リンゴは、苗の定植から収穫まで5年程度の未収入期間が発生する。果樹農家の安定的な経営には、早期成園化に向けた技術の導入が欠かせない。岩手県農業研究センター(北上市)では、不織布ポットとベンジルアミノプリン液剤(ビーエー液剤)を使って副梢(フェザー)を数多く発生させる1年生苗木の育成時に、灌水(かんすい)処理を施すことで、樹体の生育が向上すると明らかにした。「ふじ」を使った実証試験では、定植2年目から結実し、無灌水区と比べて10アール当たり換算の収量が約3倍に増加した。ソーラー式自動灌水装置の導入によって、電源や水源の確保が難しい中山間地の傾斜圃場でも導入可能だ。

(11面・営農技術)

〈写真:実証試験に協力する長岡中央果樹生産組合の森川勇(いさみ)組合長。 定植3年目の灌水区で〉

そば文化を守る 5町村の"味"生かし商品開発 ―― 椎葉昌史さん(宮崎県椎葉村)(3面・暮らし)【2019年12月1週号】

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 自家栽培・自家製粉で手打ちそばの店を営む宮崎県椎葉村の椎葉昌史さん(37)は、世界農業遺産に認定されている高千穂郷・椎葉山地域をPRしようと、椎葉村を含めた5町村の特産品を生かしたそばの開発を進めている。費用は、インターネットを通じて構想を発信し、賛同者から資金を募るクラウドファンディングで調達。今後、道の駅などで販売を始める計画だ。「焼き畑で作る伝統のソバを何とかして継承していきたい」と話す椎葉さん。消費を増やすことで地元の農家を引き入れ、生産量の減少が続くソバ栽培の維持・振興を目指す。

(3面・暮らし)

〈写真:そばを打つ椎葉さん。「昼夜の寒暖差の影響で、甘みと香りが強くなる」と話す〉

台風19号で米が浸水 再乾燥に隣町の農家が助け舟【岩手県 12月1週号】

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 【岩手支局】10月12日の台風19号の接近に伴う河川の氾濫で、宮古市津軽石の伊藤壽雄さん(68)の倉庫が浸水。収穫後に保管していた米や乾燥機が被害を受けたが、山田町豊間根の木村良一さん(71)と佐々木清一さん(64)、佐々木茂さん(61)が所有する乾燥機で米を再び乾燥し、無事に出荷することができた。

〈写真:伊藤さん(中央)と乾燥作業に協力した佐々木茂さん(左)と佐々木清一さん〉

Jリーガーから専業農家に 「農業で地域に活気を」【広島県 12月1週号】

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 【広島支局】広島市の新規就農研修を受け、昨年12月に就農した広島市阿戸町の岡﨑和也さん(28)。同市東区出身で、高校卒業後にJ2のファジアーノ岡山などで6年間プレーした後、専業農家の道を選んだ。自ら名付けた「阿戸の和農園」で、コマツナを中心に葉物野菜の栽培に取り組み、2年目を迎えた。「農業なら、慢心することなく、ずっとやり続けられると思った」と岡﨑さん。農業を始める土地や資金がなかったため、広島市が専業農家としての自立を支援する「"ひろしま活力農業"経営者育成研修」に応募。農地の斡旋を受けられることが魅力だったという。

〈写真:「人と人とのつながりや『和』を大切にしたいから、阿戸の和農園と名付けました」と岡﨑さん〉

アボカドの産地化目指す【鹿児島県 12月1週号】

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 【鹿児島支局】アボカドを露地6アール、ハウス16アールで生産する南大隅町根占の濵田祐一朗さん(52)。「南大隅町がアボカドの一大産地になってほしい」と笑顔で話す。「国内での生産はまだ少なく、栽培方法などは文献や実地を基に学んでいる」と濵田さん。現在も町の営農指導員から剪定方法や施肥時期などの指導を受けている。

〈写真:「産地化することで町の活性化につなげたい」と濵田さん〉

「トウガラシ生産量日本一」を宣言【栃木県 12月1週号】

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 【栃木支局】「大田原市とうがらしの郷づくり推進協議会」は、2年ごとに発表される国の調査を基に今年6月、同市の「トウガラシ生産量日本一」を宣言した。市のトウガラシ生産は、1960年代に全国トップを誇っていたが、次第に衰退。かつての隆盛を取り戻そうと、大田原商工会議所を中心に生産者や加工業者、飲食店などで同会を2006年に設立した。

〈写真:トウガラシを収穫する小藤会長〉

サフランを新たな名産に【福岡県 12月1週号】

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 【福岡支局】田川市の宮本学さん(66)は、サフラン栽培を始めて今年で10年目を迎え、収穫量を年々伸ばしている。サフランは化成肥料や堆肥などをまいて水田を耕した後、11月下旬に球根を移植。5月ごろまで土の中で寝かせた後、田植え前に球根を掘り起こす。球根は苗箱に均一に並べ、日光が直射当たらない倉庫で乾燥。開花直前の11月中旬ごろまで保存しながら、球根から伸びる脇芽を週に1回の頻度で取り除き、最終的に新芽を2本残す作業を繰り返す。「少しずつ収穫量が増えているので、毎年、収穫が楽しみでなりません。地元の新しい名産品にできるように、出荷量増大に向けて大きな球根を生産していきたい」と意気込む。

〈写真:サフランの球根を手に宮本さん夫妻〉

防風林「訪日外国人に肉製品の持ち込み禁止の徹底を【2019年12月1週号】」

 ▼CSF(豚コレラ)の発生は、すでに9府県の50農場に広がり殺処分頭数は15万頭を超えた。発生農場の調査では、野生動物の侵入防止対策や豚舎にウイルスを持ち込まない服や靴などの使い分け、洗浄・消毒の不備が指摘されている。しかし、先が見えない状態で目に見えないウイルス対策の徹底を継続することは、農家には肉体的にも精神的にも相当な負担だ。
 ▼疫学調査チームの中間報告は、今回感染したウイルスの遺伝子は、近年、中国で発生するウイルスに近く、中国または周辺国からの侵入と推定する。日本には、ウイルスに汚染された豚肉か豚肉製品が持ち込まれ、捨てられたごみを食べた野生イノシシに広がり、初発の農場に侵入した可能性が高いという。発生国の肉や肉製品の輸入は禁止されているが、旅行者の手荷物に紛れて入ったとみられる。
 ▼空港などの検疫では、肉製品などは任意放棄してもらうが、持ち込みは後を絶たない。検疫所では、罰金や懲役など厳罰もあると伝えるポスターも作成し、働きかけを強化している。何より警戒するのは、中国や周辺国にまん延するASF(アフリカ豚コレラ)だ。CSFのようなワクチンがなく、感染力が格段に強いため、侵入を許せば国内養豚に大打撃となる。
 ▼農泊などインバウンド(外国人の訪日旅行)の増加は、農村振興の観点からも期待が大きいが、肉製品の持ち込みは厳禁。農場周辺は避けて、旅行を楽しんでもらおう。

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