今週のヘッドライン: 2020年01月 2週号
地域農業の基幹となっている肉用牛繁殖の新規就農者確保に向け、大分県竹田市では地域おこし協力隊が「肉用牛ヘルパー」として活動する。受け入れの核は、同市の久住地域肉用牛ヘルパー組合(植木三雄組合長=68歳)だ。地域おこし協力隊は、同組合のヘルパーとして活動しながら、さまざまな規模の現場で飼養管理のノウハウや工夫を学ぶ。農家との交流の中で人間関係が築けるため、定住と就農に踏み出しやすいメリットがあり、産地振興へ期待が大きい。
農林水産省は8日、沖縄県うるま市の二つの養豚場でCSF(豚コレラ)の感染が確認されたと発表した。2018年9月の岐阜県での感染確認以降、52例目と53例目で、10日には沖縄市で54例目が確認された。感染ルートは未解明だが、従来の発生地域から遠く離れた地域での発生は「日本中のどこで発生してもおかしくない状況」(江藤拓農相)を示しており、事態は一層緊迫度を増している。沖縄県は速やかに防疫措置を開始したが、早期封じ込めに向けた対応の徹底が求められる。中国などアジアではASF(アフリカ豚コレラ)もまん延している。国内養豚を守るために、国を挙げてあらゆる対策を強化・徹底する必要がある。
日米貿易協定が1日、発効した。環太平洋連携協定(TPP)11、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)に続く三つ目の大型協定の発効で、国内農業は経験したことのない自由化の逆風にさらされる。輸入農産物との競争激化が必至な情勢の中、政府には、生産基盤の維持・強化に向け、農業者が展望を持てる施策の充実・強化が求められる。
岐阜県多治見市の株式会社もみじかえで研究所(本間篤史代表、37歳)では、紅葉したモミジの葉を原料にお茶やサイダー、食用リーフなどを開発し、地域の新たな特産品として売り出している。インバウンド(外国人の訪日旅行)需要を後押しに、日本ならではの季節感のある商材として東京など首都圏のレストランやホテルを中心に販路を拡大。海外からの引き合いも強く輸出にも取り組んでいる。市内の農地約3ヘクタールに約3千本を植樹するほか、散策路を整備する計画もあり、秋の里山を彩る「見てよし、食べてよし」のモミジ産地を目指して地域活性化につなげたい考えだ。
農林水産省はこのほど、2019年「農業技術10大ニュース」として、この1年間で記事になった研究成果から内容に優れ社会的関心が高い10課題を選定、発表した。1位には東京農工大学や富山県などの研究グループが開発した水稲種子の温湯消毒技術が選ばれた。種もみをあらかじめ乾燥すると高い温度での消毒が可能となり、ばか苗病やいもち病などへ薬剤と同等以上の高い効果を発揮する。そのほか10大ニュースの中から、薬剤抵抗性の回避や農薬散布労力の削減に役立つと期待される新たな防除技術を紹介する。
日本特産農産物協会(佐々木昭博理事長)はこのほど、2019年度の「地域特産物マイスター」を認定。2月14日に東京都港区で開く「第19回地域特産物マイスターの集い」で認定証を授与する。新たに加わった10人の活動や技術の概要を紹介する。
年が明けて半月、正月に食べきれなかった餅が冷蔵庫の中に眠っている家庭も多いだろう。定番の味もいいが、ここはアレンジを効かせて、おいしく、楽しく食べきりたい。インターネットの生活総合情報サイト「All About」で「毎日のお助けレシピガイド」として活動する大石寿子さんに、餅を使った簡単レシピを聞く。
近年の自然災害は激しさを増し、宮城県や福島県、千葉県、長野県など東日本を中心に昨年、大きな被害をもたらした台風15号や19号などでは農地や農業用施設、農家住宅のほか、多数の農機具も冠水や泥の流入被害を受けた。修理や再取得には多額の費用が必要となり、自己資金だけでは負担が非常に大きい。農機具共済に加入し、自然災害や稼働中の事故に備えたい。
▼新年は、義理の母親が暮らす伊豆半島東岸の集落で迎えた。海岸近くまで山が迫る土地で、昔はボラ漁など漁業を主体に、斜面の畑でかんきつを栽培していたという。今は温泉やダイビングなどを楽しみに多くの人が訪れる観光地、別荘地でもあり、休日の国道は他県ナンバーの車で渋滞する。
▼以前は人の往来が盛んで活気もある地域と思っていたが、最近は集落を散歩すると空き家が目立つようになった。庭木が手入れされず、屋根や窓などが壊れ、放置されている。草に覆われた畑や、切り株が残る果樹園が何カ所もある。
▼人口減少社会に突入し、国内では空き家問題が深刻化している。総務省調査では、2019年の空き家数は846万戸と過去最高になった。持ち主不在で適切に管理できないと、防災や防犯、景観など多くの影響が心配される。積雪地帯では、雪の重みで家の倒壊も続き、住民の生活を脅かしている。
▼市町村では、住民の生活環境保全や安全確保などを目的に制定された空家等対策特別措置法に基づき、実態把握と所有者の特定、空き家の発生防止と活用に取り組む。しかし、基本は個人所有の財産のため、早急な問題解決は難しい。
▼散歩の途中、就学前の子ども4、5人が母親たちと遊んでいた。安心して遊べる環境づくりには地域住民の関わりも大切。今が知恵の出しどきだ。