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今週のヘッドライン: 2020年03月 4週号

被害予防は自分の手で 有害獣捕獲システムを構築 ―― 澤村勉さん(岩手県滝沢市)(1面)【2020年3月4週号】

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 岩手県滝沢市の澤村勉さん(67)は昨年の夏、育てていたトウモロコシが食害に遭い全滅したことから、「主力のスイカ(「縞無双〈しまむそう〉」20アール)とリンゴ(「ふじ」など55アール)に被害が出る前に」と有害獣捕獲に取り組んでいる。まず、カメラで調べてキツネやタヌキの侵入を確認した。ハクビシンが出入りしていることも突き止め、捕獲に向けて箱わなを購入。遠隔操作ができるよう加工し、今月上旬にキツネを初めて捕獲した。滝沢市役所農林課職員で地元猟友会にも所属している佐藤一将さん(43)からアドバイスを受けて、誘引餌を工夫した。4月からは猟友会に入会し、より大きな箱わなの使用や有害獣の情報収集に着手する予定だ。

(1面)

〈写真:「思ったように食いつかない」と箱わなを前に、滝沢市役所農林課職員の佐藤一将さん(左)に誘引餌の相談をする澤村勉さん。この1週間後にキツネを捕獲した〉

国産食材の需要喚起へ 農水省が新型コロナ対策でキャンペーン(1面)【2020年3月4週号】

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、農業分野にも深刻な影響を及ぼしている。農林水産省は17日、「国産食材モリモリキャンペーン」を開始した。国産農林水産物の魅力やレシピなどをSNS(会員制交流サイト)を通じて発信し、学校給食の停止やイベントの自粛で低迷する食材需要の喚起を図る。ロゴマークも作成し、民間企業と連携して家庭での活用を促す考えだ。

(1面)

花き基本方針案 基盤強化と需要増進(2面・総合)【2020年3月4週号】

 農林水産省は16日、「花き産業及び花き文化の振興に関する基本方針」の見直し案を示した。花き消費の伸び悩みや安価な切り花の輸入増などの状況を踏まえ、次世代施設園芸の面積拡大やスマート農業技術の導入など生産基盤の強化を図る方針を明記。輸出促進や、SNS(会員制交流サイト)などを活用した需要の増進も打ち出した。災害などリスクへの備えには「農業保険の普及推進」を強調した。花きは国民の心豊かな生活に貢献するもので、産出額は農業全体の4%を占め、若い農家の活躍が目立つなど農業・農村の振興に大きな役割を担う。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う需要減への対応を含め、生産者が安心して経営展開できる方針と具体策の実行が求められる。

(2面・総合)

昨年の台風19号でハウス倒壊、砂利流入 共済金が再建の力に ―― 株式会社小野花匠園(宮城県南三陸町)(5面・農業保険)【2020年3月4週号】

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 「以前は台風が宮城に来るころには勢力が衰えていたが、ここ2~3年はこれまでより強い」と話すのは、宮城県南三陸町歌津の株式会社小野花匠園〈おのかしょうえん〉の小野政道代表取締役(40)。昨年10月の台風19号による河川の増水でハウス1棟が倒壊、3棟に砂利が流入し、キク約1万本が被害を受けた。園芸施設共済の共済金を再建に当てる予定だ。父で共済部長(NOSAI部長)を43年務める則夫さん(68)は、「極端な大雨や高温が増えている。自然災害に備えることは欠かせない」と備えの大切さを話す。

(5面・農業保険)

〈写真:被害を受けたハウスを確認する小野則夫さん〉

特集:国産レモン 上昇気流(9面・特集)【2020年3月4週号】

 国産レモンが注目を集めている。輸入自由化の影響で一時は衰退したが、消費者の安全・安心志向などを背景に復活。年間生産量は約1万トンとなっている。新興国の需要増や円安などで輸入レモンと国産との価格差が小さくなっていることも追い風となり、産地では増産へ向けた動きが活発だ。ハウス団地で集団的に栽培し、端境期となる夏場の出荷で高値販売を実現する主産地広島県尾道市の法人と、千葉県松戸市で露地栽培し、自前の直売所で人気をつかむ生産者の事例を紹介する。

(9面・特集)


◆     ◆     ◆


・ハウス栽培で端境期に高値販売 より強い産地へ ―― 農事組合法人レモンの郷(広島県尾道市)

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〈写真:ハウスレモンの出来を確認する長畠耕一代表理事〉


◆     ◆     ◆


・都市部で生産・直売 魅力を消費者に ―― 鵜殿シトラスファーム(千葉県松戸市)

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〈写真:直売で利用客に自家産レモンの良さを伝えている
代表の鵜殿敏弘さん(左)と弟の芳行さん〉

気象変動に強い栽培管理へ 農研機構が支援システムの普及進める(11面・営農技術)【2020年3月4週号】

 12~2月は記録的な暖冬となり、長期予報では6~8月の気温は平年並みか高いとされている。農研機構・農業環境変動研究センターでは、水稲・麦・大豆を対象に、気象変動に強く効率的な栽培管理を手助けする「栽培管理支援システム」を試験的に公開し、実用化に向けて改良を進めている。1キロ×1キロ単位のメッシュ気象データや作物の生育モデルを基に発育を予測。高温障害対策となる追肥の可否や、薬剤の散布適期などをインターネットやメールで配信し、農家の判断に役立てる。2020年度末の完成を予定し、普及に向け、企業の製品開発などへの活用を促している。

(11面・営農技術)

農地情報をデジタル地図で一元管理 申請手続きを簡素化(2面・総合)【2020年3月4週号】

 農林水産省は17日、地図情報などの技術の進展を踏まえ、農地情報の一元的な収集・管理方法と効果的な活用方法を検討した「『デジタル地図』を活用した農地情報の管理に関する検討会」の取りまとめを公表した。同省が開発中の農林水産省共通申請システム(eMAFF)に農業共済組合や農業委員会、地域農業再生協議会が管理する農地情報をデジタル化して一元的に管理し、申請手続きの簡素化と管理業務の合理化などの実現を目指す。

(2面・総合)

衣類の泥汚れ 上手に落とすコツ ―― All About家事ガイド・毎田祥子さんに聞く(3面・暮らし)【2020年3月4週号】

 日々の農作業による衣類の泥汚れに困っている読者の方も多いのではないか。まもなく本格的な農繁期を迎えるにあたり、泥汚れを上手に落とすコツや、粉せっけんを使った「トロトロせっけん」の作り方などを、インターネットの生活総合情報サイト「All About」家事ガイドの毎田祥子さんに教えてもらう。

(3面・暮らし)

法人16社、個人300人のサポーター 消費者とミカン園再生【高知県 3月4週号】

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 【高知支局】「世界中のみんなで1000年つながる農業と食を育てる」を経営理念に活動する香南市野市町のNPO法人しあわせみかん山。後継者のいないミカン園を借り受け、農薬や化学肥料に頼らないミカンの生産と、その過程を消費者と共有する「手つなぎ流通」に取り組んでいる。

〈写真:ミカン園の土壌の課題について説明する岩間さん(右から3人目)〉

販路確保を手助け 通販サイトで野菜400種類【長崎県 3月4週号】

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 【長崎支局】島原半島産の新鮮な野菜を消費者に届けるインターネット通販サイト「トトノウ Online Shop」。サイトを運営する株式会社トトノウ(島原市本町)では、生産者と消費者をつなぐ仕組みを創出しようと、旬の野菜を約400種類販売し、月に300件ほどの注文があるという。

〈写真:トトノウは、島原市地域おこし協力隊の一人、光野さんと島原半島の農家11軒が発起人となって設立。「購入された方には、ほとんどリピーターになっていただいています」と話す光野さん〉


ブドウ専門の苗木生産 国産ワイン需要を支える【山形県 3月4週号】

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 【山形支局】ブドウの苗木生産量が国内の約6割を占める長井市芦沢で、ブドウ専門で苗木を生産・販売する「有限会社芦沢農園(代表=竹田喜博さん、69歳)」。ブドウ専門の苗木生産者が全国的に少ない中、同地区では同園を含む3戸が生産を続けている。創業は1960年。現在では同農園が出荷している10万本のうち、生食用が4割、ワイン用ブドウが6割を占めている。

〈写真:ドイツ製の赤いろうで継ぎ目を保護。70度で溶け、粘着力がある〉


耕作放棄地活用して大豆栽培 豆腐の受注製造も【山梨県 3月4週号】

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 【山梨支局】北杜市高根町浅川地区の農事組合法人玉浅(深澤秋朋代表、67歳)では、栽培した大豆で組合員が豆腐を手作りし、町内の家へ配達する。固定客は70軒ほどで、受注製造のため無駄がなく、持続可能な地産地消の取り組みとなっている。同法人は耕作放棄地などで大豆11ヘクタールを栽培。収穫量は年間16~17トンで、その1割を使用して豆腐約1万丁を製造する。

〈写真:毎週土曜日の朝に組合員16人が交代で製造する。左端が深澤代表〉


防風林「女性農業者が輝きを増すために【2020年3月4週号】」

 ▼フィンランドのサンナ・マリン首相(34)は、世界で最年少の現職女性リーダーだ。ニューヨークの国連本部で開かれた「国際女性デー」のイベントで演説し、男女平等社会の実現には政治的決断が必要と訴えた。同国では、閣僚も男性7人に対して女性が12人と多く、平均年齢は47歳と若々しい。
 ▼農林水産省は、5月にまとめる2019年度「食料・農業・農村白書」の骨子案を明らかにした。その中で男女共同参画社会基本法の施行20年を機に「輝きを増す女性農業者」を特集する。女性農業者による起業活動が増え、女性が経営に関与する経営体は収益性が高まる傾向にあると高く評価する。
 ▼ただ、女性の認定農業者は、1999年の2千人から2019年に1万1千人と5倍に増えたものの、全体に占める女性の割合はわずか4.8%だ。農業法人に占める女性の役員比率は21.9%あるが、建設業や製造業など他産業と同じかやや高い程度に過ぎない。
 ▼以前から、農業・農村で女性の役割は重要と言われ、特に高度成長期以降は、企業などに就労する男性に代わって女性が農業と家庭を支えてきた。しかし、今は働き方改革が問われる時代だ。家事や育児、介護などの負担から解放するくらいの意識改革が求められる。
 ▼白書でも、「輝きを増す」と持ち上げるだけでなく、共同参画社会に向けた課題と具体策を明確に示すべき。政策面での働きかけも含めてだ。


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