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今週のヘッドライン: 2020年06月 4週号

収入保険が支えるコロナ禍の営農 大幅な価格低下、輸出不能も......つなぎ融資で乗り切る(1面)【2020年6月4週号】

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 「スターチスの価格が1本80円から1円まで下がり、収入が激減した。収入保険のつなぎ融資には感謝しかない。これで頑張れる」と話すのは、熊本県高森町色見で1.5ヘクタールの花きを生産、出荷する有限会社ウトウファームの宇藤康博代表取締役(56)。新型コロナウイルス感染症対策によるイベントの中止などで収入が大きく減ったが、つなぎ融資(資金)の貸し付けで危機を回避した。愛知県豊田市豊栄町で約3.5ヘクタールの茶園を経営する籔押通之〈やぶおしみちゆき〉さん(57)は4月から輸出が急減したが、つなぎ融資で経営を持続。収入保険は、新型コロナ禍で収入が減少した農業者を力強く支えている。

(1面)

〈写真上:東京オリンピック向けに、平年より多く作付けしていたという宇藤代表〉
〈写真下:NOSAI愛知からの案内で、つなぎ融資を申請した籔押さん(右)〉

農家が稼げる輸出を 5兆円目標へ農水省が会合(2面・総合)【2020年6月4週号】

 農林水産省は19日、農林水産物・食品輸出本部会合を開き、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた輸出支援などを協議した。政府は2030年に輸出額5兆円の達成目標を掲げており、緊急経済対策などを活用して早急に輸出体制を立て直し、変動する商流の確保や消費者の行動変容に対応する必要がある。江藤拓農相は本部会合で「輸出の拡大に向けた反転攻勢をかけて、農業従事者の所得に直結する輸出を進めていく」と述べた。

(2面・総合)

改正卸売市場法が施行 取引ルールを大幅に緩和(2面・総合)【2020年6月4週号】

 改正卸売市場法が21日に施行された。取引ルールの大幅な緩和が盛り込まれた。売買取引の方法の公表や差別的取り扱いの禁止などは、従来と同様に卸売市場の共通ルールとして位置付ける。一方で、第三者販売の禁止と直荷引〈じかにび〉きの原則禁止、商物一致の原則は、共通ルールに反しない範囲で卸売市場ごとに定めることができるとした。

(2面・総合)

台風被害を経験 農業保険は必要 ―― NOSAIわかやま(和歌山県)(3面・NOSAI部長)【2020年6月4週号】

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 NOSAIわかやま(和歌山県農業共済組合)では、大型の台風で被災経験のあるNOSAI部長が、広報紙の配布時に備えの重要性を説くなど、組合員に寄り添い活動する。トマトの部会を結成し、新品種の導入に意欲的など、地域農業の発展にも力を入れる2人のNOSAI部長に話を聞いた。

(3面・NOSAI部長)

〈写真上:NOSAI職員と話すトマトやサンショウを栽培する東邦一さん(左)。「共済金の迅速な支払いなど、NOSAIには感謝している」と話す〉
〈写真下:スモモの生育状況をNOSAI職員と確認する西村嘉行さん(右)。ミカンやスモモなどを栽培する〉

20年産温州ミカン予想生産量 78万トンの見込み(4面・流通)【2020年6月4週号】

 農林水産省は12日、温州ミカンの2020年産の予想生産量を78万トン・前年実績比で約4%増になると発表した。19年産が自然災害の影響で生産量が伸びなかったことや、産地によるばらつきはあるものの、全国的には十分な着花量が確保されているとしている。

(4面・流通)

果樹カメムシ 今年は暖冬で多発 袋かけ後も観察徹底を(9面・営農技術)【2020年6月4週号】

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 暖冬の影響などで、今年は各地で果樹カメムシ類の越冬量が多く、15日時点で16県で注意報が発表されている。農林水産省によると、春先~夏にかけての発表件数は過去10年間で最も多い。多発年は果実への袋かけなどでは防ぎきれない場合もあり、継続的な園地の観察と適期の薬剤散布が重要となる。

(9面・営農技術)











「出雲生姜」多彩な商品で地域に恩返し【島根県 6月4週号】

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 【島根支局】出雲市の南浩二さん(38)は7年前に公務員を退職し、同市斐川町でショウガ栽培を始めた。2014年には株式会社「出雲生姜屋」を設立。両親と妻の家族4人で、独自ブランド「出雲生姜」を生産する。また、加工品にも力を入れ、同町の神社と連携した「じんじゃエール」を販売するなど、出雲地域のPRに積極的に取り組む。

〈写真:「ショウガは自家製の発酵肥料だけを使って栽培しているので安全・安心です」と南さん〉


棚田保全に若者たち集う【岩手県 6月4週号】

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 【岩手支局】一関市舞川の「金山棚田」の美しい景観を残そうと、市内の若者で構成する「いちのせきシェア農園」(代表・櫻井陽さん=28歳)がこのほど田植えを行った。棚田は所有者の金山孝喜さん(82)が守ってきたが、高齢のため本年度の作付けを断念。地域おこし協力隊として棚田で農作業を経験した櫻井さんが、「棚田の景色が無くなることに危機感を持った。まずは1年やってみようと思った」と作付けを決意した。

〈写真:市内外から親子連れなど45人が参加。金山さんら地元の農家に教わりながら、50枚の水田(延べ25アール)に「ひとめぼれ」やパエリアの材料となるボンバ米を手植えした〉


安定した経営へ収入保険で備える【熊本県 6月4週号】

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 【熊本支局】「息子(敬祐さん・32歳)と相談しながら、今後の経営を考えています」と話すのは、八代市で水稲300アール、キャベツ300アールなどを栽培する永野政幸さん(63)。自然災害や市場価格の変動などによる収入減少に備え、今年から収入保険に加入した。「ほかの制度と大きく違って魅力と思えたのが、補償対象の広さです」と政幸さん。「新型コロナウイルスが今後どうなるか分かりませんし、大きな災害がいつ発生するかも分かりません。収入保険に加入していて良かったと思うときが間違いなくくる気がします」と話す。

〈写真:「今年の露地野菜は出荷するだけ赤字になる時期があった。収入保険に加入して良かった」と永野さん〉


グローバルGAP認証 世界に通用する野菜作りへ【長崎県 6月4週号】

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 【長崎支局】諫早市の愛菜ファーム株式会社(花田邦男代表取締役=72歳)では、2009年から農業生産工程管理の国際規格「グローバルGAP」取得の準備に取りかかり、取り組み開始から約1年半後の11年に認証を取得した。同社の専務取締役・山内末広さん(65)は「世界に通用する野菜の生産を目指しています」と話す。現在、ビニールハウスでミニトマト7.5ヘクタールや大玉トマト1ヘクタール、露地でタマネギ14ヘクタールやニンジン10ヘクタールなどを栽培。「各作業現場の衛生管理や従業員の健康管理、日々の農作業などすべて管理・記録しなければならないのは大変でした」と山内さん。安全・安心のための管理を徹底するため、従業員にGAPの必要性を伝え意識改革を図り、統一した指導や作業手順・ルールの習熟に苦労したという。

〈写真:ミニトマトを収穫する社員の佐藤達路さん〉

有機茶の魅力発信 農法伝授、販売店向けツアーも【静岡県 6月4週号】

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 【静岡支局】藤枝市滝沢の「有限会社人と農・自然をつなぐ会」は、家族経営で茶の有機農業を44年間実践している。農法や思いを広く伝え引き継いでもらうため、研修生を受け入れ、個人や販売店向けの園地ツアーなどを実施。市内2カ所目となる農家民宿も経営し、茶の魅力を語り合う場を設けている。栽培面積は、耕作放棄地約2ヘクタール分を改植するなど、現在では6.5ヘクタールまで拡大。栽培、加工、販売に一貫して取り組む。「新型コロナウイルスがまん延したことで、自分に何ができるか考えました」と同社代表取締役の杵塚一起さん(32)。「お茶を購入したお客さまから感謝の手紙が届き、この時期だからこそ支えられていると実感できました」と話す。

〈写真:左から姉の民子さん(38)、一起さんの妻・佳苗さん(32)、一起さん、住み込みで3年目の研修を受けるギャビン・マックファーレンさん(26)〉


防風林「備えの重要性を訴える2020年版防災白書【2020年6月4週号】」

 ▼先ごろ閣議決定された「2020年版防災白書」は、激甚化・頻発化する豪雨災害を特集。「気候変動の影響により、気象災害のリスクは一層高まるおそれがある」と指摘し、国民の防災意識を高め、気候変動に適応した防災対策を整備する必要性を強調した。
 ▼19年は、前線に伴う大雨や6個の台風の接近・上陸で、広範囲に甚大な被害が発生した。その際、NPOや個人などのボランティアが、行政では手が届かない、地域の実情に応じたこまやかな被災者支援活動を展開したと評価している。特に「令和元年東日本台風」(台風19号)のボランティア数は延べ19万7千人になったと報告した。
 ▼行政、自衛隊とNPOなどが連携した災害廃棄物撤去の事例も紹介する。長野県では、17年3月の地域防災計画に災害ボランティア団体などとの連携を規定。平時から災害時を想定した訓練や研修を実施してきた。この準備が、発災当日からの泥や廃棄物撤去をスムーズにしたと報告する。
 ▼災害はない方が望ましいが、事前の準備次第では、被害拡大の抑制にもつながるだろう。

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