今週のヘッドライン: 2020年07月 1週号
慢性的な人手不足への対応策として、兵庫県では、都市住民を農村ボランティアとして受け入れる「ふるさとむら活動」に取り組む。丹波篠山市真南条で水稲や大豆、野菜などの複合経営をする農事組合法人真南条営農組合(42ヘクタール、組合員50人、酒井由雄代表理事)は、5ヘクタールをボランティアと管理する。「長く楽しく協力してもらう」を合言葉に、受け入れ先としての魅力づくりにも積極的だ。
農林水産省は6月24日、収入保険の実施状況を発表した。2020年4月末時点で全国で3万4723経営体が加入。19年1月からの加入者の申告に基づき、3049件、72億円の保険金などを支払った。迅速な貸し付けで保険期間中の収入減少を補う「つなぎ融資」を36億円貸し付け、農業者の経営安定を支えている。外国人実習生が来日できない、学校給食の休止など新型コロナウイルスによる収入減少に対しても4月末時点で4件に5千万円を貸し付けている。21年1月からは、野菜価格安定制度から移行する場合、1年間は同時利用を可能とするなど加入しやすくなる予定だ。NOSAIは、経営のセーフティーネットである収入保険を全国の農家に届けるべく加入推進に全力で取り組んでいる。
◆【関連記事】収入保険 2021年を補償期間とする加入申請受け付け中 早めの手続きを(3面・収入保険)
⇒http://www.nosai.or.jp/mt6/2020/07/post-5859.html
農林水産省は6月24日、食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会を開き、2021年度から25年度を計画期間とする次期土地改良長期計画の策定に向けた検討を開始した。3月に閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」を踏まえ、担い手への農地の集積・集約化による成長産業化と国土強靱〈きょうじん〉化による防災・減災対策の推進を課題としている。11月に中間取りまとめを示し、来年3月の閣議決定を目指す。
自然災害やけがによる作業不能のほか、新型コロナウイルスによる収入減少も補てんする収入保険。2021年を補償期間とする加入申請を現在受け付け中で、加入を考えている農業者は早めに手続きをしてほしい。収入保険の仕組みについて稲穂ちゃんがNOSAI職員のみのるさんに聞いた。
◆【関連記事】農業者の経営を支える 収入保険実施状況 72億円支払う(2面・総合)
⇒http://www.nosai.or.jp/mt6/2020/07/post-5861.html
圃場など屋外で作業をする際は、マダニに注意が必要だ。さまざまな感染症を媒介し、重症化する事例も報告されている。マダニから身を守る方法について、国立感染症研究所昆虫医科学部の沢辺京子主任研究官に解説してもらう。
畑土壌では、連作で地中に排水しにくい耕盤ができ、深耕などによる破砕が重要となる。若手野菜農家5人で販路開拓や技術向上に取り組む神奈川県相模原市の農事組合法人つ組では、中古のサブソイラーの導入や緑肥の利用などで、低コスト・省力的に耕盤を破砕し、湿害や土壌流亡を抑えて、生育安定につなげている。
【山形支局】飯豊町中津川地区の全戸で構成する「中津川むらづくり協議会」(渡部恵介会長)では、2013年に「野生動物被害対策委員会」を設置し、同町鳥獣被害対策協議会と連携を図りながら、獣害対策に取り組んでいる。対策の中で最も効果を上げたのは、電気柵の設置だった。同協議会で国の助成金を活用して10セット分の資材を購入し、主に販売目的で野菜を栽培する農家に貸し出した。システム本体はソーラーパネルで蓄電し、24時間稼働できる。電気柵はワイヤを8段張りとした。地面から15センチ間隔で4段配線し、5~8段目は20センチ間隔でプラスとマイナスのワイヤを交互に設置する。そうすることで、サルが支柱に飛びつき地面から足が離れたときでも感電する仕組みだ。
〈写真:ワイヤを8段張りにした電気柵。下4段はイノシシの鼻先に、上4段はサル対策に〉
【岩手支局】6ヘクタールの園地で20品種ほどのリンゴを栽培する奥州市江刺愛宕の髙橋学さん(52)は、従業員の作業の安全と効率化を考慮して高所作業機を導入した。昨年は音楽の演奏とリンゴの試食販売をセットしたイベントを開催。適期作業による良質なリンゴ生産と、「自分にしかできないPRや経営」に奮闘する。剪定や摘果の作業は今まで脚立を使っていたが、今年から高所作業機を導入した。「労力の軽減やけがの予防になった」と話す。機械の導入は作業の効率化にもつながっているという。昨年10月には地元のホールを会場に「駒込果樹園収穫祭2019」を開催した。ホールの中のバンド演奏で、髙橋さんはギターの腕前を披露した。屋外では自家産果樹の試食販売会。「自家産リンゴのPRになった」と話す。
〈写真上:「機械の導入は『手抜き』ではなく『楽』をするため。おいしいリンゴを作り続けたい」と髙橋さん〉
〈写真下:高所作業機は軽トラックの荷台に載せて移動〉
【長崎支局】平戸市根獅子町で繁殖和牛26頭を飼育する松山靖徳さん(58)は、ラップサイレージ運搬用補助バンドを自作した。ホームセンターで購入した荷物運搬用ベルトと鉄筋棒を使用し、縫製や加工などを施したという。手作りバンドの使い方は簡単で、両端に取っ手を取り付けたバンドをラップの後ろへ通し、体に密着させて持ち上げる。「以前は腕や腰に負担がかかっていたが、このバンドのおかげで作業がかなり楽になった。ラップを体全体で持ち上げられるので、力のない女性や高齢の方でも作業が楽になると思う」と効果を実感している。
〈写真:「簡単に持ち上げられます」と松山さんの妻・周子さん〉
【鹿児島支局】病気やけが、市場の価格低下などによる収入減少を補てんする収入保険は、今年から保険金の支払いが始まっている。鹿屋市下高隈町で茶園7.5ヘクタールを経営する池田三郎さん(46)に、収入保険の評価などを聞いた。
〈写真:「収入保険に加入しているので安心して経営に取り組める」と池田さん〉
▼東京都の人口が5月1日現在で1400万人を超えた。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い移動自粛などが要請された中でも、就職や進学による転入が増えたためだ。日本の人口はすでに減少局面に入っているものの、一極集中の傾向は今後も続く見通しだ。
▼政府の専門家会議が提言した「新しい生活様式」では、密集、密接、密閉の「3密」回避を基本とし、公共交通機関の利用や買い物、スポーツ観戦などは他人との間隔を広く空け、イベントや会議はオンライン方式の活用を呼びかける。審議会や検討会、シンポジウムなどの傍聴は、ウェブ会議システムの利用が急速に増えている。
▼画面越しの傍聴や対話は、まだ不慣れなために不便で、親近感も乏しく感じる。しかし、相手との距離が問題にならないメリットは大きい。東京で開く音楽ライブなど、わざわざ上京しなくても全国で同時に楽しめる環境が整っている。
▼東京一極集中からの脱却は、政府の長年の課題でもある。省庁移転はその一環だが、規模が縮小し、現状で全面移転の決定は文化庁だけだ。地方移住志向の高まりも踏まえ、一極集中のリスク回避を進める時期ではないか。