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今週のヘッドライン: 2020年08月 3週号

農ある生活を楽しむ にぎわう農業体験農園 ―― 緑と農の体験塾・加藤義松さん(東京都練馬区)(1面)【2020年8月3週号】

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 新型コロナウイルスの感染拡大により外出の機会が減る中、農家のアドバイスを受けてプロ並みの野菜を生産できる「農業体験農園」がにぎわいを見せている。東京都練馬区南大泉で農業体験農園「緑と農の体験塾」を運営する加藤義松さん(66)は、152区画(1区画30平方メートル)を用意し、初心者にも分かりやすく農作業を手ほどきする。農業体験農園の運営を支援する特定非営利活動法人全国農業体験農園協会の理事長も務め、利用者に農業の魅力を発信している。

(1面)

〈写真:利用して16年目の長島良介さん(右)の区画を確認する加藤義松さん〉

農水省が「気候変動適応ガイド」作成 中長期計画の策定提起(2面・総合)【2020年8月3週号】

 農林水産省は7日、気候変動による農業生産への影響や将来予測、適応策などをまとめた「農業生産における気候変動適応ガイド」の水稲編、りんご編を作成、公表した。都道府県の農業部局担当者や普及指導員向けに、産地が気候変動に対するリスクマネジメントなどを実行する際の指導手引きとして同省ホームページで公開している。高温や降雨など過去に経験のない気象により、品質低下や病害虫の多発など農家の経営リスクは増大している。被害回避に向けて開発が進む高温耐性品種や適応技術の導入をはじめ、さらなる温暖化の進行に備え、中長期的な産地の適応策実行計画策定などが急務となっている。

(2面・総合)

「地域おこし協力隊マネージャー」創設 チーム力強化と人材定着へ(2面・総合)【2020年8月3週号】

 総務省はこのほど、地域おこし協力隊のチーム力強化と人材の定着を目指し、隊員のまとめ役となる「地域おこし協力隊マネージャー」(仮称)を創設する方針を明らかにした。2021年度の予算編成の中で具体化していく。
 地域おこし協力隊制度は、都市から農村に住民票を移した人を地方公共団体が隊員として委嘱。1年以上3年以下の任期で、農林水産業の振興や地域ブランドの開発・販売、住民の生活支援などの仕事に従事する。新設する「協力隊マネージャー」は、地域活性化プロジェクトの責任者や、まとめ役となる隊員を任命し、行政、地域、事業者との関係構築などに当たってもらう。

(2面・総合)

「保管中農産物補償共済」が9月からスタート 米麦大豆にリンゴ、ナシなど果実も(3面・農業保険)【2020年8月3週号】

 NOSAI団体は、収穫後の保管中や運送中の災害などで、農産物に生じた損害を補償する任意共済「保管中農産物補償共済」を9月からスタートする。農作物共済や果樹共済、畑作物共済に加入する品目が補償対象だ。収入保険への加入で保管中や運送中の被害は補償されるものの、対象となる青色申告を行う農業者は、全国で約46万人と限られる。昨年の台風19号被害では、保管中の果実などが被災したことを受け、全ての農家に補償を行き渡らせることを目的に新設した。自然災害は近年甚大化しており、秋に向けて大型台風の襲来も懸念されるため、収入保険に加入していない場合は、保管中農産物補償共済に加入してほしい。

(3面・農業保険)

身近な材料でDIY ―― DIYライターの和田義弥さんが紹介(5面・すまいる)【2020年8月3週号】

 自宅で過ごす時間の多い今夏、農作業の合間を活用してDIY(手作り)に取り組んでみてはどうだろうか。短時間で製作できる使い勝手の良い2品を、DIYライターの和田義弥さんに紹介してもらう。

(5面・すまいる)

西日本を中心に水稲害虫トビイロウンカが多発 適期防除で坪枯れ防げ(7面・営農技術)【2020年8月3週号】

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 西日本を中心に水稲の坪枯れなどの被害をもたらすトビイロウンカの多発が、昨年に続き予測されている。農林水産省によると11日現在、警報は山口県と愛媛県、注意報は佐賀県をはじめ9県が発令している。増殖力が強く、飛来数は少ないが世代を重ねるごとにその数を大幅に増やす。防除適期を逃さず、適切に対処することが肝要だ。

(7面・営農技術)


農産物検査員の資格取得 自社産米を直接販売【8月3週号 北海道】

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 【北海道支局】岩見沢市志文町で水稲26ヘクタールなどを作付ける株式会社倉田農場(代表取締役・倉田真二さん=52歳)は、「倉田農場」と印字された紙袋に、「ゆめぴりか」「ななつぼし」「あやひめ」「おぼろづき」などを詰めて販売している。04年にインターネットや精米機を併設した農場の直売所で販売を開始した。妻の真奈美さん(47)は、直売所の店長を務める傍ら日本穀物検定協会のお米アドバイザーや日本炊飯協会のごはんソムリエの資格を取得。自社農場で生産する米の販売をサポートする。倉田さん夫妻は、消費者に米を直接販売するには自身が米の品質を正しく理解する必要性があると考え、農産物検査員の資格を取得し、安定した品質の商品を提供する努力を惜しまない。

〈写真:「倉田農場」と印字された米袋を手にする真奈美さん〉

ホウレンソウ周年栽培 収入保険が後押し 面積を大幅に拡大【8月3週号 広島県】

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 【広島支局】周年でホウレンソウを栽培する北広島町中原の多川純利〈たがわ・まさとし〉さん(34)は、19棟だったハウスを昨年32棟(70アール)に増やし、露地栽培(75アール)も始め、ホウレンソウの面積を大幅に拡大した。「収入保険があったことで、規模拡大に踏み切れた」と話す。同町の農業研修を受け、7年前に30アールからホウレンソウ栽培を始めた。「従業員もいて、今後さらに規模拡大するには補償が必要だった」。収入保険に加入したことが後押しとなり、自動コンベヤーの導入で作業効率アップを図り、1日の収穫量150キロ(冬場は200キロ)を目標に取り組んでいる。

〈写真:「経験を積み、収量を毎年上げることができている」と出荷作業に励む多川さん〉

ヤマブドウ 雄樹本数に比例して増収 草刈り徹底で病虫害防ぐ【8月3週号 岩手県】

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 【岩手支局】ヤマブドウ2ヘクタールを栽培する洋野町大野の下川原重雄さん(67)は、病虫害を防ぐため園地内の草刈りを小まめに行い、雄樹の近くに雌樹を植樹することで収量を増やし、昨年は15トンを出荷した。葛巻系や大野系など10種類を栽培。主にワイン用として出荷している。雄樹の10メートル以内で雌樹の栽培を心掛けている。「収量を増やすには、雄樹を植える間隔が重要。雄樹の隣は結実が良い」と話す。雄樹は年々増やしているという。下川原さんは「現在は全体の本数の3割ほどが雄樹。雄樹の本数に比例して収量も増えている」と話す。

〈写真:「収量を増やしたい」と今年植樹した雄樹を見守る下川原さん〉

糖酸比重視の良品ブドウ 散水装置を傘で覆い裂果防止【8月3週号 香川県】

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 【香川支局】ハウス13アールでブドウ「ピオーネ」「シャインマスカット」を栽培する高松市国分寺町の森正樹さん(70)。ハウス内の19基の散水装置全てをビニール傘で覆って灌水〈かんすい〉する。水を傘に当て、上に広がらないようにすることで、房に当たる水を減らし、実の割れを抑える。「100円均一の店で買えるビニール傘で、安価に済ませられるところも気に入っている」。食味では、近年は甘いブドウが好まれる傾向にあるが、甘味と酸味のバランスの良い味を目指す。「実の劣化を抑える役割がある酸味は必要。特にシャインマスカットは酸味を感じにくく、調整が難しい」。糖度の値を酸味の値で割ったうま味指数「糖酸比」を重視し、両品種とも糖度17度以上、酸味値0.5の房で出荷する。

〈写真:散水装置をビニール傘で覆う〉

防風林「暑熱の夏 体調管理は万全に【2020年8月3週号】」

 ▼梅雨明け以降、太平洋側を中心に厳しい暑さに見舞われている。8月に入り、東京は連日気温30度を超え、35度超の猛暑日も10日から4日続いた(14日現在)。7月末までの「令和2年7月豪雨」から一転の猛暑で、熱中症にならないよう慎重に過ごしたい。
 ▼消防庁の速報値では、7月27日~8月9日の熱中症による救急搬送者1万90人のうち309人が農林漁業関係者だ。年齢を重ねるほど、暑さや水分不足に対する感覚機能や体の調整機能は低下するとされている。日中の作業では、感覚だけに頼らず、こまめの水分補給と早めの休憩を励行してほしい。
 ▼東京オリンピックパラリンピックは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い1年延長された。開催予定は、来年7月23日~8月8日、8月24日~9月5日だ。今年のような猛暑なら、特に屋外競技の競技者の負担が大き過ぎないかと心配になる。気象は年ごとの変動が大きく、コロナ禍の収束も見通せない中で先回りし過ぎだろうか。
 ▼メダルをかけたトップ選手の競い合いを楽しみたい。ただ、実力を十二分に発揮できる環境があってこそだ。

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