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今週のヘッドライン: 2020年09月 1週号

収入保険の保険料補助を実施 セーフティーネット堅固に ―― NOSAI南薩管内7市(鹿児島県)(1面)【2020年9月1週号】

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 「収入保険の昨年分の保険料の2分の1が今年春、戻ってきた。生産者にとってありがたい。『令和2年7月豪雨』や新型コロナウイルスの影響を受ける中、収入保険は必要」と話すのは、鹿児島県南九州市川辺町の生田フラワーズファーム合同会社・生田茂雄代表(54)。南九州市を含むNOSAI南薩(南薩農業共済組合)管内の7市では、収入保険の保険料補助を実施し、2019年加入分は1200万円(約210件)を補助。経営のセーフティーネットを広めることに大きく貢献している。

(1面)

〈写真:「収入保険に加入していると、新しい品種や栽培方法を試すときも安心」と生田代表〉

台風接近数が20年で1.5倍に 激甚化への備え急務(2面・総合)【2020年9月1週号】

 気象庁気象研究所は8月25日、日本の太平洋側に接近する台風の数が2019年までの40年間で増加し、強度も増していると発表した。東京では、1980年以降の20年間に接近した台風の数に比べ、2000年以降の20年間の数が約1.5倍に増加した。移動速度も遅くなり、影響を受ける時間が長くなっている。9、10月は台風の発生が増え、気象災害へのリスクが高まる。被害を最小限にする防災・減災対策を進めるとともに、収入保険や園芸施設共済などの農業保険への加入による備えが欠かせない。

(2面・総合)

5~7月の豪雨災害が「激甚災害」に指定 7月豪雨の農業被害は1080億円超に(2面・総合)【2020年9月1週号】

 政府は8月28日、「令和2年7月豪雨」を含めた今年5月15日から7月31日までの豪雨災害を「激甚災害」に指定し、併せて適用措置などを指定する政令を公布・施行した。被災自治体による農地などの災害復旧事業に対し、国の補助率をかさ上げする。

(2面・総合)

収入保険:来年から初めて加入の場合、野菜価格安定対策事業と同時利用が1年間可能に(3面・収入保険)【2020年9月1週号】

 収入保険の加入要件の一つは類似制度を利用しないことだが、来年1月から収入保険に初めて加入する場合は、野菜価格安定対策事業と1年間に限り同時利用が可能となる。収入保険加入時に農業者が判断する。野菜価格安定対策事業の利用者からは、価格低下だけでなく、自然災害などのリスクにも備えたいという声がある一方、野菜価格安定対策事業から収入保険への移行時の解除手続きに時間を要する事情がある。緊急かつ特例的な措置として、収入保険に加入してみたいという農業者の声に配慮し、同時利用が実現した。

(3面・収入保険)

農作業前のストレッチ ―― 奈良県御所市・神橋筋整体院の神橋勝悛院長に聞く(5面・すまいる)【2020年9月1週号】

 中腰姿勢での作業や重量物の持ち運びなど、農作業が原因の腰痛などでお悩みの方は多いだろう。けがや腰痛の予防に向けて、農作業の前に実践できるストレッチを、奈良県御所市の神橋筋整体院の神橋勝悛〈かんばしまさとし〉院長に教えてもらう。

(5面・すまいる)

ナス栽培に土着天敵タバコカスミカメ 「ゴマまわし」で周年利用 ―― 徳島県立農林水産総合技術支援センター(7面・営農技術)【2020年9月1週号】

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 ナスの周年栽培に向けて、西南暖地に多く生息する土着天敵タバコカスミカメを使いミナミキイロアザミウマの被害を抑えるIPM(総合的病害虫・雑草管理)技術「ゴマまわし」を徳島県立農林水産総合技術支援センターが開発した。ゴマを好み、増殖するタバコカスミカメを温存しながら露地と農業用ハウスを行き来させる。導入コストは、取り組み当初の種子代程度で済む。殺虫剤の使用量と暴露を減らして、農業者の経済・身体両面での負担軽減につなげられる。想定する規模は露地、施設とも10~20アール。同センターの中野昭雄農業革新支援専門員は、「害虫の薬剤抵抗性を心配せず、安価にミナミキイロアザミウマに対処できる。温存植物を維持する施設の確保も必要ない」と利点を説明する。

(7面・営農技術)

〈写真:阿波市阿波町の伊月彰人さん(左)は、基本に忠実にナスの畝の端、支柱のそばにゴマを植えている。「食害された形跡もなく、生育は順調」と中野さんに話す〉

経営支える収入保険【9月1週号 岩手県、徳島県】

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 収入保険は、自然災害だけではなく、取引先の倒産や農業者の病気、新型コロナウイルス感染症の影響による売り上げの減少など、幅広い補償が特徴だ。今年、保険金の支払いやつなぎ融資による早期支払いが始まった。そこで補てん金を受け取った盛岡市の浅沼和弘(あさぬま・かずひろ)さん(57)と徳島県阿南市の松﨑克弘(まつざき・かつひろ)さん(64)に経営における収入保険の位置付けについて聞いた。

〈上写真:「近年は想定外の自然災害が毎年のように起こるので、収入保険は必要だと思います」と浅沼さん〉
〈下写真:「迅速な支払手続きができるつなぎ融資もあり、安心して経営に取り組めます」と松﨑さん〉

独自のブランド和牛 ネット販売に勝機【9月1週号 秋田県】

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 【秋田支局】羽後町西馬音内で黒毛和牛を一貫経営する佐藤畜産=佐藤金市代表、70歳、肥育牛と繁殖牛、子牛合計約220頭。加工や販売まで全て自社で行い、インターネットを使った販売も展開している。
 仕上げた肥育和牛は市場に出荷せず、独自ブランド「羽後和牛」として同社の直売店「羽後和牛さとう」で販売。直売店を始める前から「楽天市場」や「ヤフーショッピング」などでインターネット販売を展開し、今年で12年がたつ。主に関東や関西の利用客へ提供してきた。
 購入者の要望に応じ、細かい部位の指定や必要な量にも対応している。金市代表の長男・弘さん(41)は「他店ではあまり対応していないような要望にも応え、付加価値を付け販売している」と話す。

〈写真:特選ヒレステーキ(シャトーブリアン)〉

ニンニクで加工品 遊休農地の利用も【9月1週号 福島県】

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 【福島支局】柳津町の「農業法人会津ガーリック株式会社」では、ニンニク「ホワイト六片」を3ヘクタール栽培し、ニンニクや加工品を出荷している。遊休農地を有効活用するため、2017年に同社を設立。株主6人で、年間を通して作業委託する1人と、収穫期にパートを数人雇う。
 ニンニクは9月に定植し、翌年6月に収穫する。初めに数十項目の土壌分析を行い、栽培に適したpH5.5~6.0を維持するため、新潟県の海水を圃場に散布してミネラルを補強するなど、定期的に分析して圃場を管理する。同社のニンニクは収穫直後の糖度が約40度前後となっている。
 県内の市場や町内外の食堂、飲食店、東京のホテルなどに出荷している。

〈写真:加工品の「黒にんにく」と「フライドチップス」〉

ポン菓子 年2万袋 米に付加価値を【9月1週号 広島県】

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 【広島支局】新米の1等米で作るポン菓子が、会員制交流サイト(SNS)で話題に上がるなど反響があり、年間2万袋を売り上げている。
 製造しているのは世羅町の檜山元延さん(39)と舞子さん(38)夫妻。自家栽培の「コシヒカリ」を使い、粒が大きく、大きさがそろっているのが特徴だ。プレーンやシナモン、きなこ、玄米の4種類があり、米本来の味を損なわないように砂糖を控えめにしている。
 「収穫した米をそのまま販売するだけではなく、違う形でも販売したかった」と、5年前からポン菓子作りに取り組む。「農家檜山」の名前で売り出し、舞子さんは「問い合わせなど、お客さんの反応を知るときが一番うれしい」と話す。

〈写真:ポン菓子と自家産タマネギのドレッシングを手にする檜山さん夫妻〉


防風林「命と向き合う わな猟師【2020年9月1週号】」

 ▼京都市在住のわな猟師、千松信也さんを追ったドキュメンタリー映画『僕は猟師になった』が公開中だ。くくりわなを使い、イノシシやシカを家族と知人で分ける頭数だけ捕獲し、自らさばいて食べる。命を奪う代わりに、骨も含めて無駄なく利用する。
 ▼千松さんには以前、本紙で「わな猟のコツ」を執筆いただいた。狩猟は、仕事でも趣味でもなく、生活の一部という。お金で肉を買うのと同様、技術と労力を駆使して肉を得るのだ、と。わなにかかったイノシシにとどめを刺す際の緊張感は、映像でも相当なものだ。木の棒を手に向き合う姿が、剣客同士の真剣勝負のように見えた。
 ▼イノシシなどの獣害対策は、農業や生活を守るための重要課題だ。被害の状況を踏まえれば、狩猟者の確保や最新技術による捕獲装置の開発も必要だろう。しかし、捕獲した動物の大半はそのまま廃棄される現実もある。命と向き合う千松さんの暮らし方を知ると、人の都合で殺処分するだけの獣害対策は、正しい答えとは思えない。
 ▼人と野生動物のすみ分けや共存方法を探ることはできないか。命を奪う対策から共に生きる対策へ、知恵や技術を結集する価値は十分にあるはずだ。

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