今週のヘッドライン: 2020年09月 2週号
「同じ目標に向かって、一緒に進んでいけるのがうれしい」と話すのは、福岡県飯塚市の髙須賀正信さん(41)。農家グループ「百笑」のリーダーとして、尾下厚太さん(23)、岡田亮さん(34)とともに、ブロッコリー22ヘクタールを栽培する。「やるなら1番になりたい」と、3人が目指すのは九州一の規模だ。地域の農地を託され、面積を拡大。耕作放棄地など条件が不利な場所も積極的に受け入れ、丁寧な管理で周囲の信頼を集める。販路拡大にも力を注ぎながら、ブロッコリーで地域を盛り上げたいと張り切っている。
農林水産省は1日、「農林水産省豚熱・アフリカ豚熱防疫対策本部」を開催。本部長を務める江藤拓農相は「引き続き緊張感を持って国や行政、養豚農家やその関係者が連携した取り組みを維持してほしい」と豚熱(CSF)の撲滅に向けた対策徹底を呼び掛けた。国内で26年ぶりに豚熱が発生してから2年。3日には国際獣疫事務局(OIE)による「清浄国」認定を失った。輸出先の確保などへの影響が懸念されている。同本部では、飼養豚を野生イノシシから遮断する飼養衛生管理の順守に加え、野生イノシシの捕獲強化や感染豚と識別できる国産マーカーワクチンの開発などに取り組み、早期の再認定を目指す方針だ。
農林水産省は3日、自民党の農林関係合同会議で2021年度の農林関係予算概算要求の主要事項案を示した。
(1)生産基盤の強化と経営安定対策の着実な実施(2)スマート農業などの技術開発の推進、食と農に対する理解の醸成(3)農林水産物・食品の輸出力強化と高付加価値化――など7項目を柱に掲げた。新型コロナ禍に伴う生活や生産様式への転換に対応しながら、食料の安定供給や国土の保全などの役割を果たせるよう農林水産業・農山漁村の維持・継承を確実なものとする。
新型コロナウイルスの影響により、外食産業は苦境が続く。テークアウト需要による回復傾向もみられたが、感染の再拡大により、レストランなどは下落傾向に逆戻りしている。冬場にかけて感染拡大も懸念される中、外食関連企業や農家では、販路の多様化でリスクを分散する動きが出ている。
今回は、シイタケの煮物で作るくまちゃんと、お弁当に彩りと華やかさを添えるリンゴのデザートをご紹介します。マンネリ化しがちなお弁当作りですが、楽しい飾りを取り入れることで、作るときのワクワク感やできあがったときの達成感を感じていただきたいです。
秋作業が本格化する中、農機の事故に注意が必要だ。農林水産省によると、乗用型トラクターの死亡事故が最も多く、圃場や道路からの転倒・転落が後を絶たない。事故から身を守る安全キャビン・フレームやシートベルトなどが装備されていない実態が明らかとなっている。同省では、トラクターへの追加装備を呼び掛け、ヘルメットなどの着用も促す。昨年からは、作業機を付けた状態での公道走行も可能となった。法令順守には、反射板や灯火器の追加など一定条件での対応が必須となっている。
【香川支局】「ウラジロガシ」や「ドクダミ」など、自生する薬草の加工販売に2015年から取り組む「まんのう町薬用作物栽培研究会」(会員40人)。薬草は取引先の確保が難しい中、同研究会では製薬会社との良好な関係で収益を上げる。会長を務める小野隆さん(70)は「品質を均一にするのは難しいが、取引先が等級を付けずにすべて買い取ってくれます。販売量で収益計算ができ、普及の助けになります」と話す。今年は生産者の拡大に向けて準備を進める。
〈写真:ゴーヤーを収穫しながら「形が悪くても、大きさがそろっていなくてもいいので楽です」と岩倉さん〉
【島根支局】2019年5月に新規就農した神門侑花〈ごうど・ゆか〉さん(24)は、松江市玉湯町のハウス2棟(6.5アール)でイチゴ「紅ほっぺ」4千株を栽培し、土日、祝日には直売に取り組む。しっかり完熟させてから摘み取るイチゴは、さわやかな甘酸っぱさが好評で、2月から始めた直売所には地元をはじめ遠方から、2カ月間で延べ900人が訪れた。
〈写真:「9月の定植に向けて今は土づくりの真っ最中です」と神門さん〉
【三重支局】「農業は人とのつながりと収穫の喜びが最大の魅力です」と話すのは、有限会社アグリベース辻で栽培管理を担当する邉田みのりさん(28)だ。「体を動かすことが大好きで、休日もじっとしていることはあまりないです」という邉田さん。トラクターを難なく乗りこなし、いなべ市の「地域農業機械技術コンクール」で入賞している。ベテランスタッフと協力し、ギフトセットの販売など女性目線を生かした新たな企画を積極的に提案するという。
〈写真:「仕事をしながら地域の人と交流できることがうれしい」と邉田さん〉
【富山支局】「地元で誰も栽培していないバナナを育てて特産品にしたい」と話すのは、朝日町月山の西田勇輝さん(42)。栽培する品種はバニラ風味の「アイスクリームバナナ」で、耐寒性に優れているため、富山県でも栽培可能だと判断して選んだ。バナナ栽培は排水の良い肥沃な土壌が適している。西田さんは水田土壌で栽培するが、排水と乾燥に気を付ければ可能だという。基肥にはもみ殻堆肥と化学肥料を用い、半年ごとに追肥を少量だけ散布するなど、放任栽培でもよく育つ。
〈写真:「バナナを特産品にして、これをきっかけに朝日町を知ってほしい」と西田さん〉
【愛媛支局】「安定した品質のために土壌改良に力を入れています」と話すのは西条市丹原町の渡部明弘さん(35)。緑肥用ソルゴーを栽培し、すき込みの後に菌資材を散布することで地力増進を図っている。現在は1ヘクタールの圃場で白ネギを栽培し、ほぼ年間を通してJAなどに安定して出荷。ほかに園芸施設でアスパラガス14アール、ハクサイ1ヘクタールを栽培する。栽培技術の向上と機械の導入で、作付けと収穫作業を省力化し、土づくりを重視したことで品質は向上したという。
〈写真:「土づくりに力を入れています」と渡部さん〉
▼国連児童基金(ユニセフ)が先進国の子どもの幸福度ランキングを発表した。経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国のうち、総合順位は20位と中位にある。しかし、比較した3分野中2分野の結果は、身体的健康が1位、精神的幸福度が37位と両極端だ。
▼身体的健康は、低い乳幼児死亡率などの反映で、国を挙げた努力の成果だ。一方、精神的幸福度は、15歳時点の生活満足度や15~19歳の自殺率などを順位づけた。生活満足度の高い子どもの割合は、1位のオランダの89.8%に対して日本は62.2%、自殺率は1位のギリシャの1.4%に対し7.5%と差が大きい。背景にはいじめなどの問題があるという。
▼今回の幸福度調査は、新型コロナウイルス発生前のデータに基づく。このため報告書は、パンデミック(世界的大流行)の中、各国政府が一致して子どもの幸福度を守る行動をとらなければ「家族や社会への影響はさらに悪化し、破壊的なものになる」と警告する。
▼コロナ禍克服の対応を含め、今からでも最善を尽くすことはできるはず。次代を担う子どもの幸福度向上に、何よりも優先して取り組むときだ。