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今週のヘッドライン: 2020年10月 1週号

令和2年7月豪雨から3カ月 農業保険が農家の支えに(熊本県内の被災地域)(1面)【2020年10月1週号】

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 九州での記録的豪雨をはじめ、全国で農作物や農地、農業用施設関係など農業分野に約1200億円もの被害をもたらした「令和2年7月豪雨」の発生から3カ月。被災地では農家の懸命の努力により、営農再建が進んでいる。豪雨が発生した熊本県相良村川辺で収入保険に加入する吉松利則さん(69)と、家畜共済に加入する同県錦町木上西の新野郷助さん(70)に被害や復旧状況、農業保険について話を聞いた。

(1面)

〈写真上:NOSAI熊本の担当職員と被害状況について話す吉松利則さん(右)〉
〈写真下:牛舎で氾濫の水位を示す新野郷助さん。取材当日も大粒の雨が降っていた〉

2021年度予算概算要求 農林水産は2兆7734億円(2面・総合)【2020年10月1週号】

 農林水産省は9月30日、2021年度予算概算要求を決定し、財務省に提出した。予算総額は20年度当初予算比で20%増の2兆7734億円。今年3月に閣議決定した新たな「食料・農業・農村基本計画」と新型コロナ禍の対応として生産基盤の強化と経営所得安定対策の着実な実施、スマート農業などの推進、農林水産物・食品の輸出力強化などを重点に置いた。水田フル活用の推進では、国産麦・大豆の生産拡大と安定供給に向けた新規事業として「麦・大豆増産プロジェクトの推進」に60億円を計上した。作付けの団地化や新品種・営農技術の導入、排水対策のさらなる強化などを推進する。

(2面・総合)

群馬の養豚場で初の豚熱 ワクチン未接種子豚が感染(2面・総合)【2020年10月1週号】

 農林水産省は9月26日、群馬県高崎市の養豚場で豚熱(CSF)の感染を確認したと発表した。防疫指針に基づき当該農場が飼養する約5390頭の殺処分や焼埋却などの防疫措置を実施するとともに、養豚農家に飼養衛生管理基準の順守を呼び掛けている。

(2面・総合)

収入保険がさらに加入しやすく 仕組みを大きく拡充(3面・収入保険)【2020年10月1週号】

 農業者が収入保険へ加入しやすい仕組みが拡充している。来年1月からの新規加入では、1年間に限って「野菜価格安定対策事業」と同時利用できる仕組みが特例的に措置された。また、保険料・積立金の資金にも活用できる「農林漁業セーフティネット資金(SN資金)」などの制度資金は、新型コロナウイルス感染症や大規模災害の影響を受けた農業者に5年間の実質無利子措置も講じられている。NOSAIでは、多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症による収入減少への備えとして、加入促進を加速する。

(3面・収入保険)

出来たてを楽しむ 自家製豆乳の作り方 ―― 野菜と豆腐の料理家・江戸野陽子さんに聞く(5面・すまいる)【2020年10月1週号】

 10月12日は「豆乳の日」。健康志向の高まりから、豆乳が食生活の一部になっている人が増えている。豆乳は食品売り場か豆腐店でしか手に入らないと思われがちだが、自宅でも手軽に作れ、出来たてが楽しめる。乾燥大豆を使った豆乳の作り方を「野菜と豆腐の料理家」として活動する江戸野陽子さんに聞いた。

(5面・すまいる)

水稲にドローン活用 空撮画像で生育診断 ―― 田中圭さん(埼玉県坂戸市)(7面・営農技術)【2020年10月1週号】

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 埼玉県坂戸市の兼業農家・田中圭さん(40)は、自作のドローン(小型無人機)で上空から水稲の生育状況をモニタリングし、データを栽培管理に生かしている。空撮画像を解析することで、ピンポイントでの追肥時期・箇所の判定、倒伏リスク診断のほか、収量・食味の予測などができる。また、圃場の高低差を1センチ単位で計測できるため、均平化にも活用。湛水深〈たんすいしん〉が均一となり、圃場内の生育むらが改善し、最大で3割近くの収量増を実現している。

(7面・営農技術)

〈写真:自作のドローンを手に田中さん。「データだけでなく、現場の経験や知識も重要」と話す〉

加工用トマト「すずこま」 水と液肥を循環 効率化・病気予防に成果【10月1週号 岩手】

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 【岩手支局】加工用トマト「すずこま」を20アールで栽培する奥州市江刺田原の特定農業法人(農事)上小田代では、水や肥料を循環させて与えるシステムをハウス4棟に導入し、効率的な給水や病気の予防などに成果を上げている。2015年には地下水位制御システム「FOEAS(フォアス)」と畑地用地下灌漑システム「OPSIS(オプシス)」を導入した。FOEASは、地下に埋め込んだパイプを使って排水などを管理。OPSISは、パイプ内に水や肥料を循環させて与える仕組みだ。システム導入前は給水の際にトマトに泥が付き、病気になることがあったという。伊藤周治代表は「地下のパイプから水を与えるので、泥跳ねがなくなり病気の発生も減った」と話す。トマトはピューレに加工して販売。インターネット販売のほか、レストランや市内のホテルなどにも出荷する。

〈写真:地下のパイプから水や肥料を与え、タンクで水を循環する〉


ネットの活用で米、餅販売が伸張【10月1週号 石川県】

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 【石川支局】野々市市藤平の株式会社林農産は、水稲43ヘクタール、大豆3ヘクタールを栽培。加工にも力を入れ、餅は通年で30トン製造する。米や餅の販売は直販が主だ。代表取締役社長の林浩陽さん(60)は、会員制交流サイト(SNS)を使った情報発信にも力を入れ、売り上げを伸ばしている。同社では1995年に直売所を始め、97年にインターネット販売も開始。現在、米の6割、餅は9割を直販が占める。コロナ禍にある中で、4月の売り上げは前年の2倍に伸びた。林さんは農作業日誌をブログで毎日掲載している。自身を"農チューバー"と称し、動画投稿サイト「ユーチューブ」にチャンネルを持ち、農作業の様子などの動画を積極的に投稿。近年はSNSを見た人からの注文が増えており、SNSを活用してさらに顧客を増やしたいと意欲的だ。

〈写真:「SNSの反響は農業者からも多い」と林さん。鏡餅ヘルメットは林さんのトレードマーク〉


若手農家がタッグ エダマメを作付け 経営一本化と法人化へ着々【10月1週号 山形県】

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 【山形支局】川西町高山の井上清人さん(36)は、同町小松の多田悠也さん(26)と共に2019年、自身が代表を務める「ベンチャーファームJigoboccha(ジゴボッチャ)」を立ち上げた。土地利用型農業を目指す集落営農組織として同ファームを立ち上げ、未経験だったエダマメ栽培を始めた。1年目は80アールで作付けをスタート。2年目の今年は開花時期に一部の圃場が豪雨災害に遭ったものの、150アールを作付けし、収穫量4トンを見込む。品種は「ゆかた娘」「雪音」「味ゆたか」。作業の集中を避けるため、品種を増やすことを検討中だ。来年、両家の経営を同ファームと一本化し、農業法人としてスタートするため、準備を進めている。

〈写真:Jigobocchaのメンバー。左から2人目が代表の井上さん、同3人目が多田さん〉


終息を願い・・・・・・【10月1週号 山口県】

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 【山口支局】岩国市周東町の世良輝久さん(70)の水田では、田んぼアートが見頃を迎えている。今年は「コロナにマケナイ」という文字が力強く浮かび上がった。東京オリンピックをテーマにしたデザインで田植えを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大による開催延期を受け、デザインを変更。コロナウイルスの終息を願い、世良さんが考えたメッセージとなった。稲刈りは10月中旬を予定し、世良さんと地元の小学校5、6年生の児童が一緒に収穫する。ここ数年、田んぼアートのデザインは地元の小学生に依頼している。「来年は子供たちがデザインした田んぼアートをぜひ実現させたいですね」と世良さんは話す。

〈写真:今年の文字は「コロナにマケナイ」〉

防風林「食品ロス削減 家庭でできること【2020年10月1週号】」

 ▼10月は「食品ロス削減月間」だ。本来、食べられるのに捨てられる国内の食品ロス発生量は年間612万トン(2017年度)と推計され、世界の食料援助量約380万トンの1.6倍に相当する。食料の無駄遣いを減らすとともに、焼却処理の費用削減や二酸化炭素の発生抑制に通じる社会的な課題として、関係省庁が連携して推進する。
 ▼食品ロス量の半分近い284万トンは家庭の食べ残しや廃棄だという。捨てる理由は(1)食べきれなかった(2)傷ませてしまった(3)賞味・消費期限が切れてしまった――が上位を占める。余分に買わず、残さず食べるといった日常的な対応で相当量の削減を実現できるのだ。
 ▼保存の効く食品は、手を付けないまま放置され、賞味期限切れとなる例も多いそうだ。そのため冷蔵庫や収納庫の定期的な確認が推奨されている。期限の近い順に手前から並べる工夫などで、期限切れによる廃棄量の削減を図りたい。
 ▼賞味期限は、開封しない状態でおいしく食べられる期限であり、廃棄の目安ではないことも確認しておきたい。期限後も早めに食べれば無駄にならず、十分おいしく食べられる。まずは冷蔵庫や収納庫に食品が眠っていないか見てみよう。

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