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今週のヘッドライン: 2020年10月 3週号

ふるさとへの思いのせて 移住先でもキウイフルーツ栽培を継続 ―― 渡邉信行さん(福島県いわき市)(1面)【2020年10月3週号】

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 自家産キウイフルーツを使ったリキュール「碧〈みどり〉のしずく」を開発した、福島県いわき市の渡邉信行さん(67)は、「大熊町を離れたみなさんが、ふるさとを懐かしむ味に育てたい」と話す。「レインボーレッド」など3品種を60アールで栽培。青果やドライフルーツなどの加工品にして直接販売で全量売り切る。2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故による全町避難のため大熊町を後にしたが、13年の同市への移住直後に農地を取得し、二十数年続けてきたキウイフルーツ栽培に改めて取り組んでいる。

(1面)

〈写真:「大熊町のキウイフルーツを廃れさせない、その思いで栽培を続けている」と話す渡邉さん。技術の伝承にも意欲を示す〉

農作物被害防止へ鳥獣捕獲を強化 11月から「集中捕獲キャンペーン」展開(2面・総合)【2020年10月3週号】

 政府は13日、今年11月から狩猟期間に「集中捕獲キャンペーン」を全国展開することを明らかにした。農産物への被害が大きい地域などを都道府県が「捕獲強化エリア」に設定し、捕獲者やわなを集中させる捕獲活動を展開。国は経費や技術、人材などを追加支援する。自民党で開かれた鳥獣被害対策特別委員会などの合同会議で説明した。野生鳥獣による農作物被害額は6年連続で減少しているものの、営農意欲の減退など被害額に反映されない影響も多く、捕獲目標達成に向けた対策の強化・継続が引き続き重要となる。

(2面・総合)

半農半Xを将来の担い手に 農水省が農村の所得・雇用確保で議論(2面・総合)【2020年10月3週号】

 農林水産省は13日、新しい農村政策の在り方に関する検討会(座長・小田切徳美明治大学農学部教授)を開き、農村での所得と雇用機会の確保に向けた支援策を議論した。農業と多様な仕事を組み合わせた「半農半X」の参入支援や地域資源の発掘による新たなビジネス創出が提起された。
 検討の方向性では、(1)農業所得の安定・向上(2)所得確保の手段多様化の支援 ―― を挙げ、大規模専業農業だけではなく、小規模な個人や事業体の参入、農業所得の安定・向上に向けた支援策などを講じる考えを示した。

(2面・総合)

11月は「災害に強い施設園芸づくり月間」 部会設立し集団加入割引を実現 ―― NOSAI三重伊賀名張支所(3面・農業保険)【2020年10月3週号】

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 11月は、農林水産省が設定した「災害に強い施設園芸づくり月間」だ。降雪時期を前に被害防止対策の技術指導を徹底し、園芸施設共済および収入保険への加入推進を重点的に行う。NOSAI三重(三重県農業共済組合)伊賀名張支所では三つの任意の部会を設立し、JAの生産部会などに未加入の施設園芸農家に呼びかけて、園芸施設共済の集団加入割引による加入を実現した。部会員の間でハウスの災害対策などの共有も進むなど、地域に経営安定を広めている。その一つ、伊賀北部ハウス部会の部会長の松山智さん(57)と、設立をきっかけに園芸施設共済に加入した門脇弘宣さん(46)に話を聞いた。

(3面・農業保険)

〈写真上:松山さん(左)は、ビニールが破れる程度の被害も補償する特約に加入するつもりだという〉
〈写真下:「台風などのときNOSAIはすぐに状況を聞いてくれる」と門脇さん(左)〉

安全に楽しむために 焚き火の心得 ―― 日本焚火学会の松波龍一さんに聞く(5面・すまいる)【2020年10月3週号】

 焚き火は、調理や暖房、土づくりなど多様な用途で古くから農村生活に定着し、文化伝承や癒やし効果など今も多くの人を引きつける。一方で、万が一の火災や周辺住民とのトラブルなどを起こさないように、事前の準備や確認などが欠かせない。農村生活の知恵を学びあう「日本焚火学会」で、会場お世話係を務める松波龍一さんに、焚き火の心得を教えてもらう。

(5面・すまいる)

麦作の排水対策 明渠の機能を最大限に(7面・営農技術)【2020年10月3週号】

 水田転作の麦生産で、排水対策の基盤となるのが圃場に溝を掘る「明渠〈めいきょ〉」だ。しかし、「せっかく明渠を設けても、施工の失敗などで機能していない例も多い」と農研機構の渡邊和洋東海輪作体系グループ長は指摘する。地表面だけでなく作土層からも水が流れるように、深さ・傾斜の確保や排水口部分の深掘り、栽培期間中の補修などが重要となる。

(7面・営農技術)

豪雪害から10年 復興へ歩み止めず【10月3週号 秋田県】

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 【秋田支局】2010年から翌11年にかけての冬、秋田県を含む日本海側の地方を豪雪が襲い、県内有数のリンゴ産地・横手市でも多数の倒木など大きな被害を受けた。JA秋田ふるさとによると、リンゴの出荷量は豪雪の翌年は前年と比較して約3分の1まで落ち込んだが、今年は見込み量で約7割と少しずつ回復している。あれから10年、どのように被害園を復旧してきたのかについて、横手市平鹿町醍醐の佐藤清美さん(69)に聞いた。

〈写真:「出荷量は豪雪前の8~9割ほどに回復した」と佐藤さん〉

経営強化へ 収入保険を支えに【10月3週号 島根県】

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 【島根支局】2012年に兵庫県から飯南町へIターンした中野良介さん(44)、晴美さん(48)夫妻は、「中野あおぞら農園」を立ち上げ、リースハウス10棟(28アール)で赤と黄の色鮮やかなパプリカを栽培している。しかし、サラリーマン時代とは違い、農業は収入が安定しない。そんな不安を抱えていたとき、収入保険が始まることを聞き、説明会に参加した。「パプリカは病気が一番心配です。それまでは補償してもらえる制度がなく、何かないかと考えていたので、収入保険に加入しました」。昨年は天候不順などで小玉果が多く、収入が減少したため補てん金を受け取った。中野さんは「手続き後、すぐに補てん金を受け取り助かりました。収入保険は経営努力だけでは避けられない収入減少なども補償の対象なので、大型農家や、規模拡大を考えている方にお勧めです」と話す。

〈写真:「パプリカには今まで何の補償もなかったので収入保険は魅力的です」と中野さん〉


ワイン用ブドウ「ロースラー」 思い出に残る味を造る【10月3週号 岩手県】

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 【岩手支局】花巻市大迫町の鈴木寛太さん(29)は、ワイン用ブドウ「ロースラー」を栽培し、自身が手掛けたブドウを使用した「KANTA WINE」を販売する。ロースラーは、オーストリア原産で繊細な品種。「栽培技術を磨きながら、ワインの製造本数を増やしたい」と意気込む。今年3月から販売しているKANTA WINEは、購入した人から「さっぱりしていて、飲みやすく和食にも合う」と好評を得ているという。今年はロースラーを約2トン収穫し、そのうち1300キロを同町の株式会社エーデルワインへ出荷。残り700キロを同社へ委託し、700本のワインを製造する予定だ。

〈写真:「新規就農者にも手厚くアドバイスをくれる方ばかり。そこも大迫町の魅力」と鈴木さん〉


多彩な用途 もちトウモロコシ 特産化、販路開拓へ挑戦【10月3週号 徳島県】

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 【徳島支局】地域農業の発展を図ろうと、宮俊文さん(68)の呼び掛けで、三好市と東みよし町のベテランと若手で設立した「にし阿波ファーマーズ」。宮さんをはじめ、代表を務める大西耕司さん(36)、浦岡勝正さん(68)、森下孝裕さん(32)、大西豊さん(39)の5人で構成する。メンバーは"もうかる農業"をモットーに、もちトウモロコシ「祝蕾」の栽培を2年前に開始した。もちトウモロコシは紫色の実のものと、紫色と白色のバイカラーの2種類。もちもちした食感とほんのりとした甘さが特徴だ。新たな地域の特産品として県内外への販路開拓を進めている。

〈写真:もちトウモロコシの圃場で、にし阿波ファーマーズのメンバー〉


防風林「道の駅 地域の中核施設としてさらに発展へ【2020年10月3週号】」

 ▼行楽シーズンを迎えると、テレビで最新の「道の駅」情報が流れる。今や直売所やレストランは当たり前、観光農園やホテル、温泉、遊園地を併設する施設もある。1993年の制度開始から、四半世紀で全国1160カ所に増え、道の駅めぐりも観光コースの一つだ。
 ▼道の駅は一般道の利用者に休憩や情報を提供する場として始まった。直売所併設など地域振興目的の活用が進み、次第に道の駅自体が目的地となる。現在では、年間の利用客は2億人以上、年間売上高約2500億円に成長した。東日本大震災などを経験し、近年は防災拠点の役割も期待されている。
 ▼国土交通省は、道の駅を「地方創生・観光を加速する拠点」とする第3ステージに進めようと支援策などを有識者委員会で検討中だ。インバウンド(外国人旅行客)の受け入れや防災の拠点化、子育てや地域活性化の核となるセンター機能の充実など今後の姿を描く。
 ▼新型コロナウイルスの感染拡大で、一時は道の駅も物販・飲食施設の閉鎖や時短営業を余儀なくされた。現在は、感染防止対策の一環でドライブスルーやテークアウト販売、キャッシュレス化など利便性の向上も図る。道の駅の魅力は、地域の旬の農産物や珍しい食品などの発見があることだ。巣ごもりにも飽きた。また出かけてみようか。

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