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今週のヘッドライン: 2020年11月 1週号

次世代へ前進 ロボットトラクターを富山市で実演(1面)【2020年11月1週号】

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 無人のトラクターが農道を走り、圃場から圃場へ移動する。スマート農業として注目されるロボット農機の開発が、次の段階へ入った。農研機構などで構成する研究グループは10月22日、圃場間を自動走行する次世代ロボットトラクターを富山市の水田で実演した。事前にドローン(小型無人機)で測量したデータから経路を作成し、作動中は事務所内のパソコン画面で遠隔監視する。研究段階では、複数農機の同時作業も実現している。2021年度から2年間の現地実証を行い、実用化が可能な機体開発を目指す。

(1面)

〈写真:圃場間を無人で走行するトラクター〉

関係人口1822万人 多様な担い手確保へ(2面・総合)【2020年11月1週号】

 国土交通省は10月27日、地域外に居住しながら、特定の地域と関わりを持ち、多様な形で地域活動を支える「関係人口」が全国に約1822万人いるとの調査結果(速報値)を示した。三大都市圏では約858万人、その他地域では約964万人が特定の地域と関わりを持っている。農村部では、都市部に先駆けて人口減少や少子高齢化が進み、地域活動などの担い手不足が深刻化している。新型コロナウイルス感染症の影響から若年層を中心に地方への関心が高まっているとされる中、関係人口という新たな連携関係の構築は、多様な人材を地域に呼び込む機会となり、5年、10年先の農業・農村の振興につながるものと期待されている。

(2面・総合)

20年産米作況 「99」の722万9千トンに(2面・総合)【2020年11月1週号】

 農林水産省は10月30日、2020年産水稲の作況指数(10月15日現在)は全国で99の「平年並み」と発表した。前回調査(9月15日現在)から2ポイント低下した。全国の10アール当たり予想収量は531キロで、予想収穫量は前回調査比で11万7千トン減少し722万9千トンとなった。同省は、10月16日に設定した21年産米の適正生産量を見直す方針。ただ、大幅な転作が必要な状況に変わりはない。

(2面・総合)

経営に合う加入方式を 収入保険の新規申し込みは12月末まで(3面・収入保険)【2020年11月1週号】

 自然災害や新型コロナウイルスの影響など幅広い要因による収入減少を補償する収入保険。2021年1~12月を補償期間とする個人経営農業者などの加入申請は20年から継続して加入する場合は11月末、21年から新規で加入する場合は12月末が期限だ。新型コロナウイルスによる収入減少の影響が基準収入算定に反映されないようにする特例が措置されたほか、保険料の安いタイプの設定など経営に合わせた加入方式を選択できる。21年から収入保険に初めて加入する場合は、野菜価格安定制度と1年間に限り同時利用が可能になり、より加入しやすくなっている。

(3面・収入保険)

折り紙で彩るクリスマス ―― 日本折紙協会認定折紙講師・宮本眞理子さんが紹介(5面・すまいる)【2020年11月1週号】

 簡単に楽しく作品を作れる折り紙。今年はクリスマスを折り紙の作品で彩ってみてはどうだろうか。日本折紙協会認定折紙講師の宮本眞理子さんに、折り紙の魅力やクリスマスリースの折り方を紹介してもらう。

(5面・すまいる)

スクミリンゴガイの越冬個体数を減らせ 農水省がマニュアルを公表(7面・営農技術)【2020年11月1週号】

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 移植直後の水稲苗に大きな被害をもたらすスクミリンゴガイ(通称:ジャンボタニシ)。関東以西の地域では、暖冬の影響で越冬個体数が増え、複数の地域で例年以上の被害が報告されている。農林水産省はこのほど、移植水稲の被害軽減に向けた防除対策マニュアルを公表した。越冬個体数を抑えるために、秋冬期からの対策を呼びかけている。

(7面・営農技術)

〈写真:圃場のスクミリンゴガイ。産卵数は年間3000個以上と繁殖力が高い(提供:NOSAI宮崎)〉

農福連携 エダマメ増産に貢献【11月1週号 石川県】

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 【石川支局】「一緒に働くことによって、共生社会を実現していけたら」と話すのは、内灘町湖西にある株式会社笠間農園の笠間令子さん(43)。4年前に就労支援事業所から施設外就労を受け入れ、コマツナの収穫やエダマメの袋詰め作業を依頼している。働く施設利用者のケア効果に加え、出荷量を増やすことにも成功した。

〈写真:農園で働く70、80代の従業員を見て「リハビリの効果がある」と感じ、就労の受け入れを始めた笠間さん〉

柿渋生かした商品開発 西条柿生産者が協力【11月1週号 鳥取県】

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 【鳥取支局】「叔父が柿農家で毎年夏に摘果作業をするのですが、半分以上の柿が捨てられるのを見て、何かに利用できないかと思いました」と話すのは、鳥取市で柿渋を使った商品を製造する縫製業のビッググロウス株式会社代表取締役・森田祐加(もりた・ゆか)さん(39)。「西条」柿の産地である八頭町の柿農家から協力者を募り、多い年で約20トン近くの出荷されなかった柿から抽出した柿渋を自社商品に利用している。主な商品は、天然素材のベビー服や靴下、マスクなど。これらの商品を購入した人から「肌触りが良く、肌荒れしない」「ほかのマスクと違い臭わない」と多くの声が寄せられている。

〈写真:「当社自慢の商品です」と森田さん〉

激辛トウガラシ 地域活性の起爆剤に【11月1週号 徳島県】

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 【徳島支局】世界一辛いといわれたトウガラシ「キャロライナ・リーパー」が、阿波市土成町で生産・販売されている。その名も「AWA Devil's pepper(アワ・デビルズペッパー)」。現在はその順位こそ譲っているものの、辛さは「ハバネロ」の約5倍と、"悪魔的"辛さを誇っている。生産者の森本英巳(もりもと・ひでみ)さん(59)は「キャロライナ・リーパーは、乾燥中は少し甘い匂いがする。食べてみると、辛さの中に甘味とコクがあるが、辛さ耐性に自信がある人でなければ、辛味が強過ぎて感じにくいかもしれない」と話す。

〈写真:圃場でキャロライナ・リーパーの熟れ具合を見る森本さん〉

従業員の能力向上にチェックシート活用【11月1週号 香川県】

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 【香川支局】人材育成にチェックシートを利用して1年になる高松市三谷町の株式会社荒川農園(2006年設立)。荒川鉱章代表(47)は「個々の課題克服や能力向上に役立っています」と話す。
 同社はブロッコリー20ヘクタールや青ネギ5ヘクタールなどの野菜経営で、従業員は18人。チェックシートは、荒川代表が従業員の作業能力や経験などを見ながら、一人一人違う内容で作製している。入社1年目だと「大きな声であいさつをする」や「地域の美化活動に取り組む」など、社会人として必要な基本的な内容を盛り込む。ベテランには作業管理の項目を増やすほか、改善できる点や自らが工夫している点など、代表に提案できる欄を設けている。朝礼の際に、チェックシートに記載された改善点を話し合い、作業に取り掛かってもらう。

〈写真:「個々の進捗(しんちょく)状況を把握し、次の仕事が予測できるようになる点がメリットです」と荒川代表〉

防風林「食料不足への備えは国内農地の維持が大前提だ【2020年11月1週号】」

 ▼新米が出回り、ご飯がおいしい季節となった。ただ、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で米の消費が例年以上に減少し、需給緩和による米価下落が懸念されている。また、東海以西の地域では、気象や害虫の影響で作柄が「不良」「やや不良」の府県が多い。稲作農家は、出来秋を素直に喜べない複雑な心情ではないか。
 ▼ご飯好きを自認するが、健康維持には体重増加を避ける必要があるので、消費拡大にはあまり貢献できない。若い世代の消費拡大を期待したいが、パンや麺など選択肢が多い中で無理強いも難しい。米飯給食を増やすなど消費拡大策を積み上げるしかないのだろうか。
 ▼最近、未来の食材として昆虫が話題だ。世界的には人口増加が続く見通しの中、不足するタンパク質の供給源の一つとして注目されているという。農林水産省も先ごろ、官民の協議会を設置し、昆虫食の開発・普及なども視野に入れた取り組み推進に乗り出している。
 ▼昆虫を食材とする国や地域の人々には申し訳ないが、"未来食"と言われても食欲は湧いてこない。粉にしてパンや麺にするのだろうか。将来の食料不足に備えるなら、水田の維持を基本とし、ご飯が食べ続けられる政策を講じてもらいたい。

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