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今週のヘッドライン: 2020年11月 3週号

「丹波黒大豆枝豆」農家と企業の懸け橋に ―― B・B LINK株式会社(兵庫県丹波篠山市)(1面)【2020年11月3週号】

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 大玉の黒大豆「丹波黒」生産者で構成する、兵庫県丹波篠山市のB・B LINK(ビー・ビー リンク)株式会社(7人、田渕真也代表=44歳)は、同市産丹波黒のエダマメを専門に集出荷する法人だ。今年7月に法人化したばかりだが、初年の取引量は有志団体だった昨年の2倍の約20トンを達成した。集出荷業務は10年の実績があり、市内の生産者10人以上から集荷している。「先輩農家が築いてきた丹波篠山ブランドを、より強固なものにしたい」と田渕代表は話す。

(1面)

〈写真上:役員は月に1度、定例会を開いている。生産者や資材メーカーを招いての実績報告会など、情報公開も積極的に行う〉
〈写真下:収穫を控えた丹波黒大豆を管理する田渕真也代表。「10~11月に出荷の丹波黒大豆のエダマメをメインに、将来的にはお米や夏のエダマメなど商材を増やすことも考えている」〉

水田活用直払の運用見直し 共同計算で手取り平準化(2面・総合)【2020年11月3週号】

 農林水産省は11日、主食用米の需給適正化に向け生産者団体・集荷業者などが水田活用の直接支払交付金を「代理受領」できるよう運用見直しを検討していると明らかにした。販売代金と同交付金を共同(プール)計算できるようにして、主食用米と非主食用米の手取り格差を平準化し、産地単位での用途変更をしやすくする。主食用米の需給緩和で米価下落が懸念される中、作付け転換など対応の強化は急務だ。ただ、需要に応じた生産・販売の確立を目指した米政策の課題も浮き彫りとなり、消費拡大などと合わせて抜本的な見直しを求める声も出ている。

(2面・総合)

野上農相がコロナ禍受け所信表明 食料安定供給を最優先(2面・総合)【2020年11月3週号】

 野上浩太郎農相は10日、衆院農林水産委員会で就任後初となる所信表明を行った。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、農林水産分野では需要減少や価格下落などの影響が発生したとして「食料の安定供給を最優先に影響を緩和し、生産を継続するための対策を着実に実施する」と述べた。

(2面・総合)

増加する自然災害に充実の建物総合共済 水道管凍結損害も対象に(3面・農業保険)【2020年11月3週号】

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 「令和2年7月豪雨」をはじめ、近年は豪雨や台風など自然災害が相次ぎ、住宅などの建物にも被害が多数発生している。自然災害を含む幅広い被害を補償する「建物総合共済」に加入して被害に備えてほしい。NOSAIの建物共済は2019年度に約203億円の共済金を支払い、農家の生活再建を力強く支えた。4月から水道管凍結の損害も補償対象になり、より手厚くなっている。建物共済の仕組みについて稲穂ちゃんがNOSAI職員のみのるさんに聞いた。

(3面・農業保険)





年賀状じまい 良好な関係を続けるポイント ―― 一般社団法人手紙文化振興協会代表理事・むらかみかずこさんに聞く(5面・すまいる)【2020年11月3週号】

 年賀状のやりとりをやめる「年賀状じまい」。終活の一環や高齢などを理由に、選択する人が増えているようだ。ただ、相手に自分の気持ちをしっかり伝え、これまで通り良好な関係を続けていきたいもの。年賀状じまいをする際のポイントについて、一般社団法人手紙文化振興協会代表理事のむらかみかずこさんに教えてもらう。

(5面・すまいる)

かんきつ:通信型マルドリシステム 灌水・施肥などスマホで制御(山口県)(7面・営農技術)【2020年11月3週号】

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 山口県は、かんきつ栽培で、灌水〈かんすい〉や液肥の管理を遠隔で監視・制御する「通信型マルドリシステム」を県内企業と共同で開発。かんきつの主産地、周防大島町のモデル団地で実証を進めている。スマートフォンやタブレットで液肥残量や通水状況を確認できるほか、灌水量や液肥濃度の設定、弁の開閉などの操作が可能だ。今年9月には特許を取得。栽培管理の見える化と省力化により、大規模園地の効率的な運営、高品質果実の安定生産につながると期待されている。

(7面・営農技術)

〈写真:モデル団地で制御部となるメインユニットを説明する山口県農林総合技術センター農業技術部柑きつ振興センターの中島勘太専門研究員〉


給食の食材 管理アプリで集出荷労力軽減【11月3週号 島根】

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 【島根支局】益田市真砂地区の農家50戸などでつくる「真砂の食と農を守る会・大地」は、交流のある市内の保育所や福祉施設から、給食に必要な食材の注文を受け、地域で収穫した安全で安心な農作物を取りまとめ出荷する体制を確立している。煩雑になる集出荷事務管理は、クラウドサービスを導入して労力軽減に成功。この取り組みが地域の流通販路を広げる一助となっており、今後の効果的な地域活性化につながるか期待される。

〈写真:出荷はコロナ禍でも平常通り実施〉

ミカン狩りはオンライン 農薬散布にドローン試験【11月3週号 山口県】

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 【山口支局】防府市でミカンを栽培しながら、観光農園「果舞樹園(かぶきえん)」を経営する吉次英哲(よしつぐ・ひであき)さん(37)。県内で初めてミカン園地の農薬散布に小型無人機(ドローン)を使った。JA職員からドローン試験の相談を受け、20年5月と8月に農薬散布を実施し、改善点などを明らかにした。「実際のミカン園地でのドローン使用はまだまだ未開拓。ここで成功例を出せれば」と話す。「入院やリハビリで外に出られない方に疑似体験をしてほしい」と、スマートフォンのテレビ電話機能を使ったオンラインでのミカン狩りを17年に考案。園地を映し、その場にいるような雰囲気をつくってミカン狩りを代行する。

〈写真:「多くの果実が舞うように実ってほしい」という思いで名付けた「果舞樹園」で吉次さん〉


大震災後に増加 花木で遊休農地解消へ【11月3週号 福島県】

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 【福島支局】東日本大震災後に増加した遊休農地を解消しようと、楢葉町の有志が「上繁(かみしげ)花木栽培組合」を2018年に設立。現在は構成員7人でユーカリ129アール、サカキ35アールを栽培している。川嶋幹夫(かわしま・みきお)組合長(70)は「当初から土壌改良を意識し、肥料などを入れて、土作りに力を入れている」と話す。競りの状況や流通過程を視察するとともに、東京の卸売業者が開くフォーラムに参加したり、双葉農業普及所から指導を受けたりして、経営の安定化、技術習得に余念が無い。

〈写真:「クリスマスが近づき需要が増えるので、頑張りたい」と川嶋組合長〉


ヤマブドウワイン増産 契約農家の栽培技術向上【11月3週号 岩手県】

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 【岩手支局】野田村の株式会社のだむら涼海(すずみ)の丘ワイナリー(坂下誠所長)では、契約農家が栽培したヤマブドウ100%のワイン「紫雫(しずく)」を製造・販売している。ヤマブドウの栽培技術が向上し、昨年は製造開始当初のおよそ1.5倍となる1万5千本のワインを製造した。今年は契約農家が8戸に減少したが、出荷量は40トンを見込んでいるという。ワインには、圃場で完熟させてから収穫した糖度18度以上のヤマブドウを使用する。坂下所長は「栽培技術の向上で、農家1戸当たりの生産量は増えている」と話す。

〈写真:契約農家が栽培したヤマブドウを使用したワイン〉


父が育てた調理用トマト姉妹がランチやスイーツに【11月3週号 富山県】

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 【富山支局】高岡市今泉の株式会社森田農園(代表取締役=森田一秋さん)の直営店「農園kitchen moriy(モリー)」では、農園で栽培したトマトをふんだんに使った料理やスイーツを楽しむことができる。店を切り盛りするのは、森田瑞穂(もりた・みずほ)さん(36)と薫(かおる)さん(32)姉妹。過去の経験を生かし、瑞穂さんはメイン料理を、薫さんは接客とスイーツを担当する。パスタやオムライス、ロールケーキ、ソフトクリームなど、「森田農園のトマトの味を生かせるように」と、メニューは2人で考えているという。

〈写真:「トマトソフトクリーム」を手に瑞穂さん(左)と薫さん〉


防風林「動植物の現象観測をやめてよいのか【2020年11月3週号】」

 ▼気象庁は、動植物の初見や初鳴き、開花、落葉などを確認する生物季節観測の種目・現象を変更すると発表した。現在は、全国の気象台・測候所58地点で植物34種目、動物23種目を対象とするが、来年1月からアジサイの開花など植物だけの6種目9現象に見直す。
 ▼気象台などの周辺環境が変化し、植物は標本木の確保が難しく、動物は見つけるのが困難と説明する。しかし、1953年から70年近く蓄積してきた記録の中断に問題はないのか。同庁の指針では、観測は季節の遅れ進みや気候の違いなど総合的な気象状況の推移を把握することが目的だ。地球温暖化が及ぼす動植物への影響をみるなど価値のある情報と思えるが。
 ▼四季が明瞭な日本では、人の生活や文化と動植物の変化が密接に関わってきた。ツバメの飛来に春を知り、セミの鳴き声に夏を感じ、紅葉が広がる秋の風景を堪能する。ただ、春にサクラの標本木前にテレビカメラが殺到し、何輪開いたと騒ぐのはいただけない。
 ▼暦にある七十二候は、約5日おきの気象、動植物の変化を表している。中国から伝わったが、日本に合う内容に見直されてきたそうだ。忙しい中でも、季節の変化を感じられるよう心にゆとりを持っていたい。

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