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今週のヘッドライン: 2020年11月 4週号

全国NOSAI大会 安心を全ての農家へ(1面)【2020年11月4週号】

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 NOSAI協会(全国農業共済協会)は24日、東京都内で「『安心の未来』拡充運動令和2年度全国NOSAI大会」を開く。大会には全国のNOSAI関係者らが参加。今年は、「令和2年7月豪雨」に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う流通の混乱で多くの農業経営が打撃を受けており、農業保険制度の機能発揮を通じて、農業者の経営再建や地域経済を支えていくことを確認。収入保険の加入目標の早期達成など、全ての農家にセーフティーネットを届ける同運動の完遂に組織を挙げて全力で取り組むことを決議する。

(1面)


種苗法改正案が衆院通過 海外流出防止に本腰(2面・総合)【2020年11月4週号】

 優良な品種の海外流出の防止を目的とした「種苗法改正案」は19日、衆院本会議で、立憲民主党と共産党を除く与野党の賛成多数で可決した。参院に送付され、今国会で成立する見通しだ。近年、日本の開発品種が中国や韓国などに流出し、東南アジアで販売される事例が相次ぎ、輸出拡大への妨げになっている。農業でも登録品種の育成者権など知的財産権の保護強化は喫緊の課題だ。一方で、改正案に盛り込まれた自家増殖の許諾制導入については、許諾料負担の増加など農家から懸念の声が上がる。輸出拡大に貢献する優良品種の権利を守り、国内の生産現場に混乱を招かない仕組みの構築が求められる。

(2面・総合)

RCEP合意:低水準の関税撤廃率 重要5品目は除外(2面・総合)【2020年11月4週号】

 日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など計15カ国は15日、テレビ会議形式の首脳会合で「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」に合意し、署名した。日本の米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物の重要5品目は関税削減・撤廃対象から除外した。

(2面・総合)

農用地区域内の農地面積 30年目標は397万ヘクタール(2面・総合)【2020年11月4週号】

 農林水産省は18日、農用地区域内の農地面積を2030年に397万ヘクタールとする目標を盛り込んだ新たな「農用地等の確保等に関する基本指針」案を食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会に示し、了承された。

(2面・総合)

地域農業の永続を 被害前提に備えを呼び掛け ―― NOSAI奈良(奈良県)(3面・NOSAI部長)【2020年11月4週号】

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 近年は異常気象に伴う自然災害が頻発し、農業関係の被害も増加傾向にある。これまで被害の少なかった地域でも、警戒が必要だ。NOSAI奈良(奈良県農業共済組合)には、水稲共済や建物共済の継続加入に力を入れるNOSAI部長がいる。台風などの自然災害が比較的少ない地域にあっても、組合員農家の安定した営農と暮らしを守るため、万が一の事態に備えるよう説き、被害の未然防止に努めている。

(3面・NOSAI部長)

〈写真上:土地改良が進む圃場を背に大手さん。「地域農業がこれで永らえる」〉
〈写真下:「共済加入で冬場も安心できる」とホウレンソウを管理する峠さん〉

獣害対策:自主施工のネット柵 安価で軽量・即座に設置 ―― 宮地集落(岐阜県郡上市)(9面・営農技術)【2020年11月4週号】

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 住民全戸を挙げて獣害対策に取り組む岐阜県郡上市和良町の宮地集落では、独自の簡易ネット柵「猪鹿無猿柵〈いのしかむえんさく〉」による侵入防止などにより、被害を最小限に抑えている。猪鹿無猿柵は、資材が軽量で自主施工・維持管理がしやすく、イノシシ・シカ・サルと幅広い獣種に対応できる。地元農家で、対策の中核を担う野生鳥獣被害対策アドバイザーの酒井義広さん(67)は「効果を確かめながら、誰でも設置しやすいシンプルな構造へ改良した。ネット柵でも侵入は防げる」と話す。地域全体の畦畔〈けいはん〉・法面〈のりめん〉に防草シートなどを設置し、獣が隠れにくい環境整備を組み合わせて効果を高めている。

(9面・営農技術)

〈写真:「猪鹿無猿柵」を説明する酒井さん。低コストな門扉を取り付けられる〉

栽培しながら売電収入 ソーラーシェアリングで100品目試験【11月4週号 香川県】

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 【香川支局】作物を栽培しながら太陽光発電の売電収入を得るソーラーシェアリング(営農型太陽光発電システム)。2016年4月に太陽光パネルを10アールの圃場に設置し、野菜を試験栽培する観音寺市柞田町の森岡秀誠さん(37)は、「持続可能な循環型農業です。農地の有効活用法として普及させたいです」と話す。現在、ダイコンやタマネギなどほとんどの野菜栽培が可能だ。

〈写真:パネルの下に取り付けた分度器を見ながらパネルの角度を調整する森岡さん〉

耕作放棄の水田でワイン用ブドウ根域制限栽培【11月4週号 新潟県】

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 【新潟支局】創業130年になるという上越市北方の「岩の原葡萄園」は、耕作放棄地だった水田を活用し、ワイン用ブドウの「根域制限栽培」に取り組んでいる。取り組み2年目の今年、通常の栽培方法より早く成熟し、糖度や着色も良好だった。根域制限栽培は、根の範囲を制限し、早期成園化と高品質果実生産を可能にする栽培方法。経験に頼りがちな剪定や摘果などの簡素化と、労力・コスト低減なども可能になるといわれ、近年は全国的に取り組みが増えている。

〈写真:ワイン用ブドウの根域制限栽培。品種はマスカットベリーA〉

凍結解凍覚醒法+微生物農法でバナナ栽培【11月4週号 岩手県】

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 【岩手支局】北上市相去町の「株式会社ごろすけACファーム(代表取締役=大澤啓造さん、72歳)」では、岩手県初のバナナ栽培に取り組んでいる。「凍結解凍覚醒法」で生産した苗を用い、有機肥料や化成肥料を使わず、微生物の生息しやすい環境を整える「微生物農法」に取り組む。栽培する品種は「グロスミシェル」。糖度は20度以上で、ねっとりとした食感が特徴だ。「栽培したバナナは、農薬を使っていないので皮ごと食べられる。地元の産直施設や直接販売をしているが、来年はジュースなどの加工品の販売に挑戦したい」と話す。

〈写真:「『おいしい』の声がうれしい」と大澤さん〉

おいしい「三間米」を斬新なパッケージに【11月4週号 愛媛県】

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 【愛媛支局】米作りが盛んな宇和島市三間町で、酒店「KOUJIYA」を経営する高山雄大さん(38)と白鳥未来さん(36)夫妻が手掛ける「MIMARICE(みまライス)」。「こんなにおいしいお米なのだからもっと世に広めたい」という思いから2018年に商品化した。デザインは東京都出身で元アパレルデザイナーの未来さんが担当。「誰かに送りたくなるお米」「今までにないパッケージ」をコンセプトに仕上げた。MIMARICEには特別栽培米の「コシヒカリ」1等米を使用。安全・安心面でも「送りたくなる」を実現している。

〈写真:MIMARICEのサイズは全4種類〉

防風林「米の需要を広げるには【2020年11月4週号】」

 ▼出来秋を迎えたからか、首都圏に集中的に流しているのか、テレビで銘柄米のCMをよく見かける。いずれも著名な俳優やタレントなどを起用し、かなりの予算をつぎ込んでいるようだ。これまでなじみのない新品種が増えた気もする。食べ比べてみたいが、近隣のスーパーに並ぶ品種は限られる。品種が増えると専門小売店かネットでないと入手は難しくなってしまう。
 ▼子どものころは、新米に替わる日が待ち遠しかった。土蔵に保管する自家産米は、夏を越すと明らかに味が落ち、炊き上がりの米の色もくすんでしまう。それに比べ、新米の炊き上がりは白く輝いて見えたものだ。かつて主食用米では、新米の価格が高く設定され、西南暖地では1日も早い収穫をねらう、激しい産地間競争があった。
 ▼最近は、保管技術の向上により、古米や古古米のご飯もおいしく食べられるようになった。日本穀物検定協会が毎年公表する食味ランキングでは、「特A」がずらり並ぶ。品種開発や栽培技術も含め、全体の底上げが進んだ証拠だろう。ただ一方で、品種別作付面積では、相変わらず「コシヒカリ」が首位だ。昨年産で全国の33.9%を占め、2位の「ひとめぼれ」(9.4%)を大きく引き離す。
 ▼主食用米は、需給緩和による価格下落が懸念されている。需要に応じた生産を関係者も十分意識しているはずだが、消費の減少が止まらない。主食用米の消費拡大を諦める訳ではないが、パンや麺などに加工した際のおいしさは改善できないかと想像する。小麦で作るよりおいしいパンができたら、ぜひ食べたい。


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