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今週のヘッドライン: 2021年01月 3週号

保育士資格の従業員が運営する託児所を設置 子育て世代の力生かす ―― 干しいも工房しんあい農園(茨城県ひたちなか市)(1面)【2021年1月3週号】

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 茨城県ひたちなか市足崎でサツマイモ「紅はるか」6ヘクタールを生産し、12トン全量を干し芋に加工する「干しいも工房しんあい農園」(澤畑明宏代表、36歳)では、パート従業員が利用できる託児所を設置。保育士資格を持つ従業員が運営にあたる。子育て世代が働きやすい職場環境を整えて従業員を確保し、加工品数の増加につなげている。

(1面)

〈写真:託児所内の様子。この日は3人が利用する〉

農作業安全へチェックシート示す 死傷事故対策を促進(2面・総合)【2021年1月3週号】

 農林水産省は8日、農林水産業・食品産業における作業安全対策のための農業事業者向け個別規範案を同日開いた有識者会議の農業分科会に示した。農作業安全の実態を確認するチェックシート案も、事業者向けと事業者団体(生産組合など農業者を構成員とする団体)向けに分けて提示。他産業に比べて死傷事故が多発する農業の作業安全確保のために必要な対策や支援を講じることと、事故発生時に備えることを柱に据える。規範への取り組みは、補助事業などの要件化(クロスコンプライアンス)する方針も明らかにした。新年度からの運用を目指すとしている。

(2面・総合)

稲育種のAIを開発 苗から能力把握し選抜が2年短縮(2面・総合)【2021年1月3週号】

 農研機構は8日、人工知能(AI)に稲品種の膨大な遺伝情報を学習させた「ゲノム選抜AI」を構築したと発表した。新品種候補の収量性や品質を、苗の段階で正確に予測でき、10年程度かかる新品種育成までの期間を2年ほど短くできると見込む。

(2面・総合)

園芸施設共済は雪害も補償 特約選択により共済金のみで再建可能(3面・農業保険)【2021年1月3週号】

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 昨年12月中旬から強い冬型の気圧配置が続き、北日本から西日本の日本海側を中心に記録的な大雪となっている。農業分野にも園芸施設の倒壊、損傷など大きな被害が発生している。今後も雪が降り続く可能性があり、警戒が必要だ。園芸施設共済は、ハウスの被害を補償し再建を力強く後押しする。補償が大幅に拡充し、特約により自己資金によらず共済金のみでの再建が可能となっている。

(3面・農業保険)

〈写真:今冬の大雪で倒壊した新潟県南魚沼市のハウス(写真提供=NOSAI新潟)〉

ぐっすり眠って元気に 快眠の心得 ―― 快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに聞く(5面・すまいる)【2021年1月3週号】

 人生の3分の1を費やすといわれる睡眠。ぐっすり眠って毎日を元気に過ごしたいものだ。今日からできる快眠の秘けつを、快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに教えてもらう。

(5面・すまいる)

農研機構が貯湯式の温室暖房システム開発 省エネでコスト削減に(7面・営農技術)【2021年1月3週号】

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 農研機構は、温水を介して熱を利用する省エネルギーな温室暖房システムを開発。沸かしておいた温水を必要時に放熱装置へ循環させて温風を出す。従来の燃焼熱を直接利用する暖房に比べて細かな温度調整が可能だ。木質チップを燃料とするバイオマスボイラーを使った試算では、燃料費節減によって7年以内に導入コストを償却できる。放熱装置は低コストに導入でき、中央農業研究センターの竹倉憲弘事業化推進チーム長は「工夫次第で、地域にあるさまざまな熱源を活用できる」と説明する。制作方法などを公開し、生産現場での応用を促している。

(7面・営農技術)

花きハウス 換気・除湿機を導入 カビ・シミ防止 高品質に【1月3週号 秋田県】

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 【秋田支局】トルコギキョウやストックなどの花き6品目を栽培するほか、水稲や野菜などを手掛ける羽後町の農事組合法人足田営農組合(構成員23人、今泉久代表=63歳)。ハウス内の温度を維持して換気・除湿する機械「どくとるドライ」を使用し、良品質の花き生産に努める。この機械は、外の乾燥した空気を取り入れ、ハウス内の熱を残したまま換気できる。主に冬の高湿度で花きや野菜などに発生しやすいカビ・シミを防ぐ。導入後は商品のクレームがなくなり、品質に自信を持って出荷できるようになった。今泉代表は「コロナ禍の中でも、安定的に出荷していきたい」と意気込む。

〈写真:「カビができやすいストックや、シミが目立つ白い花には必須」と今泉代表〉

山形県飯豊町にバイオガス発電所 原料は米沢牛の排せつ物【1月3週号 山形県】

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 【山形支局】家畜の排せつ物を主原料に発電を行う、「ながめやまバイオガス発電所(飯豊町添川)」が昨年4月に操業を開始し、11月から売電している。米沢牛を生産する「株式会社田中畜産(田中清代表)」と、再生可能エネルギー事業を展開する「東北おひさま発電株式会社(後藤博信社長)」とがタッグを組み、実現した。施設の周囲には、田中畜産をはじめ五つの畜産農家の牛舎があり、地下埋設パイプラインを通して約千頭分の排せつ物を施設内の原料層へじかに投入する。そこへ食品残渣などを混合して発酵させ、生成したメタンガスを利用して発電する仕組みで、肥育牛の排せつ物を原料とした大規模施設は全国初。500キロワットの発電規模を備えていて、現在は250キロワットの発電機1基を稼働している。売電量は最大で年間360万キロワット(約900世帯分)を見込む。

〈写真:田中畜産の新牛舎では、バーンクリーナー(写真)やロボット給餌機を活用。スマート化を進めた〉

新見プレミアムりんどう「奥の秋風」 頂花量は2~3倍【1月3週号 岡山県】

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 【岡山支局】新見市でJA晴れの国岡山新見花き部会長を務める奥山亮さん(44)は、リンドウを栽培する傍ら、野生種のササリンドウを交配し、オリジナル品種「新見プレミアムりんどう『奥の秋風』」の開発に成功した。2015年から6年の開発期間を経て、20年10月に初出荷。同部会全体で2千本を出荷し、1本300円の高値が付いた。晩生で花色は青と紫のグラデーション、ササリンドウを親に持つため花弁が開き華やかだ。頂花に通常の2~3倍の花が着くボリューム感が最大の特徴だという。

〈写真:新品種出荷に喜びの表情を浮かべる奥山さん〉

壮観 逆アーチ状の柿すだれ【1月3週号 徳島県】

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 【徳島支局】つるぎ町の名物「一宇大和柿」のだいだい色が、冬の山里を鮮やかに彩る。その中でも、田村愛子さん(81)方の柿すだれはひときわ目を引く。田村さんは、夫婦二人でひと冬に約5千個の干し柿を作る。朝はゆっくり、仕舞いは早く、無理のない程度に数日に分けて収穫。その後は手作業で皮をむき、出来栄えを確認しながら寒風に約1カ月さらすと、奇麗なべっ甲色に仕上がる。干し柿は、味の良さ・実の大きさから好評で、入荷を心待ちにしている人がたくさんいる。逆アーチ状につるされた干し柿を一目見ようと、たくさんの人が田村さん方を訪れるという。

〈写真:「干し柿作りで今が一番大切な時期なんよ」と、出来栄えを確認する田村さん〉

農閑期に多肉植物 経営のリスク分散にも【1月3週号 高知県】

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 【高知支局】「多肉植物はとにかく分からないことが多いので、毎年試行錯誤しながら栽培しています」と話すのは、高知市春野町で株式会社くぼファームの代表を務める久保英智さん(48)。現在は約100種類の多肉植物をインターネットで販売し、価格は数百円から3万円を超えるものまで幅広く取り扱う。農業収入の約1割は多肉植物の販売によるもので、経営上のリスク分散を図っている。

〈写真:久保さんと色彩豊かな多肉植物〉

防風林「「分断」の根深さ【2021年1月3週号】」

 ▼トランプ米大統領の扇動による連邦議会議事堂の襲撃問題は、米史上初の2度目の弾劾訴追を招くなど、任期間際まで選挙後の騒動が続いている。熱狂的な支持者の映像を見て、新大統領就任で落ち着くと見通せないほどの「分断」の根深さを感じた。
 ▼分断の背景には、グローバル化の進展と格差拡大がある。米国は、1%の富裕層が国の富の半分近くを保有する一方、中低所得者層の割合が拡大しているという。米国第一を掲げて、国際協調よりも自国の利益と雇用確保を訴える人に期待するのは当然か。
 ▼格差拡大は、他の欧米諸国や日本も同様だ。とすると自国第一を掲げるリーダーが続々と登場する状況にも納得がいく。それがよいこととは到底考えられないのだが。
 ▼コロナ禍を機に発生した国際的な物流の停滞を受け、グローバル化を見直す機運がある。不測の事態に備え、一定の国内需要を満たす生産確保が重要との考えからだ。食料生産の確保も外せない。政府が、農地の維持と担い手の確保に本腰を入れれば、自給率向上に加え、地方での雇用確保は決して困難な課題ではない。


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