ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2021年03月 4週号

スクミリンゴガイ 地域が一丸となり防除を徹底(千葉県印西市本埜地区)(1面)【2021年3月4週号】

210324_1.jpg

 移植直後の水稲苗を食害するスクミリンゴガイ(通称:ジャンボタニシ)。近年、関東以西の各地で被害が拡大する中、千葉県印西市本埜〈もとの〉地区では、2020年産で総合的な防除対策として侵入・食害・越冬の防止と、水路での貝密度低減に取り組み、平年並みの収量を確保した。

(1面)

〈写真:泥上げで駆除した貝を見つける印西市酒直卜杭の水稲農家小久保五一郎さん〉

農水省 新たな農村政策の在り方で論点整理 多様な人材の活躍へ集落営農の多角化を支援(2面・総合)【2021年3月4週号】

 農林水産省は18日、「新たな農村政策の在り方に関する検討会」の第9回会合を開き、論点を整理した。多様な人材の活躍を促し、農村の持つ価値や魅力を地域振興の活力としていくため、地域資源の発掘を通じた所得確保手段の多角化や集落機能の維持・強化、地域づくりの裾野を広げる人材育成の拡充などの支援策を提起した。特に中山間地では人口減少・高齢化に伴う集落機能の低下から、コミュニティー維持のサービス提供もできなくなる懸念があるとし、集落営農の事業多角化を含む地域運営組織(RMO)型事業体の形成・運営支援を位置付けた。同省は6月開催予定の次回会合で中間取りまとめ案を示す方針だ。

(2面・総合)

米国産牛肉 セーフガード発動し関税38.5%に(2面・総合)【2021年3月4週号】

 政府は18日、日米貿易協定に基づき、米国産牛肉(冷蔵および冷凍)の関税率を現行の25.8%から38.5%に引き上げる緊急輸入制限(セーフガード=SG)を発動した。3月10日までの2020年度の累計輸入量が発動基準数量である24万2千トンを上回ったため。発動期間は4月16日までの30日間。SG発動は17年8月の冷凍牛肉以来で、20年1月に発効した同協定では初めてとなる。

(2面・総合)

機会捉えて組合員と交流 コロナ禍でも歩み止めず NOSAIぐんまのNOSAI部長(3面・NOSAI部長)【2021年3月4週号】

210324_4.jpg

 NOSAIぐんま(群馬県農業共済組合)では、自然災害が頻発する中、NOSAI部長が地域農業の維持に向け、農業保険未加入者の発生防止に努めている。新型コロナウイルスの感染拡大により活動が大きく制限される中でも、機会を捉えて交流し、組合員とNOSAIの懸け橋として活動するNOSAI部長2人を取材した。

(3面・NOSAI部長)

〈写真上:「コロナが収束したら、子供たち向けの農業体験も実施したい」と話す太田市細谷町の石井澄さん(右)〉
〈写真下:キュウリのハウスでNOSAI職員と話す明和町江口の須藤征幸さん(右)〉

水稲無コーティング湛水直播栽培 春作業を省力化 ―― 農研機構東北農業研究センターが開発(11面・営農技術)【2021年3月4週号】

 農研機構東北農業研究センター(東北農研)が開発した水稲無コーティング種子の湛水〈たんすい〉直播栽培「かん湛!」は、苗立ちが良い根出し種子を使うことでコーティング処理が不要。一人で作業できるなどの省力・省コスト化や初期生育向上といったメリットがあり、東北と北陸を中心に普及している。2019~20年の秋田県内での実証試験では、10アール当たり600キロ程度を収穫できた。安定収穫に必要な雑草防除や鳥害対策、田面の均平などの要点をまとめた。

(11面・営農技術)

米・米加工品の輸出増 東アジア地域での需要回復(6面・流通)【2021年3月4週号】

 米・米加工品の輸出額は、2021年1月に前年比60%増の約32億円と大幅に伸びた。20年の輸出は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い一時的に停滞したものの、年間では前年比5%増の338億円を確保した。香港や台湾などの日本食レストランが営業を再開して業務需要が回復したほか、家庭向けの需要の増加も追い風となっている。

(6面・流通)

トマト30段9カ月収穫 微生物が活躍する農法実践【3月4週号 石川県】

210324_5.jpg

 【石川支局】「土耕栽培なので、昔ながらのトマトのうま味が感じられる」と話す宝達志水町宿の「トレジャーふぁーむ」農場長・赤倉一郎さん(63)。園芸ハウス50アールでトマトとイチゴを栽培・出荷し、直売所を併設する。トマトは「志宝トマト」と名付け、約9カ月にわたる長期収穫を実現。イチゴは観光農園としても営業し、トマトジュースやケチャップなどの加工品にも力を入れている。トマトは「りんか409」を栽培。濃厚で甘味と酸味がしっかりあり、昔ながらの味わいが特徴だ。慣行栽培では、着果は10段ほどで止めるため収穫期間は約2カ月だが、トレジャーふぁーむでは長期多段方式を採用。30段まで伸ばし、11月から7月まで収穫する。「北陸ではトマトの越冬は難しいが、設備や資材をそろえ実現している」と赤倉さんは話す。

〈写真:「志宝トマトのアミノ酸含有量は通常の3倍。ぜひ食べてもらいたい」と赤倉さん〉

ウルイ栽培を効率化・光熱費削減【3月4週号 岩手県】

210324_6.jpg

 【岩手支局】軽米町仲軽米の久保三四郎さん(83)は、木骨ハウス(1.6アール)内に自作した温室で、妻・満子さん(77)とウルイの促成栽培に励む。温室は、幅2メートル、長さ80メートル、高さ1メートルの木材で枠組みを作り、発泡スチロールなどで囲んでいる。三四郎さんは「作業効率と光熱費削減を考慮して設計した」と話す。毎年11月に、露地から温室へウルイの株を移植。電気ストーブで温度を18度に保ち、翌年2月中旬に丈が約20センチに成長したものから順次収穫する。「同じ株で毎年収穫すると、ウルイが細くなる。太いウルイを栽培するためには、畑で株を育てることが大事」と三四郎さん。収穫後は1株に2~3芽残るように株分けし、露地に再び移植。畑で5年以上育てた株を使用しているという。

〈写真:「ハウスで育てたウルイは軟らかいので葉まで食べられるよ」と話す三四郎さんと満子さん〉

プラ製植木鉢とペットボトル利用 「ジャンボタニシの罠」開発【3月4週号 岐阜県】

210324_7.jpg

 【岐阜支局】水田の稲を食害する外来種スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の捕獲器「ジャンボタニシの罠」を、関市立旭ヶ丘小学校5年生の栗山知大くんが開発した。材料はプラスチック製の植木鉢とペットボトル。ペットボトルに切り込みを入れ、一度入るとジャンボタニシの重みで逃げ出せないように加工した。餌は米ぬかを基に、チリメンジャコでにおい付け。田植え後の水田に罠を半日から2日程度設置した結果、一度に大小30匹以上を捕獲し効果を確認した。この捕獲器は、第59回関市発明展で関市長賞を受賞。市では岐阜県のジャンボタニシ被害対策推進事業への応募や、栗山くんの罠を活用した駆除の取り組みを計画している。

〈写真:捕獲したジャンボタニシ〉

真夏の高収益性作物「モリンガ」 豊富な栄養素を茶に【3月4週号 香川県】

210324_8.jpg

 【香川支局】インド原産の「モリンガ」を、2020年7月から栽培する観音寺市室本町の株式会社里よし農園。同社の竹澤好貴代表(32)は「香ばしいあられのような香りのお茶が購入者から好評です」と話す。モリンガは、ワサビノキと呼ばれるワサビノキ科の多年草。現地では茎や根なども食用とされ、タンパク質が100グラム中25グラム以上と非常に多い。必須アミノ酸を網羅し、ビタミン、ミネラルなども含まれている。モリンガ栽培のきっかけは昨年5月、研究機関から農作物の実地栽培検証を依頼されたこと。7月に播種すると1カ月程度で収穫開始を迎え、そのまま11月ごろまで収穫できる。「昨年の検証で、病害虫に非常に強いことがわかりました。殺虫剤などは一切使用しませんでした」と竹澤代表。

〈写真:収穫期のモリンガ。若葉を一枚一枚丁寧に取る〉

イノシシ侵入阻止に効果 ワイヤメッシュに防草シートを装着【3月4週号 大阪府】

210324_9.jpg

 【大阪支局】枚方市穂谷地区は、電気柵や捕獲檻、ワイヤメッシュを駆使して農地約36ヘクタールを獣害から守っている。対策に当たるのは枚方市穂谷支部(構成員56人)。谷口太支部長(55)は「2016年に4人、現在では9人が狩猟免許を取得し、有害駆除許可を得て対処している」と話す。17年から同支部独自に助成金制度を設定し、電気柵設置時の助成で現在は202台を設置した。捕獲檻6基は、公益社団法人大阪府猟友会北河内支部から借り、イノシシが出没する地域に設置し、捕獲した場合は、猟友会に処分を依頼。谷口支部長は「免許取得者ごとに捕獲檻の担当を決めて管理し、昨年は約40頭を捕獲した」と成果を話す。20年からは、支部の助成とNOSAI大阪(大阪府農業共済組合)の有害鳥獣損害防止事業およびJA北河内の助成事業を活用し、ワイヤメッシュでの対策を始めた。ワイヤメッシュに防草シートを掛けて設置することで、イノシシの視界を遮ることとなり、農地への侵入を妨げる効果があったという。

〈写真:ワイヤメッシュに掛けた防草シートを確認する構成員〉

防風林「地方議会と住民との距離を近く【2021年3月4週号】」

 ▼国内の人口減少と高齢化が進む中、地域住民の暮らしや仕事と深く関わる地方議会議員のなり手不足が深刻化している。小規模市町村では定員割れも発生し、地域の課題に対応した合意形成など地方自治の機能不全を懸念する声もある。
 ▼総務省の研究会が昨年9月にまとめた報告書では、なり手不足の要因に、給与所得者が立候補しにくい環境や議員活動に要する時間的な負担、生計維持が困難な議員報酬水準などの問題を挙げた。また、議会や議員の活動が住民に十分伝わっておらず、性別や年齢の偏りがあることも指摘。多様な住民が議会に参画したくなる環境整備の必要性を強調した。
 ▼思い起こせば、子育ての時期に保育や学校給食の関係で父母仲間と市役所への要請を行った経験がある。ただ、仕事も忙しい時期であったため、議会や議員に訴えるなど深く関わることはしなかった。
 ▼地域で暮らしていれば、何らかの課題や不満を抱える人は必ずいる。議会運営や議員活動の負担軽減など参画しやすい環境を整備すれば、多様な人材が議会に出るきっかけとなるだろう。


» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る