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今週のヘッドライン: 2021年04月 2週号

NOSAI福井 GPS固定基地局を設置 県全域カバーし、スマート農業普及を後押し(福井県)(1面)【2021年4月2週号】

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 NOSAI福井(福井県農業共済組合)は、県内5カ所にGPS(衛星利用測位システム)の固定基地局を設置し、3月1日に運用を開始した。全国に先駆けて県全域をカバー。スマート農業(自動運転)の普及を後押しし、農業者の省力化に貢献するねらいだ。鯖江市舟枝町でNOSAI福井のGPS固定基地局を利用する農事組合法人「エコファーム舟枝」の瀬戸川善一理事長(75)は、「NOSAI福井が農業保険だけでなく、GPS固定基地局でスマート農業をサポートしてくれるのは大きい」と期待する。

(1面)

〈写真:無人での自動運転により菜の花をすき込む、農事組合法人「エコファーム舟枝」のロボットトラクター〉

主食用米の民間在庫最大253万トンも 米需給均衡見通せず JAグループが試算(2面・総合)【2021年4月2週号】

 JAグループは3月30日、2022年6月末の主食用米の民間在庫量が220万~253万トンになるとの独自の試算を明らかにした。農林水産省が2月の食料・農業・農村政策審議会食糧部会で示した需給見通しと比べて最大で58万トン多く、主食用米からの作付け転換が進まなければ21年産米の価格は下落し、影響は22年産米にも及ぶとする。同省は、主食用米の需給均衡には21年産で6万7千ヘクタール(生産量換算で36万トン)の作付け転換が必要だとし、産地交付金の活用などを促している。生産者と団体、行政などの関係者が連携を強化して、飼料用米への転換をさらに深掘りする必要がある。

(2面・総合)

2021年度予算が成立 農林水産関係は2兆3050億円(2面・総合)【2021年4月2週号】

 2021年度予算が3月26日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計総額は106兆6097億円で、9年連続で過去最大を更新した。農林水産関係予算は、20年度当初予算比59億円減の2兆3050億円で減少となったものの、20年度3次補正予算で1兆519億円を確保している。コロナ禍でも揺るがない生産基盤の強化などに重点を置いた。

(2面・総合)

消費税総額表示 今月から義務化(3面・ビジネス)【2021年4月2週号】

 4月から、商品やサービスに消費税を含めた価格を表示する「総額表示」が義務化された。消費者が小売店や飲食店などで商品を選択、購入する際に、価格比較が容易にでき、支払総額が一目で分かることが狙い。商品の値札や店内のPOP、チラシ、カタログ、ポスター、ホームページなど全ての表示媒体で対応が必要となる。違反しても消費税法に罰則規定は設けられていないが、消費者からの信頼を失いかねない。適正に対応しているか、改めて確認してほしい。

(3面・ビジネス)

農研機構・革新工学センターが研究成果を発表 新技術で作業がより安全(7面・営農技術・資材)【2021年4月2週号】

 農作業死亡事故は毎年300件近く発生しており、安全対策の強化が急がれる。農研機構・革新工学センターは、2020年度の研究報告会で、果樹園での脚立作業時と、歩行用トラクター操縦時の事故低減技術を発表した。研究成果の概要を紹介する。

(7面・営農技術・資材)

熊寄せ付けない環境づくり ―― 東京農業大学地域環境科学部森林総合学科森林生態学研究室の山﨑晃司教授に聞く(5面・すまいる)【2021年4月2週号】

 熊が人の生活圏に現れ、田畑を荒らしたり人を傷つける事件が近年、増えている。ドングリが不作になり食べ物に困るなど、人里に下りてくる理由はさまざまある。熊の生態に詳しい、東京農業大学地域環境科学部森林総合学科森林生態学研究室の山﨑晃司教授は、「寄せ付けないことが一番」という。冬眠明けの熊との遭遇を避け、万が一遭遇した際の対処法を教えてもらう。

(5面・すまいる)

「海辺のトマト」 品質と雇用で地域活性化へ【4月2週号 島根県】

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 【島根支局】松江市に本社を持つさんびるグループ・さんちゃんファームが運営する「たいばら農園」(田中正彦代表取締役社長=63歳、従業員9人)では、同市鹿島町御津の耕作放棄地を利用して高糖度・高濃度トマトの栽培に取り組んでいる。従業員には地元の女性スタッフを雇用。仕事と子育ての両立を支援し、荒れていく農地を救うために、トマトのブランド化で地域の活性化を目指す。

〈写真:「愛情をたっぷり注いだトマトです」と多久和園長〉

自作のクレーンでフレコン楽々運搬【4月2週号 岩手県】

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 【岩手支局】花巻市東和町で水稲2.7ヘクタールを栽培する金澤克文さん(73)は、フレコンバッグをつり上げるクレーンの自作や直播栽培の導入などで、作業負担を軽減している。米の乾燥・調製作業がすべて終わると、玄米がフレコンバッグに流れ込み、それをクレーンがつり上げトラックの荷台へ移動。「もともとあった小屋に合わせて設計して、クレーンの取り付けまで自分で行った。30キロもある米袋を自分で持ち上げる必要がなくなり、作業や体の負担が減った」と笑顔を見せる。クレーンの開発と同時に水稲の直播を始めた。「田植えのときに苗箱を持ち上げる必要があった。何度も持ち上げていると疲れてしまう。直播は苗箱を使わないので、楽になった」。今後も労力低減と作業時間短縮ができる農業を目指すという。

〈写真:「自分の発想が農業に生かされるのが楽しい」と金澤さん〉

マコモで農業用貯水池の水質浄化【4月2週号 愛媛県】

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 【愛媛支局】愛南町御荘平山の小野山純平さん(46)は、マコモタケを使った複合型植物浮島浄化法「フェスタ工法」で農業用貯水池の水質浄化に取り組み、成果を上げた。かんきつ栽培が盛んな平山地区では、農業用水は地区の貯水池に頼る。3年前、貯水池に「アオコ(微細藻類)」が大量発生。浄化フィルターが詰まり、水をくみ上げることができなくなった。小野山さんは、何か方法はないかと調べたところ、マコモに水質浄化作用があることを知ったという。同地区に三つある貯水池の一つで試験的に実施することにした。インターネットなどでさらに情報を収集し、マコモの浮島を設置。その結果、夏場にアオコが発生せず水質は良好で透明な水になった。

〈写真:「マコモの根は枯死しないので、植え替えの必要がありません」と小野山さん〉

健康な鶏 評判の卵 地鶏の普及も【4月2週号 山形県】

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 【山形支局】「鶏が健康に育ち、おいしい卵が採れたときや、かわいいひなが生まれたときは大きな喜びを感じる」と話す遊佐町吉出の池田秋夫さん(68)。水稲2.2ヘクタールを栽培する傍ら、「烏骨鶏」や「セブライトバンタム」など35品種約300羽の鶏を飼育し採卵する。また、静岡県原産で天然記念物の「ミノヒキドリ」、欧州産の「ポーリッシュ」「ブラマー」などの希少品種を飼育し、種の保存にも取り組む。4棟(計100坪)の鶏舎内に部屋を作り、ストレスを与えないように2~3品種ずつ分けて平飼いする。毎日の給餌の際には体調を一羽一羽チェックし、トサカの色が白っぽくなったり、羽が抜けたりしていないかなど細かく観察しているという。鶏の健康を保つため、飼料作りにも気を配り、廃棄されるパプリカなど季節の野菜の有効利用を兼ねて、飼料に混ぜて栄養バランスを保っている。

〈写真:「今後も養鶏文化を絶やさぬよう、高いレベルでの技術継承に努めたい」と池田さん〉

防風林「試練を超えて持続可能な社会へ【2021年4月2週号】」

 ▼新型コロナ下で迎える2度目の新年度。緊急事態宣言の解除で、新たな気持ちになれるかと若干の期待もしたが、大阪、兵庫、宮城の3府県に「まん延防止等措置」が適用され、収束は見通せないままだ。変異ウイルスの感染拡大やワクチン接種の遅れなど不安要素も多い。
 ▼コロナ禍で人の移動が激減し、2020年の人為的な温室効果ガス排出量は減少したとの報道もあった。しかし気象庁は、主な温室効果ガスの二酸化炭素について、20年の日本付近の大気中濃度が過去最高を更新したと発表した。排出量の減少は観測データに表れない変動の範囲内との説明だ。
 ▼気象庁は、気象などの評価に使う平年値の更新(5月19日から)も発表した。平年値は、30年間の平均値で、今回、20年まで10年間の観測値を加えた結果、年平均気温は0.1~0.5度上がり、降水量は多くの地点で10%程度増えたという。
 ▼人類は、これまで経験のない大きな変化の中にいる。克服して持続的な社会が創れるかと、試されているようだ。

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