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今週のヘッドライン: 2022年02月 2週号

高温耐性、すし米向き「瑞穂の夢」 農家が手掛けた新品種(宮城県石巻市)(1面)【2022年2月2週号】

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 「『瑞穂の夢』は、冷めても炊きたてのふっくら感が持続するのが特徴で、すしやおにぎりなどに適している。お茶漬けにしても、さらさらして良い」と話すのは、宮城県石巻市蛇田で水稲約13ヘクタールを栽培する太田俊治さん(65)。「ササシグレ」と「ハツシモ」を掛け合わせ、高温に強く、すし米などに向く新品種「瑞穂の夢」を自ら開発した。まとまった収量が見込める数年後には、すし米や酒米としての出荷のほか、輸出も見込む。現在品種登録を出願中で、登録完了を待って希望する生産者への販売を始める予定だ。

(1面)

〈写真:瑞穂の夢の穂を手に生産者の太田俊治さん〉

Jミルク 2022年度の生乳需給見通し 増産基調も需要に課題(2面・総合)【2022年2月2週号】

 Jミルクは1月28日、2022年度の生乳と牛乳・乳製品の需給見通しを発表した。全国の生乳生産量は前年度比0.8%増の771万トンと予測。地域別では、北海道は同2%増の439万7千トン、都府県は同0.8%減の331万3千トンと見込んでいる。一方で、コロナ禍によるインバウンド(外国人旅行客)需要の喪失など牛乳・乳製品の需要低迷は長期化が懸念されており、学乳休止期の年度末や季節的に生乳生産量が最大となる4、5月にかけて酪農・乳業関係者が一丸となって、消費拡大や乳製品処理の最大化、一時的な出荷抑制などに取り組み、処理不可能乳の発生を回避する必要がある。飼料価格の高騰が続く中、生産基盤の弱体化を招かない最大限の対応が欠かせない。

(2面・総合)

農水省 2021年農業物価指数 資材費は上昇、農産物価格は低下(2面・総合)【2022年2月2週号】

 農林水産省は1月28日、2021年の農業物価指数(概数)を発表した。生産資材価格指数が106.7と前年比4.8%上昇する一方、農産物価格指数は107.4と同3.2%下落。資材費が上昇して価格が下がる農業経営の厳しい現状が改めて示された。

(2面・総合)

シール、パッケージ 違い、独自性伝える ―― (株)はりまぜデザイン代表・角田誠さんに聞く(3面・ビジネス)【2022年2月2週号】

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 シールや段ボールのパッケージなど、農業分野でもデザインの重要性が指摘されている。和歌山市の農業専門のデザイン会社、株式会社はりまぜデザインの角田誠代表に、独自性をアピールするブランディングや、売るためのデザインについて聞いた。

(3面・ビジネス)

〈写真:これまで手掛けたシールの数々〉

水稲 脱プラスチック肥料へ 流出防止が急務(7面・営農技術・資材)【2022年2月2週号】

 JA全農と全国複合肥料工業会、日本肥料アンモニア協会はこのほど、水稲用の緩効性肥料に使われているプラスチック被覆殻の海洋流出防止の対策を発表した。農家への周知徹底をはじめ、圃場からの流出抑制、新技術の開発・普及などをロードマップに沿って進める。農林水産省は都道府県などに対し、対応強化を求める農産局長通達を発出。関係業界一丸の取り組みを後押しする方針だ。

(7面・営農技術・資材)

排せつ介助のポイント 相手の自尊心を守り介助者の負担軽減 ―― 高齢生活研究所所長 排せつ用具の情報館「むつき庵」代表の浜田きよ子さんに聞く(5面・すまいる)【2022年2月2週号】

 排せつを助ける「排せつ介助」は、介護の中でも特に負担が大きいとされ、また、たとえ家族であっても、介護される側にとっては自尊心を傷つけられたり、恥ずかしさを感じたりする場合もある。高齢生活研究所所長で排せつ用具の情報館「むつき庵」の代表を務める浜田きよ子さんに、排せつ介助のポイントを紹介してもらう。

(5面・すまいる)

レモン栽培に手応え 飲食店などで好評【2月2週号 山梨県】

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 【山梨支局】山梨市下石森で「矢崎屋ファーム」を営む矢崎敦仁さん(46)は、主力のモモ以外に、レモンなどのかんきつ類をハウス栽培する。「これまで築き上げてきたモモ栽培を継続しつつ、山梨県ではあまり例の無い、新しい果実の栽培にチャレンジしたいと思いました」と話す。木で黄色く完熟させたレモンは、県内の飲食店などで好評。手応えを感じている。 矢崎さんは露地でモモ180アールを栽培する傍ら、ハウス3棟でレモンやブラッドオレンジ、フィンガーライム、ミカンなど計5品目のかんきつを生産する。「山梨は海無し県で、冬は厳しい寒さ。瀬戸内のような暖かい地域で栽培するかんきつ類に憧れがあり、興味が湧いた」。15年ほど前に栽培を始め、独学で試行を重ねた結果、栽培本数が増えて安定生産ができるようになり、取引先が徐々に増えた。レモンは「アレンユーリカ」「メイヤー(マイヤーレモン)」の2品種、15本を栽培する。収穫期は11月から1月までの約3カ月間。木で黄色く完熟させ、注文に応じてその都度収穫する。レモンは矢崎さんが1人で管理。自家結実性のため授粉作業は不要だ。ビニールの張り替えなどハウスの手入れは欠かせないが、灌水は週1~2回、摘果の必要がないため、モモと比べて手間がかからないことがレモンの魅力だという。「昼夜の寒暖差が大きい山梨県での栽培は、温度管理が非常に難しいですね」と矢崎さん。当初はボイラーだけを使用していたが、重油などの燃料費がかさむため、4年前にまきストーブも導入した。まきは地元のチップ工場から仕入れ、燃料費のカットを実現している。1シーズンの出荷は5千~6千個ほど。北杜市のスーパーマーケット「ひまわり市場」や県内の飲食店へ直接卸しており、サワーやケーキ、リゾットなど幅広く活用されている。現在の収入のほとんどはモモで、レモンはわずかだが、「レモンを始めて飲食店やバイヤーさんとの横のつながりが増えたのが良かったです」と矢崎さん。飲食店の要望に応じて栽培方法を変えるなどの工夫につながった。「レモンは日持ちがするし、売り方のバリエーションもさまざまです。今後もいろいろ研究しつつ増やしていきたいですね」と話している。

〈写真:レモンの出来を確認する矢崎さん。農薬の使用を控えているため、果皮まで安心して食べられる〉

収入保険・私の選択  自然災害、減収リスクに備え【2月2週号 秋田県】

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 【秋田支局】水稲6ヘクタール、ソバ1ヘクタール、露地1ヘクタールとハウス4棟でキクを作付け、冬期間はハウス2棟でチンゲンサイを栽培する横手市十文字町植田の柴田敏一さん(73)。2021年の農業収入は減少が見込まれたことから、収入保険のつなぎ融資制度を利用した。「申請してから2週間ほどで資金を受け取った。迅速かつ無利子で大変助かった」。20年はいもち病による水稲の大幅な収量減や、キクの価格低下で収入が減少した。昨年度から経営リスクを軽減するため、保険加入の重要性を実感し、収入保険に加入している。昨年1月、チンゲンサイを栽培するハウスが大雪で倒壊し、一部しか収穫できなかった。6月中旬に発生した降ひょうでは、ソバや露地ギクが葉や花芽に大きな被害を受けて収量が減少した。「露地ギクの収入減少が一番大きかった。盆用出荷のキクがほぼ収穫皆無。全体の収益は、最近の平均収入から4割ほど少なくなる見込みで途方に暮れた」。8月末にNOSAIへ出向き、見込み農業収入額を提出して、つなぎ融資を申請した。融資を受け取り、キクの資材費の支払いや農機具のローン返済などに間に合ったという。融資受け取り後に発表された米の概算金は、柴田さんを含めた周辺農家の予想を超えた下落だった。「再生産に必要といわれている1万2千円を割るとは思わなかった。融資を申請して良かった」。柴田さんは「ハウス、ソバの被害では、NOSAI職員に連絡すればその都度、確認してくれた。評価員の確認や収穫日程の調整などの負担が無かった。加入の決め手は、自然災害や病虫害に加え、今回のような米価の下落による減収リスクにも備えるためだった。一度は説明を聞いて検討してみるべき」と勧める。

〈写真:チンゲンサイを収穫する柴田さん〉

水稲密苗・機械化・圃場整備 生産性向上に前進【2月2週号 埼玉県】

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 【埼玉支局】「地域の担い手として農地を守っていきたい」と話す川島町平沼の小島秀文さん(35)。後継者のいない農地を中心に耕作を引き受け、20ヘクタールで水稲を作付ける。現在、父の麻寿さん(70)と母のさゆりさん(58)とは経営を分けているが、農繁期には互いの作業を助け合う。「コシヒカリ」「彩のかがやき」など計4品種と飼料用米を栽培し、JA埼玉中央に出荷する。耕作面積は就農した2014年当時の10倍にまで拡張。大規模な面積を少ない労力でこなすため、密苗を利用した田植えや水田1区画の拡充に取り組む。通常は1枚当たり乾もみを120グラム播くところを、秀文さんは300グラム。育苗箱や培土などの資材費を減らせるほか、播種や苗の運搬にかかる時間の大幅な短縮が可能だ。密苗仕様の田植機を利用すれば、浮き苗や欠株の心配がなく、従来と同等の収量と品質が維持される。「1度の運搬でたくさん植えることができるので、これまで大きな負担となっていた田植え作業が軽減された」と秀文さん。300枚以上あった水田は、1区画平均20アールで100枚ほどに整備した。水管理や除草作業などが効率的になるだけではなく、大型機械の導入が可能となり、生産性の向上につながったという。22年から収入保険に加入した。「コロナ禍や天候不順で、農産物を作る上でのリスクが高まっている中、少しでもリスクを減らすために加入した」と話す。秀文さんは「30ヘクタールを目標に、次は育苗や田植えが不要となる乾田直播に挑戦したい」と意欲を見せる。

〈写真:自動運転が可能なGPS(衛星利用測位システム)を取り付けた田植機と秀文さん〉

スマート農業導入、牛群管理を省力化、分娩事故ゼロ達成【2月2週号 島根県】

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 【島根支局】「伝統的な飼い方を大切にしながら、自分たちに合うものを取り入れてきた」と話すのは、隠岐の島町郡地区の村上太一さん(40)、朋恵さん(40)夫妻。太一さんの父・芳雄さん(72)が代表を務める有限会社村上建設では、2006年に「寿畜産」として和牛繁殖事業に参入した。隠岐は放牧を主体とした飼養形態が特徴だが、分娩の前後は牛舎で飼養する。「以前は分娩事故が多く、『こりゃいけん』と思っていた。事故低減のためにできることからやってきた」と太一さん。獣医師のアドバイスを受け、夜間1回給餌による昼間分娩誘起法などに取り組んできた。3年前からは、牛の首に装着することで異常行動を検知する機器、膣内の温度変化から分娩兆候を知らせる器具、昼夜牛舎内を見渡すカメラなどを順次導入してきた。スマート農業の導入で、牛群管理や夜間の見回りなどを省力化し、人的ミスを防止。21年は念願の分娩事故ゼロを達成し、効果を実感している。本年度から島根県が隠岐の産地創生事業の一環として検討を進めているGPS(衛星利用測位システム)を活用した放牧牛の監視システムにも大きな期待を寄せている。太一さんは「自分たちに合った機器などの導入で飼い方が確立してきた。現在は母牛72頭だが、100頭まで増やすことが目標」と意気込む。

〈写真:牛群管理や夜間の見回りなどが省力化され、「導入して良かった」と村上さん夫妻〉

防風林「消防団は地域防災の要【2022年2月2週号】」

 ▼火事や自然災害など地域防災の中核を担っている消防団だが、少子高齢化が進む中で団員数の減少が続いている。先ごろ公表された2021年版消防白書によると、昨年4月時点で全国に約80万5千人の団員がいるが、3年連続で1万人を超えて減少したという。
 ▼入団・退団の状況は、退団者数がおおむね横ばいで推移する一方、入団者数が大きく減少。特に若年層の入団者が少なく、団員の平均年齢も上昇して現在は42.5歳になっている。若者の減少に加え、仕事が忙しく訓練などへの参加にためらいもあるのではないか。
 ▼消防庁も出動手当てなど処遇改善やけがなどの災害補償制度の充実を図っている。併せて存在意義ややりがいを感じてもらう広報活動などを展開してきた。女性や学生にも入団を呼びかけ、入団者数は徐々に増えているそうだ。特定の活動に限定した機能別消防団員の仕組みもあり、大規模災害に限った出動や高齢者宅の訪問など火災予防のみに従事する団員もいるという。
 ▼消防団員の出動は、火災が減少傾向にあり、災害出動が増えている。災害発生が懸念される際に、事前の早期避難の呼びかけから安否確認、住民の避難誘導、避難所の運営支援など、地域に職場や家があり、専門的な知識を身に付けた消防団員に期待される役割は多い。入団・活動しやすい環境づくりをさらに進めてほしい。

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