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今週のヘッドライン: 2022年03月 4週号

娘が売り込む父のニンニク ―― (株)横福 薩摩の薫農園(鹿児島市上福元町)(1面)【2022年3月4週号】

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 ニンニク「鹿児島在来」などを40アール栽培し、黒ニンニクなど約20種類の加工品を製造・販売する鹿児島市上福元町の株式会社横福 薩摩の薫農園では、代表の横山薫さん(38)が東京を拠点に営業や販売などを担当。約60の食品小売店などに加工品を卸すほか、百貨店やマルシェなどに出店し、栽培から加工までの工程やおすすめの食べ方を伝えている。消費者の声を生かして、たまり漬けやソース、スナック菓子などの人気商品を開発。栽培を担当する父の福島克則さん(68)との情報共有を大切にしながら、地元の味を首都圏の消費者などに伝えている。

(1面)

〈写真:加工品を説明する代表の横山薫さん〉

農水省 多面的機能支払交付金を検証 多様な効果の発現を確認(2面・総合)

 農林水産省は16日、多面的機能支払交付金第三者委員会(座長・中嶋康博東京大学大学院農学生命科学研究科教授)を開き、多面的機能支払交付金の効果などに関するアンケート結果を報告した。市町村では、水路や農道の保全管理、農家と非農家との交流などに取り組む区域と取り組んでいない区域との違いが現れていると評価する。一方、取り組んでいない集落は「引き受け手がいない」「高齢化の進行や農家数の減少」などの理由を挙げた。地域住民にも農道や水路など多面的機能の保全活動に参画してもらい、関係人口を呼び込むなど農業・農村の振興につなげていく必要がある。

(2面・総合)

宮城・福島で震度6強 岸田首相 人命第一の対応指示(2面・総合)【2022年3月4週号】

 16日午後11時36分、福島県沖を震源とし、最大震度6強を観測する地震が発生した。宮城県や福島県などを中心に多数の死傷者が出ているほか、家屋の損壊や道路の損傷などを確認。農地・農業用施設など農業関係への被害も心配される。被災地域のNOSAI団体では、被害確認を急ぐ。

(2面・総合)

G7農相会合 ロシアの侵略非難 世界の食料安保を守る行動確認(2面・総合)【2022年3月4週号】

 緊迫化するウクライナ情勢に伴い世界的な食料供給網への影響懸念が広がる中、日本や欧米の先進7カ国(G7)は11日、臨時の農相会合をオンライン形式で開き、世界の食料安全保障を守るために具体的な行動をとるとの共同声明を採択した。
 声名では、ロシアによるウクライナへの大規模な侵略を非難するとともに、侵略戦争が食料安全保障へ影響を与え、飢餓や栄養不足に苦しむ人々を増加させると指摘。農産物や肥料など生産資材の価格がさらに急騰する懸念を表明し、食料の入手を困難にさせる人為的な価格高騰を許さないとの姿勢を明示した。持続可能な方法で食料を供給する全ての農家への感謝も盛り込んだ。

(2面・総合)

備えの重要性を強調 コロナ禍で制限も 職員と連絡密に ―― NOSAI新潟のNOSAI部長(新潟県)(3面・NOSAI部長)【2022年3月4週号】

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 NOSAI新潟(新潟県農業共済組合)では、地域の事情に精通し、普段からの備えの大切さを強調するNOSAI部長がいる。コロナ禍で活動を制限される状況であっても、職員との連絡を密にしながら組合員に情報をつなぎ、円滑な事業運営に力を注ぐ。上越支所管内のベテランNOSAI部長2人に話を聞いた。

(3面・NOSAI部長)

〈写真上:ビニールハウスを建てる上越市大潟区の細谷正夫さん〉
〈写真下:NOSAI職員との情報共有を重視する上越市浦川原区の涌井善雄さん〉

農家を悩ませる腰痛 「楽」追求し予防 ―― びわこリハビリテーション専門職大学教授の垰田和史さん(5面・すまいる)【2022年3月4週号】

 作業で腰痛に悩む農家は多い。健康な状態での営農を続けるためには、腰痛の発生や悪化の要因を理解し、普段の作業から気を付けることが重要だ。予防のポイントに「楽」の追求を挙げるびわこリハビリテーション専門職大学の垰田和史教授に、腰痛対策をアドバイスしてもらう。

(5面・すまいる)

アンテナショップ「AGRI+」がオープン 先端技術で消費拡大へ 非接触型ICタグ レジや情報発信に活用(長崎市)(7面・流通)【2022年3月4週号】

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 長崎市元船町に2月25日、JA長崎せいひ管内の農畜産物を扱うアンテナショップ「AGRI+ (アグリプラス)」がオープンした。RFID(非接触型ICタグ)を活用し、購入者自身が買い物かごからレジ袋に移すだけで商品の値段を自動で計算し、精算するセルフレジ方式が特徴だ。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、店員と接触なく安心して購入できる店舗を低コストで運営。消費者へ商品情報や生産現場の情報を提供し、農畜産物の理解を深めてもらい、消費拡大につなげるのがねらいだ。

(7面・流通)

〈写真:商品を移すだけで値段を読み取る〉

ブロッコリーの「2花蕾どり」 1株から2個収穫で単収が6割増に 農研機構が手順書公開(9面・営農技術・資材)【2022年3月4週号】

 ブロッコリー1株から花蕾(からい)2個を収穫して、限られた作付面積で増収できる「2花蕾どり」が注目を集めている。農研機構は、試験成果から作業方法や効果などを標準作業手順書にまとめた。60~70%の増収が期待でき、試算では1作当たり約1.6倍の所得増が図れる。新たな資材や設備投資は不要で、規模を選ばずに実践可能だ。

(9面・営農技術・資材)

売り上げ伸ばす白ネギ周年栽培【3月4週号 鹿児島県】

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 【鹿児島支局】志布志市有明町で白ネギを栽培する茂崎幸一郎〈しげさき・こういちろう〉さん(46)は、青果販売業の経験を生かし、単一品目の通年出荷や、パッケージデザインの見直しなどに取り組み、売り上げを伸ばしている。「作るだけではなく、売るためのアピールをしていきたい」と工夫を凝らす。茂崎さんが代表を務めるしげさき農園では「やさしい味のする野菜」をモットーに、1.6ヘクタールで白ネギの周年栽培に取り組む。土壌分析の活用や有機肥料の使用など肥培管理を徹底するほか、農薬はできるだけ使わない。「とろ甘白ねぎ」と名付けた商品は、主に契約する飲食店へ出荷。地域のスーパーやインターネットでも販売する。青果販売の仕事に携わっていたことがあり、「供給量の少なくなる時期にこそ安定した出荷体制を構築したい」と考えていた。以前はサツマイモやカボチャなども栽培していたが、取引先の「白ネギを通年で出荷できないか」という要望もあり、単一品目での周年栽培に力を入れることにしたという。「年間の売り上げを見通すことができ、栽培計画が立てやすくなった。確実な出荷が信頼関係につながる」と話す。商品の魅力を視覚的に訴えるため、昨年10月にはパッケージデザインを一新した。「ネーミングで商品の魅力を印象付け、消費者がつい手に取りたくなるように意識した」。パッケージからSNS(交流サイト)へ誘導し、消費者と交流を図ることでオンラインショップへの集客につなげた。「パッケージを見て、リピート買いしてくれる方もいる。『茂崎さんの白ネギなら子どもが食べられた』と言ってもらえたときは、うれしくて励みになった」と笑顔を見せる。今後については「コロナ禍で先行きは不透明だが、取引先や消費者の立場を常に意識して、品質の向上に励み、より多くの人に白ネギを届けていきたい」と話す。

〈写真:「丁寧な仕事を心掛け、高品質な白ネギを多くの人に届けたい」と茂崎さん〉

収入保険・私の選択  コロナ禍の影響を最小限に【3月4週号 愛媛県】

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 愛媛県四国中央市  加藤 一夫〈かとう・かずお〉さん
 15種類余りのサラダ野菜を、ホテルや飲食店、スーパー、直販所向けに栽培して14年になります。
 NOSAI職員に勧められ、収入保険が始まった当初から加入しています。それまで大きな価格の変動はなかったので、保険金をもらうことはないだろうと思っていました。規模を拡大した矢先、新型コロナウイルス感染症のまん延という緊急事態が発生し、取引先からの需要が激減。栽培した野菜が行き場を失うという今まで想定していなかった事態に見舞われました。流通ストップによる収入減少にも対応できる収入保険に加入していたおかげで、収入の減少は最小限に抑えることができ、ほっとしています。2021年の基準収入の算定に、新型コロナウイルス感染症による収入減少が反映されないようにする「コロナ特例」を設けてもらったのはありがたいです。新たな出荷先の開拓や、SNS(交流サイト)を活用したネット販売を模索するなどさまざまな対策を講じ、経営の持続、4人の従業員の雇用継続を図るために努めています。収入保険は、自然災害や価格低下だけではなく、今回経験したように、経営努力では避けられない収入減少が補償対象になるのが魅力。保険料の2分の1、積立金の4分の3が国庫で補助されるのも助かります。農業者がリスクを管理する上で必要不可欠な制度だと思います。多くの同業者に加入してもらい、経営安定に役立ててほしいです。▽64歳▽ハウス15アール(レタス、コマツナ、セロリなど▽農園「南・ファイト」代表(愛媛支局)

〈写真:「収入保険のおかげで農業経営を安心して続けられます」と加藤さん〉

有機肥料10種類以上組み合わせ 評判のトマトは土が決め手【3月4週号 山梨県】

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 【山梨支局】南アルプス市で新原農場株式会社を経営する新原裕さん(33)は、ミニトマトと中玉トマトをハウス20アールで栽培。「よりおいしいトマトを作るため、土作りには特にこだわりを持って取り組んでいます」と、有機肥料10種類以上を施す。味が濃くおいしいと評判で、市内の小学校の給食にも使われている。東京のサラリーマンだった新原さんは、農業に興味を持ち、「豊かな自然が魅力」と山梨県に移住。2015年に有機トマトを栽培する農業法人で就農し、翌年に独立した。栽培を学ぶ中で、「水耕より土耕の方がおいしいトマトができる」と土耕栽培を決意。2、3種類では栽培に必要な成分を補えないので、魚粉やカニ殻、バチルス菌などを使った10種類以上の有機肥料を組み合わせて施用する。「魚由来100%のアミノ酸液体肥料は、有機の中では即効性があり、効果的で重宝しています」。追肥で必要なカリウムやカルシウムは有機肥料だけで補うことは難しいため、化学肥料も施用する。有機肥料をなるべく使うように心掛けるとともに、エコファーマーの取得を目指す。栽培するのはミニトマト「千果」「プチぷよ」、中玉トマト「フルティカ」。4、7、9月に定植し、年間を通して収穫する。1人で作業することを基本にしているが、最盛期の7、8月の収穫作業にはアルバイトを2~3人雇用。年間15~16トンを収穫し、直販サイトを通じて販売するほか、県内スーパーや直売所に出荷する。1キロ千円で収穫体験を受け入れ、「『おいしかったよ』と言っていただくことがモチベーションになっています」と新原さん。今後は地元の小学生の体験学習に取り組むという。「規模を拡大し、メディアなどを活用しながら販路を広げていきたいですね。最終的にはマーケットを海外まで広げ、より多くの人に喜んでもらえるようなトマトを作りたい」。19年の台風19号でハウス3棟が被害に遭い、うち1棟は全壊した。新原さんは「経営が続けられるか不安でしたが、園芸施設共済の共済金でハウスを再建できました」と話す。被災後は復旧費用特約や付保割合追加特約を付け、手厚い補償に変更した。

〈写真:日本トマトソムリエ協会を主宰し、全国トマトグランプリを毎年開く新原さん。「多くの方に参加いただき、全国にトマトのおいしさを広めたい」と話す〉

年2万2千個販売 いちごバター【3月4週号 滋賀県】

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 【滋賀支局】「味だけではなく、見た目のかわいさも重要です」と話すのは、「いちごバター」を開発した豊郷町の株式会社市川農場代表取締役の市川健治〈いちかわ・けんじ〉さん(46)。両親と3人で、イチゴ「章姫」15アール(ハウス3棟)、タマネギ10アール、ブドウ2アールを栽培する。いちごバターは章姫と北海道産バターを使う。「イチゴの甘みと酸み、バターのコクがマッチした自信作」と市川さん。2019年3月に販売を開始し、年間約2万2千個を売り上げる人気商品だ。通年販売できる商品を作りたいと模索し、「娘がイチゴをつぶしてバターと混ぜていたのを見て思いついた。日常生活のどこにヒントがあるか分からない」と笑顔を見せる。イチゴは高設・無加温栽培で、苗作りに始まり、わき芽や葉かきなど日々の管理に余念がない。二酸化炭素や温度は機械で管理し、「数値で根拠をもって栽培管理している」と話す。ほかの商品には「たまねぎドレッシング」やジャムがあり、JA東びわこの直売所と県内外スーパーへ出荷、インターネット販売や輸出など幅広く展開する。「小さな町から世界へ向けて」がモットーの市川さん。今後は「イチゴの面積を拡大し、供給量を増やしたい」と意欲的だ。

〈写真:いちごバターのラベルは妻がデザイン。1個1200円(税抜き)〉

防風林「真実を曲げて虚偽を広げる愚行【2022年3月4週号】」

 ▼ウクライナを侵攻したロシアのプーチン政権は、国内の情報統制を強化している。メディアには、ロシアの公式発表に基づく報道のみを要請。加えて虚偽情報の拡散に対する刑罰を重くし、政権に批判的な独立系メディアは次々と活動停止に追い込まれた。
 ▼ウクライナ侵攻を「軍事作戦」と称し、「戦争」や「侵攻」などの言葉の使用を「虚偽」と禁じた。その一方、ウクライナ政権をネオナチと決めつけ、「ロシアは攻撃していない」と言い切る外相の発言は「虚偽」に問われないのかと怒りが湧いた。
 ▼インターネットの利用も中央統制が強化されている。ロシア国内から海外の報道機関のサイトは閲覧できず、フェイスブックなどのSNS(交流サイト)は遮断されるか、利用制限がかけられているという。
 ▼海外からの情報を遮断し、国民に真実を伝えないロシアの愚行は、「全滅」を「玉砕」と言い換え、正しい情報を伝えなかった太平洋戦争中の日本とも重なる。国民の生活や命を守り尊重しない国に未来はないと信じている。ただ、時間の猶予はない。

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