ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2022年04月 3週号

魅力ある米産地に 個別経営を強く 共同購入・共同出荷でメリット ―― 山形県庄内地方の若手稲作経営者グループ「F.A.I.N(ファイン)」(1面)【2022年4月3週号】

220421_1.jpg

 山形県庄内地方の若手稲作経営者29人(総稲作面積約700ヘクタール)で構成するグループ「F.A.I.N(ファイン)」は、資材の共同購入や米の共同出荷などに取り組み、水田営農の安定基盤を築く。立ち上げメンバーの一人、鶴岡市小中の齋藤弘之さん(43)は「根本にあるのはライバル育成。強い経営者がたくさんいることが産地の強みになる」と話す。技術向上や施策の情報共有を個別経営に生かし、グループとして有機農業への実証や若手農家などを集めた勉強会を実施して、地域での存在感を発揮している。

(1面)

〈写真:共同で購入した資材の在庫を確認する齋藤弘之さん(左)と斎藤勝幸さん〉

茨城の農場で豚熱 野生イノシシ対策が急務 飼養管理の順守徹底を(2面・総合)【2022年4月3週号】

 農林水産省は13日、茨城県石岡市の養豚農場で豚熱の患畜が確認されたと発表した。同県での発生は豚熱が国内で再発生した2018年9月以降で初めて。当該農場で飼養する約千頭を殺処分する。県内全農場がワクチン接種しており、移動制限などは設定しない。ただ、野生イノシシの感染は県内でも158例確認されており、全国では3月に山口、広島の両県で初めて確認されるなど野生イノシシの豚熱感染が広がっている。基本的な飼養衛生管理基準の順守など、農場周辺への野生イノシシの侵入を防ぐ対策の徹底が必要だ。

(2面・総合)

ナラシの運用見直し 6月末の申請時に契約数量など報告(2面・総合)【2022年4月3週号】

 農林水産省は、2022年産米から収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)の補てん要件に、事前契約などの締結を追加する。見直しに伴い、農家は6月末までの申請時に「出荷・販売契約数量等報告書」の提出が必要で、内容確認のため、積立金の納付期限は7月31日から8月31日に延長する。

(2面・総合)

水稲種子の温湯消毒サービス 県銘柄米生産を支援 ―― NOSAI埼玉の損害防止事業(埼玉県)(3面・農業保険)【2022年4月3週号】

220421_2.jpg

 NOSAI埼玉(埼玉県農業共済組合)では、損害防止事業の一環として、県内全域で機器一式を貸し出す水稲種もみの温湯消毒サービスを実施している。60度の湯に約10分種子を浸す作業で、薬剤を使わずにいもち病やばか苗病、イネシンガレセンチュウなど、種子で伝染する病害虫の防除効果が得られると利用者から好評だ。2021年度は7887戸が利用し、処理した種もみ量は37万2165キロに上った。今年も各会場で作業が進められている。

(3面・農業保険)

〈写真:協力して種もみの入った網袋を取り出す〉

冬の捕獲法「巻き狩り」 空撮で効率アップ(新潟県)(7面・営農技術・資材)【2022年4月3週号】

 新潟県は、野生鳥獣被害の防止対策として、猟友会による冬季の捕獲法「巻き狩り」に空撮用ドローン(小型無人機)を導入し、イノシシの位置や動きを把握した効率的な捕獲に取り組む。1~2月に行った9回の実証ではイノシシ12頭、シカ4頭を捕獲した。撮影データからイノシシの活動範囲を特定するほか、猟友会員の動きを記録し、巻き狩り技術の継承にも挑む。実証には、長岡技術科学大学や猟友会などと連携し、NOSAI新潟(新潟県農業共済組合)中越支所が参画し、支所が所有するドローンの操縦などを担当している。

(7面・営農技術・資材)

おいしい+防災植物 災害時に野草を活用 ―― 日本防災植物協会事務局長の斉藤香織さんに聞く(5面・すまいる)【2022年4月3週号】

 身近な野草で安全に食べられ、災害時に食料として有用な「防災植物」。どんな植物が食べられるのか? おいしく食べる調理法は?――など、日本防災植物協会の事務局長・斉藤香織さんに聞いた。

(5面・すまいる)

スマート農機の広域シェア 実証実験に参画【4月3週号 広島県】

220421_3.jpg

 【広島支局】庄原市西城町の重原盛導(せい どう)さん(37)は、合同会社重原農園を営み、水稲1ヘクタール、ハウス2.2ヘクタールでホウレンソウを栽培。「将来にわたって地域の農業を継続させていく」という理念のもと、スマート農業実証プロジェクトに参加し、スマート農機の広域シェアの検証を進めている。「高価な機械の購入が利益を圧迫する。更新を機に農業をやめてしまう人が多い」。重原さんは、高齢化や後継者不足による離農を地域全体の問題と捉え、国や農研機構が主導する同プロジェクトへの参加を決めた。同プロジェクトは、情報通信技術(ICT)などを活用し、スマート農機を広域でシェアする実証実験。期間は2021年4月から23年3月までの2年間で、庄原市・三次市・島根県の農家12軒が参加している。各農家が年間スケジュールを提出し、事業として導入された農機10台の使用日数や使用場所を重原さんが集約し管理。各農家はスマートフォンなどで農機の空き状況を確認でき、計画以外にも農機が空いていれば借りることができる。「専用の機械を買わなくても、新しい作物にチャレンジできる」と重原さん。シェアした播種機で昨年試したニンジン栽培が本年度は本格的にスタートする。プロジェクト参加者からは「高い農機を買わずに使用できて助かる」と好評だという。実証終了後の本格実施に向けて、利用料やサービス内容など運用のルール作りが必要だ。「農機が空いている期間をなるべくつくらないよう、多くの人に使ってもらうのがポイント」と重原さんは話す。同プロジェクトを事務の面からサポートするしょうばら産学官連携推進機構の赤堀幹義さんは「重原さんと同じような思いの人たちが集まってくださっている。この取り組みがうまく回ってくれれば」と期待する。兼業農家で育ち農学系の高校・大学を経て、16年に就農した重原さん。「いま農業をしている人にやめてほしくない。農村風景を守り、農業を続けてもらうには、農機費用の問題は大きい。この取り組みが本格実施されれば、新規就農者が農業を始めやすくなる」と話している。

〈写真:「地域の農地を耕作放棄地にしないために頑張りたい」と重原さん〉

自動航行ドローン 高精度作業を実証【4月3週号 福井県】

220421_4.jpg

 【福井支局】「ふくいスマート農業推進大会」が3月9日、福井市の福井県産業会館1号館で、新型コロナウイルス感染症対策を徹底しながら開催された。最新の農業技術を体験できる大規模イベントとして、全国各地のスマート農業関連メーカー25社が出展した。大会は、県内のスマート農業の普及拡大を目的に、福井県と県農業会議、NOSAI福井(福井県農業共済組合)が主催し、担い手農業者や関係機関ら400人が訪れた。会場では、高精度の位置情報を利用して無人操作ができるロボット農機具や農業経営生産管理システムなど、スマート農業に関する最新鋭の機器を展示。実際に触れて体験できるブースが数多く用意された。屋外スペースでは、NOSAI福井が2021年3月に設置したRTK固定基地局(GPS補正情報配信システム)を利用し、最新のロボット農機や自動操舵システムを搭載した農機具の自動運転を実演した。中でも、ドローン(小型無人機)の自動航行は県内で初めて公開。事前に登録した飛行ルートを自動で正確に航行し、より精度の高い散布作業が可能となることを実証した。来場者でドローンの自動航行を見た50代の農業者の男性は「ドローンにもともと付いている自動航行の動きと基地局を利用した動きを比べると、正確な場所にビシっと止まって驚いた。こんな大きな機械は入れられないが、できるところからスマート農業を取り入れていきたい」と意気込む。主催者で県農林水産部園芸振興課の吉永朱里〈よしなが・あかり〉主事は「新型コロナの影響で生産者が一堂に会したイベントができなかった。多くの生産者に機械に触れてもらえたことで、スマート農業への興味が高いことを実感した」と話す。NOSAI福井では、スマート農業を推進するとともに、RTK固定基地局の利用拡大につなげていきたいとしている。

〈写真:200人以上が見守る中で離陸・散布作業・着陸を実演した自動航行ドローン〉

災禍を乗り越え経営継続に注力【4月3週号 岩手県】

220421_5.jpg

 【岩手支局】宮古市刈屋で「とんぶぶ農場」を経営する松田吉人〈よしと〉さん(63)と妻の喜美〈きみ〉さん(57)は、小麦や野菜を栽培するほか、だんごなどの菓子類を製造・販売する。東日本大震災や2016年の台風10号、新型コロナウイルスの影響を受けながらも、無人販売機の導入などで経営継続に力を注ぐ。愛媛県出身の吉人さんは、東京農業大学で畜産を学んだ。1985年に大学の先輩の紹介で、旧新里村和井内地区(現・宮古市和井内)で就農した。吉人さんは「養豚から始まり、牛やヤギなどを飼った。鶏は最大600羽くらい飼っていた」と振り返る。ところが、東日本大震災で鶏舎が倒壊した。吉人さんは「鶏は無事だったが、残った鶏舎では飼いきれなかった。物流が止まり、餌の確保や鶏卵の出荷ができず、鶏の数を半数まで減らした」と話す。2016年の台風10号では、河川の増水で鶏舎が全壊し、養鶏は廃業を余儀なくされた。「片付けに1年ほどかかった。心身ともに大変だった」と喜美さん。当時は鶏卵を戸別販売で配達するほか、パンなどに加工して販売していた。現在は刈屋地区で工場を借り、だんごなどの菓子類を製造。材料の小麦粉には、自家産「ナンブコムギ」の全粒粉をブレンドして使用している。とんぶぶ農場は、新型コロナウイルスの影響で、産直施設の休業やイベントが休止となり、売り上げが大きく減少したという。新たな販路を模索する中、コロナ対策の給付金を活用し、コイン式無人販売機を導入。21年3月に休憩スペースを併設した「こびり庵」を同地区にオープンした。吉人さんは「加工品の製造は、何が売れるのかを考えながら商品開発するので面白い。無人販売機でコロナ禍に対応していきたい」と話す。

〈写真:「無人販売機は100円硬貨専用なので100円玉を用意して来てほしい」と話す吉人さん(右)と喜美さん〉

軽トラマルシェ、イベント出店 女性農業者を応援します【4月3週号 鳥取県】

220421_6.jpg

 【鳥取支局】県中部を中心とした女性農業者団体「鳥取農業女子A―Nyova」では、軽トラマルシェやイベントへの出店を通して、県内外の女性農業者が育てた農作物の販売とPR活動に取り組む。団体の始まりは2016年。女性農業者に注目し、コミュニティーを広げることを目的に結成された。湯梨浜町で軽トラマルシェを月に1度開催し、自分たちが栽培した野菜を中心に常時20種類の季節野菜や雑貨を販売する。新型コロナウイルスがまん延する前は、県内各地でマルシェの開催やイベントへの出店など活動の幅を広げていた。SNS(交流サイト)での発信で認知度が上がり、県外の常連客もできた。現在は活動を制限されているが、楽しみにしている客が多いという。代表の米澤幹枝〈よねざわ・みきえ〉さん(48)は「自由に楽しくをモットーに続けていきたい。自分たちの活動を通じて、女性農業者が元気に働け、地元の野菜の魅力を多くの方に知ってもらうきっかけになれば」と話す。

〈写真:女性農業者が栽培した野菜を軽トラマルシェで販売〉

防風林「笑い生むドリル続々【2022年4月3週号】」

 ▼林野庁は、小学生向けに森林の役割を伝える小冊子『うんこドリル 森とくらし』を作成したと発表した。うんこ先生が森を歩きながら森林の機能や林業などに関連したクイズを出題し、答えと解説をしていくストーリーだ。笑って読み進むうちに森林と暮らしの関係が分かる仕掛けになっている。
 ▼『うんこドリル』は、シリーズ950万部を突破した子供向け学習ドリルで、発行元の文響社は、法人や自治体、官公庁とのタイアップを進めているという。相談した訳でもなかろうが、国土交通省と河川財団は『うんこドリル 川の安全』、金融庁は小学生向け『うんこお金ドリル』と新成人向け『うんこクイズ』を相次いで発表した。
 ▼ドリルは各省庁のホームページから閲覧でき、ダウンロードなども可能だ。連休に子供とドリルを楽しんではどうだろう。子供たちは長引くコロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻など重苦しい話題にさらされている。こんな情勢だからこそ、短時間でも笑顔になれる時間をつくってあげたい。
 ▼農業・農村に関心を持ってもらえるドリルもぜひ見てみたい。子供たちの笑顔は、大人たちにも元気をくれるものだから。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る