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今週のヘッドライン: 2022年12月 3週号

この一年記者座談会 食料安定供給の危機に直面 資材価格急騰 農家経営に打撃(1面)【2022年12月3週号】

 2022年は食料安定供給リスクの急激な高まりに直面した。きっかけはロシアのウクライナ侵攻で、コロナ禍で不安定になった穀物や生産資材の供給網がさらに混乱・停滞し、国際相場の急騰や供給不足を招いた。世界的に食料安全保障が喫緊の課題に浮上した。日本では円安の影響も相まって物価が高騰し家計を直撃。肥料や飼料など生産資材価格の急騰は農家経営に深刻な打撃を与えている。政府は価格高騰の影響を緩和する緊急対策などを措置するとともに食料安全保障の確立を含む食料・農業・農村基本法の見直し検討に着手、関連施策の抜本的な強化・拡充を図る方針だ。また、昨年末から続いた大雪をはじめ、7~8月の大雨や9月の台風など自然災害も多発した。この一年の農業・NOSAIをめぐる情勢を話し合った。

(1面)

今年の農業災害の特徴と対応は ―― 農林水産省経営局の土居下充洋保険監理官に聞く(1面)【2022年12月3週号】

 今年は昨年末からの大雪や、3月の福島県沖を震源とする地震、5~6月の降ひょう、7~8月の大雨、9月の台風など災害が発生し、農業分野に大きな被害をもたらした。NOSAIは、収入保険のつなぎ融資や適正な損害評価と早期の共済金支払いを通して、農家の経営安定に努めてきた。農業保険制度を所管する農林水産省経営局の土居下充洋保険監理官に今年の災害の特徴や対応について聞いた。

(1面)

米政策 2024年産から見直し 飼料用米一般品種 助成引き下げ(2面・総合)【2022年12月3週号】

 2023年産の米政策の概要が固まった。農林水産省は22年度第2次補正予算で措置した「畑地化促進事業」などの支援で、転作促進と定着化を後押しする方針だ。一方、水田活用の直接支払交付金は、23年産は従来通り継続するが、24年産から飼料用米の交付金単価を一般品種に限って段階的に引き下げ、多収の専用品種への移行を促す方針だ。5年間に1度も水張りをしない水田を交付金の対象外とするなど、同省は米政策の見直しを進める。条件不利な中山間地などで、持続可能な水田営農の確立に支障がないか産地の理解を得ながら慎重に進める必要がある。

(2面・総合)

農業版BCP 農閑期に策定を 農業保険加入を前提に(3面・農業保険)【2022年12月3週号】

 台風や豪雨、大雪などが多発し、農業関係の被害が増加傾向にある中、農業者が自然災害などのリスクに備えるため、農業版BCP(事業継続計画)を農閑期に策定してほしい。農林水産省はチェックリストと農業版BCPのフォーマットをホームページ(HP)に公開し、活用を呼びかける。被災後の早期復旧には、収入保険や農業共済への加入も重要だ。農業版BCPを策定する利点や手法などを紹介する。

(3面・農業保険)

肥料変更し費用2割減 「指定混合肥料」利用を実証 ―― 荒巻耕太さん(福岡県久留米市北野町)(7面・営農技術・資材)【2022年12月3週号】

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 施設コマツナ90アールのほか、露地でホウレンソウやキャベツ、ハクサイなどを栽培する福岡県久留米市北野町の荒巻耕太さん(46)は、延べ3~4ヘクタールの露地栽培で、土壌診断による施肥の見直しや、堆肥などと化学肥料を混合した「指定混合肥料」の利用を実証し、肥料代を10アール当たり約2割削減した。土壌の肥料成分蓄積を踏まえて、リンとカリの割合が少ない「L型」の銘柄を選択。県内の再生リンや家畜ふんといった未利用資源を原料にした指定混合肥料は、従来の化成肥料に比べ製造コストが抑えられている。現時点で収量・品質への影響もなく、「利用する面積を広げれば、さらにメリットは大きくなる」と期待する。

(7面・営農技術・資材)

〈写真:「肥料を替えても、うまく育っている」と、ホウレンソウの品質を確認する荒巻さん〉

除雪作業中の事故 安全対策徹底を(5面・すまいる)【2022年12月3週号】

 近年、降積雪期に除雪作業中の事故が多発している。事故要因は「屋根からの転落」が最も多く「屋根からの落雪」「除雪機による事故」と続く。大雪の年には年間千件を超える事故が発生し、100人以上が亡くなっている。今冬は東・西日本日本海側で降雪量が「平年並みか多い」見込みで、事故なく春を迎えるために除雪作業の安全確認と対策の徹底が欠かせない。国土交通省の資料などから雪害の状況と安全対策のポイントを紹介する。

(5面・すまいる)

防風林「暮らしの記憶「現代絵農書」の価値【2022年12月3週号】」

 ▼以前、学童クラブのPTA行事で餅つきを企画した際、きねと臼は借りることができたが、手順を知る人が少なく、準備に苦労した。子どもの頃に手伝わされ、餅のつき方は分かる。しかし、もち米の準備など十分な知識がなく、企画した親たちが故郷の親に聞くなど手間取った。最近は自分の実家でも餅つきはしない。一度やめると徐々に忘れていくだろう。
 ▼日本の農業は、高度経済成長期を境に稲作などで機械化が進み、農村や農作業の風景は大きく変わった。近隣農家と一緒に作業した田植えや稲刈りなどの風景も今は見ることもない。ただ、探してみると高度経済成長期以前の農村の日常や作業風景を描き残した人が何人もいる。
 ▼『庶民が描く暮らしの記憶』(清水ゆかり著)は、農村出身の庶民が描いた生活や農業の記憶画を「現代絵農書」と名付け、歴史学や社会学の観点で価値を考察する。博士学位論文として提出した資料を基に自費出版したそうだ。農業共済新聞の新年号に掲載した版画や絵の作者の名前もあり、うれしくなる。
 ▼大学の卒業研究の資料調査で千歯こきでの脱穀などが描かれた1枚の絵を見つけ、強く引きつけられた。卒業後も情報収集し、現代絵農書の記録を続けているという。しかし、出版や地元の資料館などに収蔵される作品は別として、作者が亡くなると公開や継承が困難との指摘も。貴重な現代絵農書を残す手だてはないものか。

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