「それまでは、市販の歩行型溝切り機を使っていましたが、基盤整備が進み、圃場が大型化したため、何とか溝切り作業を楽にできないかと考えました」と話すのは、小国町の羽鳥始さん。
この溝切り機は、乗用田植機の植え付け装置をはずし、そこに自作の掘削装置を溶接して取り付けたもので、構造はいたってシンプルだ。土台となるフレームは鉄板を加工し、そこに掘削装置を溶接する。持ち前の溶接技術で、すべて自分で製作した。
溝切り作業のスピードは、田植時に比べ若干早めで、1ヘクタールの圃場の溝切を1時間ほどで終わらせる。車輪の幅に合わせて掘削装置を取り付けているので、田植機のわだちを掘削装置で広げていき、効率的にきれいな溝に仕上がる。また、本来植え付け機が付いている部分に取り付けているため、溝切りの深さも自在に調整が可能だ。
「田植機は、廃棄処分されるものを農機具店から譲り受け、あとは自分で加工するので、経費はほとんどかかりません。管理機に比べ、車高が低いため、稲の頭をなでることはありますが、特に問題もありません」と羽鳥さんは自信をのぞかせる。
<写真=乗用溝切り機。植付け装置をはずして掘削装置を取り付けた>