竹の繁茂による耕作放棄田の増加に歯止めをかけようと、山口県畜産試験場(西村強場長)では竹林に豚を放牧しタケノコを食べさせる試験を行っている。
同試験場の宗綱良治飼養技術部長は「高齢化が進み管理が行き届かない山間部の田畑では、竹の繁茂による荒廃が増加していることから、畜産の分野から荒廃防止の手助けができないかと考えた」と話す。
2年前からタケノコの生育状況や地下茎の分布を調査し、試験場内の竹林に豚を放牧してきた。「豚は好んで孟宗竹(もうそうちく)を食べるため、春先の発筍(はつじゅん)の時期に竹林へ放牧すると、新竹の発生が抑えられた」と宗綱部長。
豚は鼻で土を掘り起こす習性があり、タケノコも根元から掘り起こして採食するという。
6月からは美祢市の竹林(7アール、真竹)に、試験場で訓練された生後7カ月の雌豚2頭を電気柵で囲って放牧。タケノコだけでは栄養分が不足することから、朝・夕にトウモロコシなどが入った濃厚飼料を与えている。今後は、苦味のある真竹を豚が食べるかどうか観察していくという。