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防風林「増える外来植物 どうつきあうか検討必要【2016年5月1週号】」

 ▼道端や空き地にポピーに似たオレンジ色の愛らしい花を咲かす植物の群落があり、心和ませる毎日だった。通勤途中、茶畑と道路との境界で自生する姿に足を止め写真を撮った。
 ▼植物好きの人に画像を観てもらったところ「ナガミヒナゲシ」という外来植物の一種とわかった。環境省の「特定外来生物」に指定されてはいないが、繁殖力が強く、根と葉からは周辺の植物を成長阻害する他感作用物質(アレロパシー)が放出されるなど、特定外来生物の他植物と同等か、それ以上の環境影響リスクが指摘されている。
 ▼実からは1500粒以上の種子が作られ、未熟粒でも発芽力を有し、翌春には発芽する。そのため、開花前、葉の状態での除草が望ましいらしい。あらためて、茶畑横で清楚(せいそ)そうな花を咲かすそナガミヒナゲシを観察した。発芽から数年も経過しているせいか、葉は著しく繁茂し株は分けつ肥大し、土壌面が覆われていた。
 ▼輸入飼料などと共に日本に上陸、初めて東京で発見されたのが1961年。今や関東から九州にかけて分布し、東北・北海道でも報告される広がりようだ。長距離輸送のタイヤに付着した種子が勢力を広めたよう。
 ▼路傍の多くの雑草の中でも1、2番を競う愛らしい花をつけるこの植物を、「外来種だから」と駆除にためらいを感じる人も多いはず。人の情が広域分布の要因かも。成長阻害物質を雑草駆除に応用するなど、外来植物を有効活用する途があればいい。在来種との共存について真剣に考えるべきだ。