農林水産省はこのほど、2014年に発生した農作業死亡事故件数は前年と同じ350件だったと発表した。3年連続の横ばいで、政府は毎年、農作業安全確認運動などを展開しているものの、約7割が農業機械作業中に発生し、65歳以上の高齢層が8割強を占めるなど事故内容にも変化が見られない。さらに政府・与党は農業機械を含む資材価格の引き下げ議論を進める一方、安全対策の強化は重視されているとは言い難い。生産基盤の要は人であり、作業環境の安全確保は、地域営農の担い手確保にも欠かせない。工事現場などの労働安全衛生管理手法の導入や、自動車や建設機械産業の技術を農業機械に応用するなど、死亡事故撲滅へ行政や関係業界の実効性ある対策が求められている。
(2面・総合)