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防風林「無人の圃場に無人のロボット 未来農業は農家はいるか?【2016年5月3週号】」

 ▼攻めの農林水産業に向け自民党の骨太方針策定プロジェクトチーム(PT)が示した施策項目では、農業者の高齢化や担い手の減少に対し人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)、ロボットなどを使って生産性向上を図る方針という。
 ▼内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)では、自動走行式トラクターの実用化を2020年までに行う計画だ。産業界からは「技術革新は常に異分野からの参入によりもたされてきた」として、農業分野への参入に意欲を示すなど、日本のお家芸的な先進技術導入でさらに加速化する可能性もある。
 ▼無人農機が圃場を縦横に走り回る風景は、近未来社会の一コマとして描かれる。だが現実味を帯びてくると、高額な導入価格や作業安全性の確保、導入に見合った規模拡大(大区画化)などが課題になりそう。それにもまして、農繁期に農家の姿が見当たらない田園や、真夜中にトラクターだけが稼働する圃場を想像すると背筋が寒くなる。
 ▼国内では有人トラクターが複数の無人機を監視する協調型システムを、18年には市販化させるという。米国のように畑の端から端までの往復に数時間もかかる農場では、大型無人機を導入する方が、はるかにメリットが多そうだが。
 ▼ロボット農機の普及で農作業死亡事故が減りこそすれ、暴走など新たな事故原因とならなければと危惧する。スマート農業より先に、機械化が遅れた分野の克服が先と思うのは、時代遅れの考えだろうか。