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育種を極める(14ー15面・営農技術)【2017年1月1週号】

 新たに優良な品種を生み出す育種技術は、食料の安定供給や食味向上などにつながり、日本農業の発展に大きく貢献してきた。最近では、消費者に支持される特徴的な米やイチゴなどを各県が競い合って育成し、ブランド化を進めている。一方、鋭い観察力と洞察力を備えた農家など民間育種家も、限られた時間と労力の中で新品種の作出に挑戦している。稲とジャガイモを育種する農家2人を紹介するとともに、育種の手法や品種登録の手順などを解説する。

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ジャガイモ・突然変異で15品種 ―― 長崎県雲仙市・俵正彦さん
〈写真:自ら育成した「タワラヨーデル」を手に俵さん〉
170112-07.jpg 長崎県雲仙市瑞穂町の俵正彦さん(62)は、収穫作業を全て自ら行うなど労力と時間をかけ、色や形などが異なる突然変異体を発見。青枯病やそうか病に強い「タワラムラサキ」など15品種を育成した。農薬を使用せずに栽培できる上、色や形、食味などの特徴が際立った個性的な品種がそろう。贈答品などに利用でき、農家にも消費者にも喜ばれている。

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水稲 交配続けて30年 ―― 宮城県岩沼市・平塚静隆さん
〈写真:実っても穂が垂れない直立穂型品種を手に平塚さん。30年前から育成しているが、完成まで10年はかかる見通しだ〉
170112-08.jpg 「今までにない品種を自由に育成し、食べる人に届けたい。どのようなものができるか知りたいという探究心もある」と、宮城県岩沼市恵み野の平塚静隆さん(60)は話す。1年に1回の交配を繰り返して選抜、固定させ、稲を30年にわたり育種。最近では「冷めるとおいしい米」を10年かけて育成した。東日本大震災の津波で自宅は損壊したが種もみは無事で、育種に人生をかけている。

(14−15面・営農技術)