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防風林「大災害に備えて自治会運営の強化を【2017年1月2週号】」

 ▼昨年末、新潟県糸魚川市で約150棟(約4万平方メートル)が全焼する大規模火災が発生した。一般家屋が焼失した大火では1976年に発生した山形県の「酒田大火」以来だ。
 ▼店舗から出火した猛火は、低気圧による強風にあおられて、瞬く間に周辺を飲み込んだ。報道によると市の消防担当者は言う。(1)強風に煽られ火の回りが速かった(2)古い木造家屋が密集していた(3)火事の規模に対し消火能力が足りなかった...と。
 ▼海辺の街は冬場の強風を避けるため、身を寄せ合うように家屋が建つ。筆者の実家がある旧市街も同じ。小学生の頃、隣接する中学校が火災になり、延焼に備えて、家具類を近隣住民が協力して運び出した。延焼は免れたが、怒ったような炎は50年近くも昔の光景なのに記憶は鮮やか。
 ▼この火事の連携に加えて、新潟地震の際に発生した津波被災者への自発的な〝炊き出し〟など、かつての相互扶助意識は強固だったのだ。近年、住民連携をもってしても救えない大災害が多い。だが、糸魚川大火で死者ゼロだったのは、住民のつながりの強さが要因という。この基盤なくして互いを守れないのも事実だ。
 ▼返礼品の豊富さで人気の「ふるさと納税」制度が、糸魚川支援に広まり話題になった。一方で、全国的に自治会への未加入や脱会が増加傾向にある。災害時に既存自治会が機能不全を起こさぬ前に、現組織の存在理由やあり方について、いま一度問い掛け直したい。