東京都三鷹市――都会の住宅街約1ヘクタールでキュウリやトマト、江戸時代から作り続けられてきた「江戸・東京野菜」の一つ「のらぼう菜」などの野菜約40品目を通年出荷する冨澤剛さん(43)は、都市農業が長期にわたって継続されるよう、地域の消費者と積極的に接点を持つことでファンづくりに努めている。公共の利益を優先し、都市計画に基づく道路収用に応じて農地の一部が削られることも真摯(しんし)に受け入れた。事業承継時に発生する相続税が高額になりがちなことを憂慮しつつも、生活が便利な代わりに営農には条件が良いとは限らない環境で前向きに取り組んでいる。
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〈写真:マンションなどに囲まれた畑でのらぼう菜を収穫する冨澤さん〉