後継者のいない農業者が自らの農地や機械、施設、栽培技術、販路などを新規就農希望者に有償で丸ごと譲渡する「第三者継承」。継承者は専業経営で生計が立てられる規模の経営資産をまとめて確保できる利点がある一方で、互いの信頼関係が構築できずに失敗に終わる事例も多く見られる。北海道浜頓別町茂宇津内の杉山彰さん(25)、愛美さん(26)夫妻は今年1月、1年半の研修を経て第三者継承で放牧酪農を開始した。
放牧地10ヘクタールと採草地40ヘクタールを確保し、経産牛35頭と育成牛23頭を飼養する。天候不順で1番草の収穫適期の判断を迷うなどまだまだ手探りだが、経営を軌道に乗せようと奮闘している。
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〈写真:「草地を最大限に活用し、健康に牛を育てたい」。放牧酪農の夢を実現して笑顔で話す杉山さん夫妻〉