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防風林「今の若者に伝わるか熱血ドラマの精神【2018年8月3週号】」

 ▼1972年に連載を開始した水島新司氏による野球漫画「ドカベン」が幕を閉じて、スポーツ漫画の一時代の終わりを迎えたのかと、感慨にふける方が多いかもしれない。
 ▼全国高校野球選手権大会が甲子園で繰り広げられている。46年という連載のなかで、主人公の山田君や里中君らの熱闘が、今の球児の目にどう映るのかな?と聞いてみたい。水島さんの出身地にある繁華街の通りに登場人物の銅像があり、記念撮影するファンは多い。時代が変わってもドカベンが伝える主題は世代を通して変わらないでほしい。
 ▼スポ根世代のある人は、『巨人の星』(川崎のぼる)で野球に目覚め、『柔道一直線』(永島慎二)で柔道部に入部。『あしたのジョー』(ちばてつや)では、宿敵・力石徹との死闘で主役の矢吹丈が灰になった次の週から週刊漫画雑誌の購読を停止したという。原作の梶原一騎氏にあおられた青春。
 ▼「壁ドン」など恋愛学園系劇画のドラマ化が多く熱血青春ドラマは少ないよう。森田健作氏主演の『俺は男だ!』の主題曲、♪さらば涙と言おう♪や♪友達よ泣くんじゃない♪のフレーズは、当時の純真な青少年だったおじさんたちは、今でもすぐに口ずさめるのだ。
 ▼今や、森田氏が千葉県知事と知っていても、「青春の巨匠」だったと知る若者は少ない。「青春」や「友情」との言葉は、現代の燃えない若者たちには歯の浮く響きに聞こえるらしい。甲子園で敗れた高校球児が流す涙に「涙は心の汗だ。青春の勲章だ」とつぶやいている。理解いただけるか大いに不安だが。