【福島支局】震災から8年、南相馬市小高区の黒木敏美さん(38)と父・敏彦さん(66)は畜産経営を再開した。敏美さんは「震災直後は、牛のいる生活には戻れないと思っていました。今は牛の世話や合間の時間を有効に使うことができ、生活に張り合いがあります」と、再開の喜びをかみしめる。震災当時、敏美さんは、畜産が盛んだった小高地域で、避難に伴う牛の処分に携わった。「頭数も多くて大変でしたが、何より自分の牛を含め、同業農家の牛を処分するのは断腸の思いでした」と振り返る。
〈写真:再開後に家畜共済に再加入した敏美さん(左)と敏彦さん。「繁殖牛は子牛出生時の事故が一番多く、胎児の補償がある家畜共済には助けられた」と話す〉