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防風林「経済大国が抱える貧困問題【2019年5月4週号】」

 ▼子供の貧困対策に取り組む民間団体の7割近くが資金不足を課題に挙げ、半数がスタッフの確保に苦労していることが、内閣府の調査で明らかになった。食事を提供する子ども食堂や学習支援などの活動が継続できるよう早急な対応が求められる。
 ▼回答した約500件の半数はNPO法人で、任意団体(市民活動系)が4分の1と続く。6割近い団体は常勤または非常勤の有給スタッフがおらず、7割近い団体は有償ボランティアがいない。全国で急増する子ども食堂は、全国2200カ所を超えたという。しかし、資金難や人材難を抱えていては、十分な活動は難しいはず。
 ▼厚労省の調査では、世帯主が18歳以上65歳未満の一人親で子供がいる世帯の半数は、年間の可処分所得が122万円に満たない「相対的貧困」とされる。日常の衣食に困るほどではないが、子供たちは「栄養バランスの良い食事がとれない」「進学を諦めざるを得ない」などの環境にある。
 ▼貧困の根本には、非正規雇用など格差社会の現実がある。政府は、景気回復が図られる中で雇用は回復し、非正規雇用は減少していると報告する。しかし、実感として、格差社会の解消が期待できるほどではない。
 ▼日本は、国内総生産(GDP)で、米国、中国に続く世界第3位の経済大国だが、貧困率は経済協力開発機構(OECD)加盟国(36カ国)中ワースト2位、第1位は米国だ。GDPを基準にした"経済大国"って......。