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防風林「参院選が残したもの【2019年8月2週号】」

 ▼過去2番目に低い投票率となった参院選。年金問題や消費税増税、憲法改正のほか、日米貿易交渉をはじめ農政関連の問題など争点はあったが、有権者の過半が投票しなかった。特に18、19歳の投票率は31%台に低迷した。
 ▼背景には「投票しても何も変わらない」「政治に期待しない」など政治不信や無関心があるとの指摘がある。また、与党の安定感に勝るような期待を抱かせる野党の不在、結束力不足もあるだろう。ただ、選挙権は国民が政治に参加するための大切な権利だ。政府には、若年層や政治に無関心な人たちの投票を喚起する環境整備を進めてもらいたい。
 ▼盛り上がりに欠けた参院選後、話題を集めるのが、れいわ新選組から当選した2人の議員だ。ともに重い障害があり、大型の車椅子と介助者のサポートが不可欠。国会議事堂では、本会議場の議席改修などバリアフリー工事を進め、1日の臨時国会開会に間に合わせた。
 ▼共生社会の実現に向けては、立候補や議員活動も当然のことだが、意識の外だった。福祉の重視を掲げる政党からも重度の障害者の立候補はなかったはず。すでに重度訪問介護の費用負担など現行制度の問題を提起している。福祉政策以外の分野も含め活躍してほしい。
 ▼農業分野でも、障害者などの就農を進める「農福連携」が注目されている。作業手順の見直しが全体の生産性を向上させた先進事例もある。障害を持つ当事者でないと気づかない点など、大いに学ぶ機会にしたい。