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防風林「ふるわない飼料米 振興策に不足はないか【2019年10月2週号】」

 ▼飼料用米の生産が振るわない。農林水産省が公表した2019年産の水田作付け状況では、前年産比0.8万ヘクタール減の7.2万ヘクタールで、17年産の9.2万ヘクタールから2年続けて減少した。米政策改革では、生産者・産地主体の需要に応じた生産に転換を図る。主食用米の消費が減る中で、戦略作物の定着は大きな課題だ。
 ▼政府は、飼料用米の潜在需要を450万トンと算定し、25年度に110万トンとする政策目標を掲げて推進する。だが、18年産の生産量は43万トンと目標の約4割で、備蓄米やミニマムアクセス米を加えて91万トンを供給しているに過ぎない。
 ▼本年産では、備蓄米の約21万トンの枠確保が重視され、転換した産地もあったようだ。備蓄米の作付けは前年産比1.1万ヘクタール増えている。ただ、政策の都合で生産が左右されていては、戦略作物としての定着は見通せない。予算の継続確保を不安視する声もいまだ根強い。
 ▼食料・農業・農村基本計画の見直しに向けた議論では、担い手の高齢化による生産基盤の弱体化が指摘されている。水田をはじめ農地面積の減少をくいとめるには、地域営農に、需要に応じた主食用米生産と戦略作物との両立が不可欠だ。
 ▼国民理解と予算確保が前提となるが、飼料用米には潜在需要があり、機械化が進んだ稲作なら労力的な負担は少ないはず。飼料用米の生産や増産に慎重な産地の意向を踏まえ、現行政策の拡充を検討すべきではないか。