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防風林「都市農業が身近に感じられる農業祭【2019年11月2週号】」

 ▼秋も深まり、東京都郊外でも各地で農業祭が開かれている。新聞の折り込みチラシに近隣の市の開催案内があり、どこに行こうか検討中だ。農産物の直売も楽しみだが、宝船や品評会の様子を見ると、都市農業の活気を感じられる。
 ▼特に農業祭のシンボルとなる野菜の宝船は、どの会場でも堂々として見栄えがよく、毎回、圧倒される。"ばえる"スポットだけに子連れの家族らが集まり、熱心に撮影する。農業祭の終了時間が近づくと、「宝分け」として解体した宝船の野菜を配るので、長蛇の列ができる。季節感と手作り感にあふれたイベントだ。
 ▼都市や周辺地域で営まれる都市農業は、消費者との近さを生かした農産物供給に加え、農業体験の場、災害時の防災拠点など多様な役割が期待されている。生産緑地法の改正で、生産緑地地区の下限面積が引き下げ可能となり、賃借しやすくなるなど保全と活用を図る環境整備が進んでいる。
 ▼少し残念に思うのは、長く暮らす地域でも、地元農家との接点が少ないことだ。日中は勤めに出て地元にいない当方の問題もある。農業祭では、直売テントで農家から直接農産物などを購入できるほか、女性部や青壮年部の出店もあり、顔見知りを増やす機会になる。
 ▼期待される反面、通勤途中の農地には、缶や包装袋などのゴミも目立つ。捨てる人には、食べ物を作る場所と想像できないのだ。もっと交流の機会を増やせないか。