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防風林「災害の教訓を次世代につなぐ【2020年1月3週号】」

 ▼阪神・淡路大震災の発生から25年の節目を迎え、マスコミ各社が特集を組んでいる。その中で震災の事実や対策の重要性などを伝えていく難しさを訴えた記事が印象に残った。震災後に生まれた世代が大学を卒業する時期となり、若手教師たちが経験のない震災の教え方に悩み、試行錯誤しているとの内容だ。
 ▼発災から9年になる東日本大震災の被災地でも同様の課題は出てくるだろう。三陸地方沿岸部は、何度も津波に遭い、明治以降も2度被災した。一刻も早くめいめい高台に逃げろという意味の言葉「津波てんでんこ」も伝わる。しかし、大震災の津波では、避難せずに亡くなった人も多いとされ、知識と行動を結びつける難しさが指摘されている。
 ▼また、阪神・淡路大震災は、災害時のボランティア活動が定着する契機となり、ボランティアへの期待と課題に焦点を当てた企画もあった。災害が相次ぐ中で、自ら被災地に駆けつけて活動するボランティアの存在が欠かせなくなっている。背景には、高齢化と過疎化で地域コミュニティーの結束が弱まり、自治体も広域化が進み細やかな対応が困難になっている実態がある。
 ▼課題は、受け入れ体制や活動の支援など。特に災害発生直後は情報が交錯し、受け付けが滞るなど活躍できなかった事例もある。都市部から離れた被災地では、移動手段の確保も必要だ。
 ▼大きな災害が頻発する昨今、過去の経験を次世代に伝え、万が一の際に生かす努力は怠らないようにしたい。