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防風林「グローバル化のリスクに最大限の警戒を【2020年1月4週号】」

 ▼新型コロナウイルス感染による肺炎患者が急増し、中国政府は感染者が多い武漢市と近隣6市の公共交通機関を遮断し、駅・空港を閉鎖した。ただ、24日現在で日本など5カ国・地域で感染者が確認され、早期の事態収束は見通せない状況だ。
 ▼タイミングも悪く、中国は大型連休の春節を迎えている。1月中旬~2月中旬の約40日間で30億人が国内外を移動するとされる。海外旅行は、日本の人気が高く、訪日客も多いと見込まれている。日本政府は、水際対策の徹底に加え、感染者が出た場合の医療体制を含む対策強化を進めている。
 ▼訪日客の対応では、ASF(アフリカ豚コレラ)の侵入にも最大限の警戒が必要だ。特に中国は、2018年8月の初発以降、農場への感染が広がり、武漢市のある湖北省でも発生した。日本で発生が続くCSF(豚コレラ)は、アジア地域からの訪日客が持ち込んだ肉製品のウイルスが原因とみられている。ASFはCSFよりも感染力が強い。侵入を許してはならない。
 ▼前向きに考えれば、新型コロナウイルスの感染拡大は、水際検査などの対応に国民が関心を向ける機会になった。訪日客の入国では、発熱など本人の症状確認と合わせ、違法な肉製品の持ち込みなど検疫の徹底が望まれる。
 ▼国際化の進展で、病害虫の侵入リスクは高まる一方だ。被害回避には、迅速な対応と国際的な情報の開示・共有が不可欠だが、現状、中国の対応は後手としか見えない。