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防風林「作業機を着けたトラクターの公道走行―免許の取得支援強化を【2020年2月4週号】」

 ▼「ちょっとした騒ぎになっているよ」と連絡を受け、調べるといくつかニュースがみつかった。昨年実施された保安基準の規制緩和で、直装タイプの作業機を付けたトラクターの公道走行が可能になった。しかし、作業機の幅が1.7メートルを超えると公道では大型特殊免許が必要なため、農家が困惑しているという。
 ▼現在は、自動車学校や農耕車限定の講習会に申し込みが集中し、順番待ちの人も多いそうだ。試験場で一発合格できればよいが、ぶっつけ本番の合格率は低く、数回は通う覚悟が要る。自動車学校の受講料など経費負担もばかにならない。春作業が本格化する時期を前に、焦りを感じている農家も多いのではないか。
 ▼今回の規制緩和は、圃場間を移動する際に作業機を装着したり外したりしなくて済むようにした。分散する圃場を行き来することが多い水田営農の担い手には、長く待ち望んでいた対応だ。ただ、農家への案内も不十分で大型特殊免許取得が必要との意識が薄かったため、春の農作業直前に慌てる事態を招いた。
 ▼道路交通法は、交通の安全と円滑化を図るための法律で、すぐに見直せるものではない。行政や関係機関には、大型特殊免許の取得が円滑に進むよう支援強化を望む。面倒だからと免許を取得しないまま、作業機を付けたトラクターで公道を走ることだけは、事故防止の点からも絶対に避けてもらいたい。