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防風林「一極集中のリスク回避へ まず省庁が動いては【2020年7月1週号】」

 ▼東京都の人口が5月1日現在で1400万人を超えた。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い移動自粛などが要請された中でも、就職や進学による転入が増えたためだ。日本の人口はすでに減少局面に入っているものの、一極集中の傾向は今後も続く見通しだ。
 ▼政府の専門家会議が提言した「新しい生活様式」では、密集、密接、密閉の「3密」回避を基本とし、公共交通機関の利用や買い物、スポーツ観戦などは他人との間隔を広く空け、イベントや会議はオンライン方式の活用を呼びかける。審議会や検討会、シンポジウムなどの傍聴は、ウェブ会議システムの利用が急速に増えている。
 ▼画面越しの傍聴や対話は、まだ不慣れなために不便で、親近感も乏しく感じる。しかし、相手との距離が問題にならないメリットは大きい。東京で開く音楽ライブなど、わざわざ上京しなくても全国で同時に楽しめる環境が整っている。
 ▼東京一極集中からの脱却は、政府の長年の課題でもある。省庁移転はその一環だが、規模が縮小し、現状で全面移転の決定は文化庁だけだ。地方移住志向の高まりも踏まえ、一極集中のリスク回避を進める時期ではないか。