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防風林「食料の安定供給はカロリーの充足ではない【2020年8月2週号】」

 ▼2019年度の食料自給率は、カロリー(供給熱量)ベースで前年度比1ポイント増の38%となった。このまま上向くことを期待したいが、小麦の10アール当たり収量増など天候に恵まれた要素もある。自給率向上へ、担い手と農地の確保を基本に持続的な生産が可能となる施策の拡充を求めたい。
 ▼国内で生産可能な食料の潜在生産能力を表す食料自給力指標も示された。イモ類中心の作付けでは、推定エネルギー必要量とされる1人当たり1日2168キロカロリーを充足できるとした。ただ、農林水産省の資料には「おなかはいっぱいになるけど」と一言添えられている。
 ▼父親は、好き嫌いの少ない人だったが、カボチャには箸を出さなかった。稲作地域の農家ではなかったため、戦中戦後に一生分のカボチャを食べたからと話していた。
 ▼新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、食料貿易は輸出国の制限措置などで一時混乱した。自国第一主義を掲げるリーダーの増加は、先行きの懸念材料だ。終戦から75回目の夏。日本のリーダーには、二度と国民を飢えさせないと誓ってほしい。