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防風林「地理的表示(GI)の活用は登録後の取り組みが重要だ【2020年9月4週号】」

 ▼地理的表示(GI)保護制度などを利用した地域ブランド振興は、認知度向上などに課題があるものの、生産者の経営継続につながることが示された ―― との研究結果を農林水産省農林水産政策研究所が公表した。特にGIを題材に、産地と流通業者、消費者のアンケートや個別事例の調査などから現状と課題などを分析・検討した。
 ▼公表した資料では、現状は、消費者などによるGI制度の認知度は高いとは言えないと評価。しかし、偽装表示や品質管理に対する関心は高く、国や第三者機関の認証制度を求める傾向もあり、認知を広げることで販売の拡大や価格上昇などが期待できると総括する。
 ▼GI制度は、地域の気候・風土と結びついた特性や伝統的な生産方法による農林水産物・食品を地域固有の知的財産として保護するもの。制度は2015年6月にスタートし、国内産品の登録は40都道府県の97となっている。ただ、先行する欧州連合(EU)では、昨年3月時点で1400件弱が登録され、取引や担い手の増加など効果が確認されているという。
 ▼研究では、認知度向上には、登録と合わせたPR活動が重要とし、産地や行政の対応を課題に挙げる。GI登録が目標となり、PR活動がおろそかになっていないか。登録はゴールでなくスタートと認識すべきだろう。