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防風林「米の需要を広げるには【2020年11月4週号】」

 ▼出来秋を迎えたからか、首都圏に集中的に流しているのか、テレビで銘柄米のCMをよく見かける。いずれも著名な俳優やタレントなどを起用し、かなりの予算をつぎ込んでいるようだ。これまでなじみのない新品種が増えた気もする。食べ比べてみたいが、近隣のスーパーに並ぶ品種は限られる。品種が増えると専門小売店かネットでないと入手は難しくなってしまう。
 ▼子どものころは、新米に替わる日が待ち遠しかった。土蔵に保管する自家産米は、夏を越すと明らかに味が落ち、炊き上がりの米の色もくすんでしまう。それに比べ、新米の炊き上がりは白く輝いて見えたものだ。かつて主食用米では、新米の価格が高く設定され、西南暖地では1日も早い収穫をねらう、激しい産地間競争があった。
 ▼最近は、保管技術の向上により、古米や古古米のご飯もおいしく食べられるようになった。日本穀物検定協会が毎年公表する食味ランキングでは、「特A」がずらり並ぶ。品種開発や栽培技術も含め、全体の底上げが進んだ証拠だろう。ただ一方で、品種別作付面積では、相変わらず「コシヒカリ」が首位だ。昨年産で全国の33.9%を占め、2位の「ひとめぼれ」(9.4%)を大きく引き離す。
 ▼主食用米は、需給緩和による価格下落が懸念されている。需要に応じた生産を関係者も十分意識しているはずだが、消費の減少が止まらない。主食用米の消費拡大を諦める訳ではないが、パンや麺などに加工した際のおいしさは改善できないかと想像する。小麦で作るよりおいしいパンができたら、ぜひ食べたい。