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防風林「未利用の稲わら活用―牛肉輸出拡大に不可欠【2020年12月2週号】」

 ▼政府・与党による2021年度の畜産・酪農対策の協議が大詰めとなっている。その中で、肉用牛の団体からは、稲わらの安定的な輸入の確保の要請があった。国内では、主に肉用牛の飼料用として年間92万トン(18年)の稲わらが利用されており、うち約20万トンは中国からの輸入に依存する。
 ▼政府は中国に植物防疫官を2人派遣し、稲わらの検疫手続きを実施している。今年は新型コロナの感染拡大の影響か、定期的な交代ができず、輸入が滞るとの懸念が広がった。一方で国内の稲わら産地では、長雨による品質低下などが発生し、需給はひっ迫ぎみという。
 ▼飼料に利用される稲わらは、国内生産量の1割弱だ。自給もできそうだが、それほど簡単ではない。通常のコンバイン収穫では十分な細断長が確保できず、調整が必要。カビや泥の付着は論外で、色味や乾燥状態など肉用牛農家が求める条件がある。また、わら収集用の機械や保管庫など投資もいる。
 ▼牛肉は、政府が決定した輸出拡大実行戦略の重点品目の一つで、300億円弱の実績(19年度)を25年に1600億円とする目標を掲げる。産地化支援では繁殖雌牛の増頭などを打ち出した。飼養頭数が増えれば当然、良質な稲わらも相当量必要になる。輸入依存からの脱却を目指し、未利用資源の稲わら活用を促す仕組み構築を急ぐべきだ。