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防風林「高齢者を置き去りに進むワクチン接種【2021年5月3週号】」

 ▼新型コロナウイルスのワクチン接種が各自治体で始まっている。重症化リスクが高い高齢者を優先するのは当然だ。だが、ネットで受け付けとか、電話が集中してつながらないなど、高齢者の不安をあおるような事例が目立つ。手探りで進めざるを得ない状況であっても不安にさせない配慮が必要だ。
 ▼ワクチン接種を口実にした詐欺も横行し、消費者庁は注意を呼びかけている。役所の職員になりすまして口座番号を聞き出したり、「お金を出せば優先できる」と誘ったりする手口だ。ワクチン接種は全て公費で賄われるから、個人負担は不要と覚えておきたい。お金で便宜を図ってもらいたい気持ちは、やせ我慢で押さえ込むしかない。
 ▼そんな中、医療従事者でも高齢者でもない一部自治体の首長などがワクチンを優先的に接種した事実が相次いで判明した。やましいことはないというなら、事前にアナウンスすればよかったのだ。後付けの説明では、どうしても言い訳に聞こえてしまう。
 ▼危機に陥ったときにこそ、リーダーの決断や行動が問われる。お天道様に見られて恥ずかしいことはしていないか、自問していただきたい。