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長雨、ウンカ、コロナ乗り越え 酒米の収量・品質確保に全力【6月4週号 山口県】

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 【山口支局】地域の高齢化・農地の荒廃に対処するため、山口市阿東徳佐で株式会社「十種〈とくさ〉の郷〈さと〉」を2011年に立ち上げた落合重武さん(67)。現在、水稲16ヘクタールの耕作をはじめ、作業受託、米の検査、米粉製造なども手掛ける。「昨年は大変でした」と落合さん。耕作面積の半分以上を占める酒造好適米「山田錦」が、梅雨の長雨で分げつが止まり、秋にはトビイロウンカの大発生で被害を受けた。収量は予定の3分の1しか取れず、用意していた米袋が1万2千枚も余った。銘酒「獺祭〈だっさい〉」の旭酒造株式会社と、ふるい目2.05ミリで調製した酒米の75%を輸出する計画があったが、収量不足で見送りに。また、コロナの影響で酒米の需要が減少し、会社の経営が危うくなったという。落合さんは「幸い、旭酒造株式会社が生産者支援のために酒米を食用として販売してくれました。収入保険の損失補てんもあり、昨年はかろうじて経営を継続することができました。私たちの作る酒米がおいしいお酒になるように、今年は過去最高だった19年の収量と品質確保を目指します」と話す。

〈写真:「収入保険に入っていて助かりました」と落合さん〉