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防風林「ペットブームと命の重さ【2021年9月3週号】」

 ▼映画化もされた『北里大学獣医学部 犬部!』(ポプラ文庫)などノンフィクションで知られる片野ゆかさんの『平成犬バカ編集部』(集英社文庫)を読んだ。本邦初の日本犬専門雑誌『Shi―Ba』の創刊から約20年間の軌跡をたどりながら、人とペットとの関係性の変化やペット業界の動向なども記述する。
 ▼創刊は2001年。出版社で居場所を失いそうだった初代編集長が、自分の愛犬の魅力を伝えたいと企画した。試行錯誤を続けるうち、編集に参加するスタッフは次々と日本犬の魅力にはまり、熱心な読者にも支えられ、現在も隔月発行を続けている。
 ▼大半は笑いながら読めるのだが、スタッフが飼うモデル犬や編集長の愛犬の死、飼い主が直面する老犬の認知症やみとりの問題などつらい話もある。また、ブームで隆盛となっているペット産業の陰で、粗末に扱われる命の問題など負の面にも切り込む。
 ▼昨今もコロナ禍の巣ごもり需要でペット人気が高まっているそうだが、日常の世話が嫌で簡単に捨てる人も多いという。アクセサリーなどの飾り物ではなく、命を預かっていることを考えてほしい。